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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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七十二話「叛逆」








『We hunt the sky』


『Beyond perfection』


『We surpass desperation』








  その電子音声は鳴り響いた。これから起こる人類への遊戯さつりく宣言のように。




「「「―――――――変身」」」




 その掛け声と共にディレイドライバーを始めとして、情報複合金属が粒子として展開。周囲のあらゆる物を粒子に変換し、情報複合金属へと変質させてその身を纏っていく。


「――――――やられた」


 弘太のその呟きの後に彼等は変身を終えた。


「……ふふっ」


「楽しみ……ですね」


「………」


 三人はそれぞれ弘太、ファイ、アルゴスを襲い掛かった。





「ッ……!」


 オレンジのような色をし、黄色のラインは通った“ブラッター”へと遂げたメルダーはスラスターを噴射し、割れた空からナイフを発射させて回避によって隙の出来た弘太を無理矢理に持ち上げ。飛翔した。






「なるほど、拳で勝負か。 ちょっとぐらいノッテあげても良いよ?」


 赤色の身体に両腕、両足に備え付けられた小さな縦長の青いシールドが印象的な“パラドネス”となったヘルシャーはその拳に込めた、たった一撃でファイをいとも簡単に吹き飛ばしてしまった。


「何々? もっと、戦えるでしょ……?」


「チッ……ふぅ……」


 ファイは腕のガントレットを展開、挑発されてキレ気味な彼女は音を立てる事なくパラドネスへと挑んで行った。






「………」


 前触れもなくケンプファー……灰で包まれた“ヴェリパー”は逆手に持つ、二つのコンバットナイフで予断を許さない連撃を繰り出す。


「ちょっ、ちょっ!? 危ないなぁ」


 剣と斧で捌き切ったアルゴスは回し蹴りで距離を取らせて、彼の優位な状況を失くす。


「………」


 ヴェリパーは臆することなく、再度アルゴスへと攻撃を仕掛ける。


「ふふーん……!!!」


 まるで全力で食らいつく子どものようにアルゴスはコンバットナイフの攻撃に合わせて、剣と斧で斬り放っていく。


 足払いをヴェリパーは掛けるが、上へとジャンプしたアルゴスは異常変化である黄色の次元エネルギーを解放し、剣と斧の形をしたエネルギーの塊をヴェリパーへと叩き付けていく。


「……!」


 しかし、ケンプファーが変身しているヴェリパーの装甲はそれを完全に防いでしまっていた。


「――――――!! かっんぜんに予想外!」


 腹部にパンチを喰らわせられ、一瞬の宙に浮いた間にあちら側の見事な回し蹴りを首に直撃した。


「うごぉ……!!!」


「………」


 ヴェリパーは休むことなく、完全に倒す為に接近する。


「――――――ほい!」


 通常サイズの弾丸を次元エネルギーで作成したアルゴスは、斧をバット代わりにそれを打ち発射させた。ヴェリパーは防ぐが、さらに彼は弾丸を作成し撃ち続けていく。


「バン! バン! バンッ! へへーんだ!」


 だがヴェリパーはその弾丸を全て真っ二つに切断する。その動きには一切の躊躇もなく、鈍りもしていなかった。


「………」


 途中まで拮抗した戦いを彼等は繰り広げていった。








「ハイ……ヤッ!!!」


 漆黒を纏った拳はパラドネスに怒涛のラッシュを決めていく。それを掌かシールドで受け流すパラドネスは隙を見ては、正確な突きを解き放つ。


「うっ……!」


 ファイは吹っ飛ばされるもすぐに態勢を立て直し、ガントレットをさらに展開。展開された牙からエネルギーを発射、ブースター代わりに加速を増してパラドネスへと強烈な一撃をお見舞いする。


「――――――ッ!」


 両腕をクロスさせ、防ぐが衝撃で後ろへと打ち出される。しかし……。


「――――――なるほど、確かにディレイブ計画は実行されるだけのことはありますね」


「……なっ!?」


 衝撃を与える事は出来たが、ダメージに関しては全くと言って良いほど無傷であった。そして、右腕を掴まれた彼女はそのまま地面へと叩き付けられる。


「ふふっ、もっと遊ぼうよ。 こんなんじゃ大事な、大事な人間を守れないよ?」








「――――――ああ! ったく!」


 弘太はとにかく抜け出すことを優先してブラッターに執拗なパンチをやり続ける。それに華麗さも何もないが、彼は出来る方法は全て試す。


「―――――!」


 ブラッターは周囲にナイフを展開。このイカレ野郎、多少の被害を承知で殺るつもりだ……!


