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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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五話 「畏怖」

 ……良くない状況であった。


 レイピアで素早く突き刺そうとも骸骨、案山子、死体はまるで人形のように躱していく。


 クラウディラーに近づこうともこの3体が邪魔して攻撃できない。


(……どうやってあの3体を倒すか……とりあえず、動きを変えるか)


 ヴィオはレイピアを主体とした動きから足を主体にした動きへと変えた。


 近くにある小石を壊さない程度に2個上へ蹴り上げ、さらに腰の位置まで来たところで骸骨に向かって蹴った。


 骸骨はこれを躱す。


 それと同じ時ににヴィオはまだ蹴っていないもう一個の落ち切る前の小石を骸骨に蹴り、それと同時に接近していった。


 接近する途中に1回の前転、同時にさらに小石を2個ほど拾い上げた。


 蹴った小石は骸骨へ命中、素早くレイピアで突き刺し破砕、骸骨は動作をしなくなった。


 続けて小石を2個を案山子たちへ投げ、それと同時に小石に向かってエネルギーを込めたレイピアを放った。


 小石は砕け散り、エネルギーの乗った小石の破片は案山子や死体へ勢いよく飛んで行った。


 避けれるわけもなく無様に喰らった、ヴィオはレイピアで両者に突きを放ち、行動を停止させた。


(……この人形擬きは何とかなったが……)


「………」


 クラウディラーは首を傾げ、ゆっくりと玉から降りた。


「……?」


 不思議そうな顔をしながら、ニヤリと嘲笑した。


 クラウディラーは横に真っ直ぐになっている腕を動かした。


 指先から黒い糸のようなものが見えた。


 行動を停止していた3体が動き出した、やはり人形であった。


 身構えたヴィオであったが、攻撃は来なかった。


 3体の人形たちはヴィオの周りを円で囲むようにして歩いていた。


 ペースを変えることなく、ずっと彼の周りを歩いていた。


 クラウディラーは人形を動かすこと以外何もして来なかった。


 それが却って不安を募らせた。


(……何をしたいんだ?)


 その時、クラウディラーがこちらに近づいてきた。


 ゆっくりと、確実にこちらに来ている。


 それと合わせるように人形たちも付いて来ていた。


 人形たちが突然こちらに向かって走り始めた。


 ヴィオはレイピアで反撃した。


 回避することもせず、人形たちはただ受け崩れ去って行った。


 そして、クラウディラーが姿を消した。


(……どこだ?どこに姿を隠した!?)


 答えはヴィオの後ろにあった。


 クラウディラーの顔がヴィオの顔まで近く接近していた。


 そして、ヴィオを抱きしめるような形で腕を丸め込もうとした。


 ヴィオは咄嗟に避け、態勢を整えた。


 クラウディラーはまた嘲笑った。


(……俺の反応を楽しんでいるのか?)


 明らかにこの状況を楽しんでいた、他の創無と違って明らかに知能が高かった、嫌な方向に。


(……ふざけるのも大概にしてほしいもんだなぁ!)


 ヴィオはレイピアにエネルギーを溜め、クラウディラーに突きを放った。


 クラウディラーは嘲笑った後、突然に無表情に戻り、突きを受け止めた。


「!?」


 突きは確かにクラウディラーの腹部に直撃した、だがクラウディラーは依然、痛みを感じる様子もなかった、むしろ笑っていた、こちらに挑発するかのように拍手をし、声も出さずに、高笑いを。


 クラウディラーは右腕でこちらにパンチを放った。


 ヴィオはパンチを避けながら、一旦引いた。


 静寂がしばらくの間そこを支配した。


「………」


 突然、クラウディラーの後ろの空間が鏡のように割れ始めた。


 割れたところは真っ黒だった、何も見えず、ホントに何もないような濃さだった。


 クラウディラーはその中へ入って行った、無表情のまま拍手をしながら。


「………」


 そこからしばらく、何も起こらなかった。


 クラウディラーは帰ったのか?そんなことを考えていたヴィオは慎重にまだ探索していない奥へ行った。


「………」


 クラウディラーより洞窟の奥は悲惨だった。


 人間や動物の死骸がグロテスクな状態で放置されていた。


 内臓が全部抉り出され、皮膚は全部裏返されており、人間や動物を丸めた玉のようなもの、腸で作られた輪っか等、サーカスの小道具に似ていた、最悪な光景であった。


(……見逃してもらっただけマシってことか……)


 簡素な墓を作り、黙祷をしたヴィオは街は戻って行った。







_____________________________________



「………」


 仕事の時間である。


(……通知が来ている)


 弘太はその通知に目を通した。


『クラウディラーの発見を確認、速やかに殺せ』


 実にシンプルな内容であった、だが弘太には。


「………」


 それは彼の過去を思い出させた。







_____________________________________


(弘太君、今頃何してるんだろう~)


 そう考えながら零華はカレーを考えていた。


「零華? 何か考え事でもしてるの?」


「う~ん、今後の学校生活のことかな」


「……もしかして彼氏とか早速できたとかじゃないよね?(笑)」


「もうそんなんじゃないよ~!」


(それに弘太君は、私の命の恩人かもしれないし!)


 零華はカレーを食べ終えた。


「おかわり!」


「はいはい、よく食べるねぇ」


 意外と食べる量が多かった零華であった。

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