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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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三話 「幻惑」

「……よし」


 自宅の地下室にて準備を終えたヴィオは外へ出た。


「気を付けて行ってくるのよ」


「わかってるよ、では行ってくる」


 ヴィオは自宅から少し離れた街へ向かった。


「……ふぅ、久しぶりに来たな」


 街へ到着したヴィオは自警団の本部へ向かった。


「……ボスはいるか?」


「はい、部屋でお待ちしています。」


 ヴィオは自警員が指示した部屋まで行った。


 部屋のドアの前まで来たヴィオはドアを軽くノックした。


 コンコン


「……誰だ?」


「ヴィオ・バロック」


「ヴィオか、入っていいぞ」


 ヴィオは部屋へ入った。


「……2カ月ぶりかな? ボス」


 ボスと呼ばれた男は返事をする。


「それぐらいだな、その間、何をしてた?」


「何も」


「……ハァ、まぁそれはさておき本題に入るぞ」


「仕事の内容は?」


「創無を殺すこと、それだけだ」


「……俺じゃなきゃ対応できない程なのか?」


「ああ、この近くの洞窟に恐ろしく手強い創無が現れた」


「……特徴は?」


「引き受けてくれるのか?」


「そのために準備してわざわざ来てる」


「それもそうだな、その創無の特徴だが……」


 ……実に不可解な内容であった。


 任務を引き受けた3人の能力者は洞窟で映ったそこにいたそいつの姿を見た。それぞれ全く異なった姿を見ていた。


 骸骨、案山子、腐敗した人間の死体、と言うバラバラの結果だった。


 襲い掛かってきたので対抗したが、見た目の情報が違い過ぎて敵の攻撃の見た目も違っていたみたいで連携が取れなかったらしい、連携以前に恐ろしく強かったらしいので勝てないと判断して引いたらしい。


「……まぁそれだけの情報があれば何とかなるかもしれない」


「ホントか……? それならこちらとしても何もできないので助かる」


「いや……それとこの街の近くの洞窟は確か東の山岳地帯の森林の奥だったな?」


「ああ、そうだ」


「……わかった、今すぐ行く」


「ああ、終わったら一杯行くか?」


「いや、報酬受け取って帰る」


「そうか……まぁ行ってこい」


 ヴィオは東の洞窟へ向かった。






_____________________________________


「………」


 弘太は学校にいた。


 入学して間もないのでしばらく午前だけの授業だけであった。


 授業も終わり、帰ろうとしたとき。


「……弘太君?」


 幸雪 零華が接触してきた。


「………」


「今から時間ない? 少しでいいからお話ししたいな~と思うんだけど……ダメ?」


「………」


 ……お節介焼きなのだろうか?昨日から話してくる零華に弘太は思考した。


(………)


「……何も言わないってことは用事がないってことでいいの?」


「………」


 弘太は答えられなかった。睡眠時間は今のところ必要なく6時間近くやることがないのだ。だが弘太には他人と話すという余裕を考えられなかった。


(……安易に返事をしていいのだろうか? ……わからない、だが6時間の無駄な時間があるのは事実だ…)


 そう考えてるうちに零華はこう言った。


「……もう! 何も言わないなら良いってことで解釈するね? あっち行くよ!」


 零華に手を掴まれ、そのまま近くの外のベンチまで移動させられた。


「………」


 どうやら話すことになったらしい。何を話すかまで知らないが。


 ベンチに弘太と零華は座った。

 

 微妙な距離で座った。


「………」


「………」


 話しづらいような感じだった。そちらから誘ってるにしては何故何も言わず恥じらうのか?


「……何か話をするんでしたっけ?」


「そ、そうよ! で、なんだけど、まずは改めて簡単な自己紹介からしない?」


「……構いませんが」


「よし、ではまず私から、私は幸雪 零華、この近くの中学校からこのまま進学したの。よろしくね!」


「………」


「………」


「……よろしく」


「……!!」


 まるで物珍しい物を見る反応だった。


「……西幸 弘太、前まで遠いところにいた、好きなものも得意なものもない、よろしく」


「……う、うん! これからもよろしくね! 弘太君!」


(………)


 そこまで誘うようなことを自分はしたのか?と自問自答する弘太。


「どうしたの?」


「……特に何もでもない」


「そ、そうなの……普段何かやってることとかある?」


「……ない……言えるものは睡眠ぐらいだ。」


「睡眠、ね……興味あるものとかないの?」


「………」


 弘太はしばらくの間なにも喋らなかった。


「……弘太君?」


「………」


(興味あるもの…)


 彼は欲するものはないと自分で決めているが、それでも、無意識のうちに興味、と言うよりやりたいことはたくさんあった。友達を作る、みんなとワイワイ遊ぶ、遊園地などへ行きたい……家族と一緒に居たい、など無意識のうちに色んな事が込み上げてきた。


(……今こうしてるだけでも幸せかもしれない……友達……)


 彼に一度友達ができかけたがその子どもは創無に襲われて死んだ。


 彼はそれをきっかけに何かが壊れたように今のような性格になった。


 だが、今の環境は彼に小さく淡い希望を持たせた。


(……楽しんで……良いのか?)


 そう考えてるうちに声が聞こえた。


「弘太君?ずっと黙り込んで何か考え事してるけど大丈夫?何か気に障ることでも言ったかな?」


「いえ、何も____……」


「……?」


「失礼、用事ができました」


「え? 用事って……あ、ちょっと待ってよ!」


 弘太はそのまま風のように去って行った。


(……次はもうちょっとお話してよね……)


(1体だけだが……ナイフ1本でどこまで対応できるか……格闘戦だとあの形状からして不安が残る)


 弘太の近くに創無が出現し、森の中へ去って行ったのだ。


 追って行った弘太が付いた先は、水溜まりが多く存在し、ドロドロした場所だった。


 その中で一つ異様な気を放つ物体が木々に糸の巣を張って出てきた。


 全身が蜘蛛のような形でそこにミミズのような触手が複数体中から生え、足の先から鋭い歯の付いた口のようなものが出ていた。


 恐らく捕食するような機能を備えていることから「クリート」と推測できる。


(………)


 はっきり言って今の装備じゃ不利だった。


 柳は時期に来るだろうが、それでも時間はかかる。


「……ハァ」


 一呼吸した弘太は静かにナイフ片手にクリートに切りかかった。

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