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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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四十四話「思惑」

 ヘルシャーの鞭が弘太たちを襲う。


 それを弘太、雅哉、ファイは各々躱す。


「うーん……同じ武器だとやっぱり飽きますねぇ……」


「何よそれ!?」


 とファイはガントレットにエネルギーを溜め、接近し軽いジャブを決める。


 ヘルシャーはそれをパンチで返す。


「ふん、それなりに力はあるようだね」


「離れろ! 邪魔だ!!!」


 ファイはそれに反応し離脱、そこから雅哉の投げたブーメランから爆撃する。


 だがヘルシャーの未知の素材で出来た鞭はそれを全て空中で爆発させてしまった。


「……セット完了」


 D-02にD-03をセットした弘太はヘルシャーに狙いを定める。


「ファイア」


 その声と共にチャージを高速で終え、弾頭は敵へと発射された。


「何……!?」


 爆弾の処理の直後だったので対応が遅れ、ローブで身を守るのが精一杯だった。


「手ごたえがあれば良いんだが……」


「きっついですね、これ……」


 多少の傷を負いながらもヘルシャーは立っていた。


「……このまま撤退するのもねぇ」


 まだやる気だ。こちらも緊張を高めながら構える。


 するとヘルシャーは鞭をしまい、ローブの中から本を取り出した。


「君たちは“魔導書”ってのは知ってるかい?」


 三人には何のことかは分からなかった。


「……やっぱりこの世界にはないみたいだね。 世界の比較ってのも面白そうだな~」


 世界の比較? こいつは何を言っている……。


「……ファイ、賀霧雅哉。 連携で行く、こいつはここで終わらせる」


 ファイは元からそのつもりだ。 雅哉は状況を分かっているのか協力はしてくれるみたいだ。


 と、ヘルシャーは魔導書を開く。


「……詠唱を代えちゃうか」


 と、魔導書の火の系統の“魔法”のページの詠唱ワードを抜き取る。


 宙に浮いた文字はヘルシャーの身体に取り込まれる。


「ふぅ……これで大丈夫か」


 軽く人差し指だけを出し、そこから火の球体が出現した。


「次元エネルギー込みの魔法にどこまで耐えられるかな?」


「……言ってろ」

 

 槍に雅哉は赤のエネルギーをチャージし始めた。それと同時に瞳も充血したように紅くなり始める。


「フフッ……フハハハハハハッッッ!!!!!」


 雅哉は突然、狂ったように笑い出した。到底、善人には見えない笑みからは理性を失っているようにも見える。


「……面白い能力を持っているね」


 ヘルシャーは火球をさらに増やし周囲に浮かせる。


「力比べと行こうか……」


 勿論、そんな事をするわけはなくこちらは三人全員でこいつを殺しに行った。


 弘太は刀へと持ち替え、先行して斬り込もうとしたがそれより早く雅哉が槍で突きに行った。


 火球による攻撃が襲い掛かるが雅哉はその攻撃を無視するかのように全身に受けながら突進していく。


「こういうタイプが面倒くさいんだよねぇ……」


 愚痴を言いながらも槍を剣で受け止めるが、明らかに先ほどより押す力が強い。シンと戦った時よりもだ。


 「……ハハッ、フハハハハハハッッッ……」


 薄気味悪い声を出しながら、槍で無理矢理競り勝った雅哉は力任せにヘルシャーにぶっ刺そうとしたがヘルシャーは目の前に火球を出現させ、少しのダメージを負うも決定的な打撃を回避した。


