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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
51/95

五十話 「嫌戦」

 この日で丁度この作品は投稿から1年になります。それに合わせて偶然ではありますが50話目になりました。

 それらも含めて今回は1話目を意識して、弘太はそれと反対の事をやってますかね。思えば書き始めた初期の方が戦闘描写頑張ってた気がする。今はこれから始まるインフレに向けてシナリオ重視になってます。

 この話が能力者としての彼等の話は動くと思います。








「ふぇー、疲れたぁ」


 津田命は暇だったので散歩していた。本音を言うと、あの変なピエロやら同じクラスの西幸弘太やらを目撃してからと言うのも。いつも気になり続け、遂には暇があればずっと外をうろついてる毎日だ。


 あのピエロを撮ろうとした時にカメラは意味ないと分かったので他の方法で何か記録を残せないか考えた。


 まぁ、カメラがダメとなるとそれを考えたら映像を記録する類は全滅と言っても過言ではない。


 では録音はどうだろうか? 音だけなら辛うじてどうにかなるのかもしれない。そう思い、街中を駆け巡るがそれらしい発見はなかった。


(……でも暇だから、まだやるけどね)


 彼は無駄に一生懸命探し続けた。これが自分にとって大事な物であると信じて。







 

「へぇ~、これが西幸弘太の記録ねぇ……」


 端末を持ち、眺めながら白神に雅哉は言った。


「ふむ。 で、何か感想は?」


「……益々アイツに対しての殺意は沸いた。 以上だ」


 ふむ。やはり、西幸君と賀霧君は似ているようだ。良くも悪くもあるが。


「まぁ、それは置いといて。 任務だ、クレットに関係しているとみられる複数の人物が何故か怪しいほどに集まりだしている。 罠の可能性は大だが……まぁ、突っ込んで全てを壊せ、キミにはこれが一番だろう?」


 雅哉は表情を変える事無く、真顔のまま「ああ」とだけ言い引き受けた。


「おっと。 もう一つあったんだ、任務は。 この任務はしばらくかかるかな」


「……内容は?」


「西幸弘太との交流及び友好関係を築くこと」


「あ? どういう事だそれは」


「どれもなにも言葉通りの意味だよ。 西幸くんと仲良くなりなさい。 これは私個人からの任務だがお金はちゃんと出るよ、直接的に仕事には関係していないから10万で良いかな?」


「額の問題じゃない。 何故、奴と? 到底、無理な話だ。 殺し合ってるのが目に見えてるぞ」


「うーん。 なんで二人がそこまで嫌ってるのか分からないけど、今後はチームとして活動していく上でチーム同士の信頼関係は絶対だ。 だから、キミにも是非それを分かってほしい」


「……30万に増やせ」


「理由は?」


「ねえよ」


 「まぁ、良いだろう」と彼は承諾した。正直、慣れ合う気はない。奴の戦闘技量を把握するくらいだ。それでも衝突は発生するだろう……同類なら尚更だ。











 西幸弘太は任務を受け、その肝心の疑惑の人物たちが集う廃工場に忍んでいた。


(数は20人ほど……だが……)


 妙だ。熱源が個体によってあまりにバラバラだ。 それも身体が一部ずつ違っている。 低いのもあれば極端に高温の熱を持っている者もいた


 (……監視を続ける――――――!?)


 だが、中断されることになる。賀霧雅哉によって。


「ハァ……随分と物々しい集まりだな」


 独り言を吐いたそいつは槍を構え、警戒する様子もなくただ突っ込んだ。


 槍で突くもその者達はそれを各々の金属で出来た部分の扉を開け、そこから粒のような物質を放出し標的を見失わせ引き下がった。


 そこから雅哉は盾の銃口から弾丸を発射するが同様の対応で次元のエネルギーをある程度、使った状態で通過した。


「……やっと学習したか、屑どもが」


(あれは対創無……と言うより我々、能力者用の実験体か)


 創無に対抗するにはまず視認方法を確立しなくてはならない。なら、視認出来てまだ人の形で最大の脅威である僕たち能力者へ対するものと考えた方が早かった。クレットも本格的に理解しつつある、我々ディノープも対策を強化していかなければいかない。


 逆手でナイフ二本を持ち、弘太も乗り込んだ。


 恐らく実戦データ収集であろうが……迅速に破壊しておくことが良いだろう。


 二人は一瞬、睨み合ったが直ぐに目の前の敵に殺意を向け一言も喋ることなく戦闘を開始した。


 接近してその装備を使えない間合いでナイフで綺麗に金属部分を切り刻み、その個体を他の個体へと蹴飛ばし、そのままそいつらへとキックをかます。


 ブーメランからの情報複合金属を用いた爆撃を行うも、前述の対応で防がれるも隙を作るには十分で槍をそのままぶん投げ3体を貫通。盾の銃にエネルギーを溜め近付きその突き刺さった槍にゼロ距離で銃口から火花を散らし、弘太の元まで一直線に飛んで行った。


 軽い跳躍をして二体の間に入り込み足払いを掛け、その足を掴み引き摺りつつ投げる。そして、合わせたかのように槍はその二体に貫通した。


「キック……」


『RELEASE』


 右足のD-00に青色のエネルギーがチャージされ始める。


 ナイフを投擲、一個体に刺さりホルスターからハンドガンを取り出し高速かつ慎重に引き金を引き、その個体を射殺。その間に雅哉を他の個体の髪を鷲掴みにして地面に何度も執拗に顔面を叩き付けたり、尖った盾で相手の眼を潰したりなどして槍を回収。こちらも槍に異常の証である赤のエネルギーのチャージを開始、二つの穂先の間の銃口も火球の準備を始めた。