「おい、ホワイト」


『分かってます』


 アモリに収容していたマシンディノープをフェニックスモードで発進させて追跡されるも、ブラッターは装備されてる追尾ミサイルで見事に切り離しに成功していた。


(……座標は?)


(――――――――――たった今、正確に特定出来ました)


 タイミングを待ち、ナイフがこちらに降り注ぐ瞬間に弘太はアモリへと逃げ込んだ。


「――――――ハァ」


 ナイフの動きを緩め、自身を囲うように回らせる。そして、彼は真上から攻撃を掛ける。


「……ふん」


 読んでいた奇襲に対し、ブラッターは蹴りで吹っ飛ばすと言う手段で対応した。


「……変身時間はとっくに限界を超えてるはずだ」


『――――――恐らく、彼が創無のせいです。 時間稼ぎは得策ではないでしょう……ディレイブはまだクールタイム中です』


 困難であった緊急時におけるアモリを利用したワープによる奇襲も失敗。ディレイブはその特性故に他の変身システムよりも変身時間も変身に要する待機時間もピーキーだ。


(……補助は任せた)


(了解しました)


 背中の刀を腰へとマニピュレーターを用いて腰へと移動し、引き抜く体勢へと入る。一息入れるも、彼の中に存在する焦りが判断を鈍らせた。


「――――――ッ!!!」


 迷いの混じった攻撃はブラッターへと当たることなく、空振りに終わったしまった。


「……そんなんじゃ、やられるよ?」


 クルリと回るようにして回避したブラッターは腰に付けられている銃剣を弘太に突き付けて、その弾丸を発射した。


「グァッ……!?」


「ほら、ほら。 それじゃあ、本当に殺しちゃうよ?」


 二丁の銃剣のグリップを握り、意気揚々とした様で切り刻んでいく。


「!?――――――ガッ……!」


 咄嗟に刀で防ぎ、距離を取ろうとするも容赦のないその絶え間なき攻めに対処するのが精一杯でそれどころではなかった。


「――――――やっぱり、弱いね」


「……!?」


 ペースを乱されて剣戟の合間に蹴りを入れられ、ついに守りを突破された弘太は一時的離脱を図る。しかし、圧倒的な実力の元に彼は瞬く間にその剣先で戦闘服を切り裂き、その肉体に傷を負う。


「――――――ガッ……!!!」


「アタック」


 反撃しようとするがミサイルの嵐が弘太をボロボロにし、身体に刺された銃剣はその込められたラストショットを放った。








「これで終わりだね……アタック」


 赤のその強化スーツは割れる様に展開、青く発光しファイへと襲い行く。


「!!!……うっ……」


 創無に対して絶大な性能を誇るそれは能力者に対しても強力であり、態勢を崩されたファイに張り手で腹部に一突き。その後、持ち上げる様にして最大の打撃を叩き込んだ。


「――――――ッ!!!」


「……飽き足らないなぁ」






「っと!……ヤバいね、これ」


 途中までは互角であったが、ヴェリパーの安定した性能に加え手の内を把握したケンプファー自身によるフェイントを掛けた攻撃により、徐々に追い詰められていた。


「……アタック」


 コンバットナイフ、身体中の関節部分から漏れ出た黒のエネルギーは残像のように彼の動きを惑わせ、普通ならありえない技術でアルゴスを全方向から攻め込み、防ぎきれない箇所から切り刻み。最後には全身を斬り付け、傷跡から黒の次元エネルギーは盛大に爆発を起こした。


「ふお……!?」


 裂けるような苦しみを体験しつつも、吹っ飛ばされながら何とか着地をし構える。


「ハァ……ハァ……」










 三人とも見事にやられた、敗北したのだ。今まで遊んでいた彼等が本気を出し始めている。この奇襲もその一部だ。


 ……ホントの事を言えば。人類が、能力者が創無に勝てる確率はゼロだ。限りなくではない、可能性もない“ゼロ”。しかし、それでもここまで生き延びた。負ける事があっても生き延びたのだ。まだ終わりではない。どこかに人類が生き残る方法があるはずだ、例えそれが人が踏み込めない領域であってもだ。
















 



 書いてて思うのは、弘太サイドが創無と比較すると凄く強いわけではないバランスになってますね。敵の戦力は1章の最後辺りで判明させるつもりです。

 4月から思った以上に忙しくなりました。でも小説の投稿頻度は変わらずかと、今後ともよろしくお願いします。

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