 その隙を狙い、弘太は刀で斬り込みに行き。ファイはエネルギーを溜め渾身のストレートを放つ。


 刀の攻撃には間一髪で避けれたが、片方のガントレットの展開した爪からエネルギー弾を後ろへ発射させ、勢いの付いた強烈なストレートがヘルシャーに炸裂する。


 「グッ……ふぅ、中々に強いですね……。 良い勉強になったよ。 また授業してくれると嬉しいよ」


 鏡のように空間を割り、無懺へと帰って行った。


「おい! 逃げるのかッ!? まだてめえを殺してねえぞ俺は!!?」


 荒々しい声を出しながらもヘルシャーがいなくなったせいか。徐々に落ち着きを取り戻し、瞳も赤から通常の白黒へと戻っていた。


「ハァ……おい、白神。 聞いてるか?」


「はいはい……賀霧君、“狂化”能力を使ったね? 口調も荒くなってたようだし君の眼も疲れているように見えるけど?」


「ああ、そうだ……会話記録をあそこの奴に遅らせる」


 「分かったよ」と白神は最後に言い連絡を切った。


「「「………」」」


 そこにはしばらく気まずい空気が流れていた。主にここにいる三人があまり接触のない関係であるからだが。


 暫く時が経ち、ファイから口を開いた。


「……ま、まぁ、とりあえず支部に戻りましょ? ね、コータも行きましょ!」


 弘太の手を両手で握り、駆け足で支部へと向かった。


 その間際に、弘太と雅哉はお互いを一瞬に睨みつけ、そこで別れた。













「随分と重傷じゃないか、そこまで強かったのか?」


 黒しか存在しない空間でメルダーは人の臓器を眺めていた。


「………」


 ケンプファーはただ何もすることなく、帰ってきたヘルシャーを少し見るが直ぐに眼を閉じた。


「手加減したのがいけなかったんですかねぇ、良いパンチを喰らいましたよ」


「ま、別に気にしてはいないさ……にしてもこの人間の生態をある程度、真似しているがどうにも我々と違うようだね」


「僕達は虚無に近い存在だし、むしろ当たり前じゃないか? 一番に知りたいのは何故僕達の世界だけ他の世界と隔離されているかだ」


 僕達が自分の存在を認識し始めてから1500年ぐらいだろうか。正確に僕達が誕生した時間は把握できていないが、あの能力者達が居る世界では1000年ぐらい前から、その隣の世界では4000年前から。


 色んな世界を僕達の世界は接続できるが、次元エネルギー……と呼んでましたか。それのエネルギーは全てを拒絶する。使用者が攻撃性を持てば全てを“消す”、特に人や動物などの生命体は攻撃性があるないに関わらず触れた瞬間にその部位は消滅する。


 だからこそ不思議な事がある。その性質の中で、何故人間はそれに適応して能力とした? 


 いくつかの世界で確認されてはいるが起因は不明。その全ての世界にて“ラヴァ”と呼ばれる同じ同胞が確認されているらしいが……事実だとしても特に何かあるというわけではないな、良い遊びになっているし。


「……ヘルシャー、能力者もそろそろ鬱陶しくならないか?」


「……あの世界を滅ぼすと?」


「ああ、別に70億ぐらいの命など少ない方だろ? 我らの数に比べたら」


 まぁ、そうではあるが……危惧すべきなのは人が次元エネルギーに適応したという事はその他の生命体も同様になる危険性もあると言う事だ。本能もある種の感情と一緒だ。生存本能が人より強い者なら安易に宇宙をやり直せる領域まで到達する……実に不快だ。


「経過観察中だ。 これ以上、めぼしい物がなければ去るよ、でももう少し見てみたいんだよね僕は。 隣の世界で手に入れた魔導書も面白いけどそれ以外も興味あるんだよ」


「人間と接触するのか?」


「まさか、人間には興味なんてないよ。 遭遇しても殺せば済む話だし」


 その時、眼を閉じていたケンプファーが立ち上がった。


「行くのかい? また能力者の世界にかい?」


「………」


 変わらず無言のまま、少し頷いた程度で割れた空間から消えた。


「……彼はあのまま行って何か得られればいいんだけどね」


「ああ、俺達より上の存在をどうにかして消せる方法を出来ればね……」


 それもそうだがまずやるべきことが一つある。


「さて、僕達が人間の物質に変質する方法だけど……」


「その事は分かってる。 ただ、されるがままなのはなぁ……」


 それは私も嫌な事だ。だからこそ、今の優勢を覆す存在が立ち向かってくればいい。幸いにも能力者はその可能性がある。


「ハァ……私も行ってきます。 情報収集を……」


 弘太たちの知らないところで計画は動いていた。そして、彼等の計画は後にとんでもない事になり人類を脅かす脅威になる。と、同時に白神のディレイブ計画も別の場所で進展を見せていた……。

 外伝6作品の予定だけど。その6作品とも全部お話し違うけど世界が同じだったり、実は隣の町で起こってたりする場合もあるかもしれない。そして、5,6作品目が一番本編と絡ませづらい。

 今の外伝は今後の章と外伝の舞台を準備する上で重要ですね。本編では主に弘太を主軸に関わってきます。多分、作中に軽い説明入れます。むしろ、他の外伝キャラはほとんど出てこないです。

 適当に入れた要素が無事に設定と組み合わさって蛇足どころかシナリオに影響を与えられてるこの奇跡は何だろう。下手な設定入れないように気を付けないといけないですね……。

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