 残り十体。余裕であった、二人はお互いに本能的に嫌悪していて分かり合えない存在同士だ。だが、今は仕事だ。そんなことは関係なく仕事をしなければならない。それならやる事は一つ。協力することも厭わずにただ目の前の敵を倒す。その為なら、自身の私情などは後回しだ。


 舞うようにナイフとハンドガンで敵を翻弄していく。それに続くように盾の銃で乱射し五体を殺す。


 『CHARGE END』

 

 「フィニッシュ」


 『FINAL STRIKE』


 淡々と告げた電子音声が響き渡り、弘太はジャンプをする体勢に入り、雅哉は槍を再度構え火球を一つから四つへと次元エネルギーを操作して分裂させた。


 敵は既にこちらの適当に放った弾丸である程度の動きを麻痺させてある。やはり、ただの実験体だ。試作体ではこんな物だろう。問題はこの試作体が最近作られたデータ用の捨て駒なのか。それとも、もう前から研究が進んでおり突き進んだ技術を獲得して、その為に廃棄されるためにあるのか。ともかくここで破壊する。回収できないような対策も施してあるだろうし。


 先に動いたのは雅哉だ。四つの火球はそれぞれバラバラに違う速度で移動し。まずは一つ目が真ん中の個体に被弾させ、残りの火球を警戒するもさらに次元エネルギーは操作され、二つが左右の個体に向かう。直撃させることなく挟む形で地面へと当たり、爆風が発生。その衝撃で傍の二体は吹き飛ばされ狙い通りに先ほどの被弾した個体へとぶつかり、最後のスロースターターな火球が直撃。さらに吹き飛ばされ残りの弘太を警戒していた個体も巻き込まれ、一つの塊と化す。


 そして、弘太は跳躍。一回転をして態勢を整え、右足を伸ばし渾身の必殺キックが炸裂する。まるでこの二人が連携したかのようにみえ、その成功の証のようだ。


 塊を貫通し、巨大な穴を開ける。次元エネルギーを多量に喰らった敵はその状態を維持する事が出来なくなり、崩れつつも次元エネルギーにより真っ黒な爆発を見せた。


「任務終――――――」


 終わってなどいなかった。その敵が居た辺りの奥の開いた地下を覗けば先ほどの奴等と同じような改造を受けた“一般人”らしき人たちが怯えながら地下施設から恐怖の眼差しを向けてきた。


「……俺が調べる」


 弘太は地下施設へと降り、その人たちを調べる。これは弘太だからこそできる事だ。創無からの甚大な重傷を負いながらも機械化で生き残った。本人が戦う事を望んでいる以上、彼の身体に仕事において活用してもらう機能を付けるのは当然と言えるものであった。その中で軽くではあるが接続した機械の状態を自身で調べる事ができ、何か危険なプログラムがないかぐらいのチェックは出来た。


(……洗脳の類のシステムは見つからない。 これなら情報を引き出す名目で彼等を助け出すことは……)


 だが、後ろから放たれた弾丸がそうはさせなかった。弘太はそれをナイフで真っ二つに切断した。


「……どういうつもりだ?」


「仕事だ。 殺すのは当たり前だろう? 現場の判断は全てが俺達に委ねられている」


 さらに一般人たちは震え上がる……やらせない。


「……彼等の肉体を調べればそれなりの情報は出るはずだ」


「さっきの奴等と同じように細工されてる可能性は?」


「ない」


「貴様は所詮、初期程度だろう? 複雑な事は分からない」


「そんな柔で重要な施設には連れて行かない」


「だが、こいつらは俺達の知らない未知の可能性で暴走するかもな。 お前のせいで」


「貴様の様なやつはいずれ破滅を招くぞ?」


「じゃ……今招くか?」


 そういって、槍から高濃縮の赤のエネルギーを解放する。それに続いて、鞘から刀を引き抜いた弘太も同様に高濃縮の青のエネルギーを解放した。


「……前からお前の事が気に入らなかったんだよ」


「俺もだ。 お前が事が気に食わなくて仕方がない。 初めての感情だよ、クソが」


「任務はここで終わらせるか……もう仕事じゃないしねぇ、その感情が何か教えてやろうか、西幸弘太?」


 薄々分かってきてはいた。だが確信は持てなかった。それがこいつと再び会ってから分かった。この感情は……。


「そういうのはな……“同族嫌悪”って言うんだよ……!」


「……これで貴様と戦う理由が出来た」


 赤と青の閃光は音を立てることなく、交じり合い物静かなでありながら時折聞こえる荒々しい声はまさに二人の化物の衝突であり、これから始まる絶望へのカウントダウンだった。













 1年も経ちました事ですし、この調子で定期的に投稿していこうかと思います。外伝Ⅰが終われば二章になるまで外伝はやらないので、投稿を早めるか文章量を増やすかと思います。

 最初はどうなるかと思いましたが、個人としては1人だけでも多いと思っていたのでそれが複数の人に見てもらえるだけでもありがたいですね。

 見てくれてる人たちの為にもより一層に努力していきたいかと。次回にご期待を。



 

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