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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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三十三話「双交」

「手強いな、こいつ……」


 鎧のダバーソンは一定の範囲を離れればあちらからは攻撃をして来ない。あまり見ないタイプの創無だ。この範囲に意味があるのだろうか? どちらにしても範囲内に入れば相手は容赦なく攻撃してくる。しかもそれが強いときた。自分の強さに自負を持っているがその俺でさえ、少し苦戦している。


 レイピアで突こうにもあの黒の鎧が邪魔して上手くダメージを与えられていない。


 他に蹴りやマスケット銃で茶のエネルギーの状態で試してみたがそれでも効果はなかった。中々に硬い金属だ……創無だから本当に金属の鎧かすら怪しいが。


 露出している肌に該当する部分に一撃を送り込もうにも鎧のダバーソンの剣捌きは尋常じゃなく上手い。


 今まで誰も倒せなかったのにも納得が行く強さだがそのせいで今でも倒せてないとなると困りものだ。


 はてさて、どうやってあのバカ強い敵を倒せるのか。練る必要がある。


 幸い、あいつは近付かなきゃ攻撃しないし動かない。範囲外からの攻撃は範囲内に入った途端に高速で動いて阻止してくるので無理だ。


 結論から言えば、正攻法しか道はないと思われるがその正攻法が通用しないので困っている。


 一回戻って対策を練るというのもあるがやりたくない。早くアリーの元へ帰って飯を食いたい。その為には今ここで自力でこの難関を越えなければならない。


 それを成功させるには今までの方法以外での突破口を模索しなきゃいけない。


 そう、誰も考えないかつ鎧のダバーソンでも対応出来ない方法……。


 一人で出来る方法、一人、一人……?


 そこである考えに至る。


(一人か……二人いれば何か変わるだろうか……? 二人となると……今は俺一人だ、例え二人で攻撃しても結果は同じだ、そう「二人」で同時に攻撃した時はだ……)


 自分としては妙案を思い付いたつもりだ。後はこれを行動に移し実行、成功させるだけの話だ。


 問題はここでヴィオ自身が今直ぐ強くならない事だ。


 能力者の感情を用いての身体強化と能力獲得……今はこれが必要だ。


 だがヴィオ自身に現時点でそこまで感情を高められる材料はない。


 何か必死に感情を昂る物を考える、しかし無理矢理考えても理想の答えは出てこないもの。結局は何の解決にもならなかった。


(何か良い物はないか!?)


「……はぁ、仕方ない」


「……!?」


 自身が動き出そうとした瞬間に無意識に身体を動かしていた。


「どういう—―――――」


 気付いた時には鎧のダバーソンの範囲内、動き出した奴は剣をこちらに振り下ろす。


 その瞬間に身体の自由が利くようになり、咄嗟にレイピアで受け止めるようにして受け流した。


(勝手に動いといていざという時にこっち任せかよ……! としても何故勝手に……)


 新しい能力だとしても何の能力か分析するのにかなり時間が掛かるタイプだ。


 突然の事だったので二メートルぐらいまで距離を取り、いつでも攻撃を防げるよう防戦に徹する。


 鎧のダバーソンは相手が動くを止めるのを確認すると同じように動きを止めた。


(……範囲の他に動作か……これならまだ――――――)


 だがそれを防ぐ様にまた身体が自身の制御下から外れ、鎧のダバーソンへ向かって歩き出す。


 それに反応して鎧のダバーソンもこちらへ向けて歩き出し、剣を突き刺す。


 そして、この時点でまた自身に身体の制御下が戻る……めんどくさいなこれ、つまり戦いながら考えろって事か。そうすれば良いんだろう? ハイハイ分かりました、だから勝手に動くなよ。


 グチグチ考えながら白兵戦を繰り広げる。


(マスケット銃の弾は予備含め、後五発か……あのネズミの時に使い過ぎたな)


 華麗に斬撃を避けながら、マスケット銃に弾を装填する。


 そして、気付いた。自然と身体に力が漲っている事に。身体と心が昂っている事に。


(……久しぶりの強敵との戦いに少し燃えちゃったかな……これを狙ったのか?)


 過程はどうあれ、これで当初の狙い通りの作戦を実行に移すことが出来る。後は望みの能力を発現させるためにエネルギーの出力を調整し、ちょっと精神統一して発動させるだけだ。


 3までのカウントで実行する。


 『1』、マスケット銃で敵の足を撃ち、少しの時間を稼ぎエネルギーを身体全体に行き渡らせる。


 『2』、弾を装填し、予めエネルギーを溜められていた煙幕の玉を上へ投げ、マスケット銃で打ち砕き、この空間に少しの間、充満させエネルギーを満たすようにさせた。


 『3』、準備は整った。後は、攻撃を加えるだけ。マスケット銃からレイピアに持ち替え、鎧のダバーソンの剣の猛攻を防ぎ切り、レイピアに限界までエネルギーを溜め続けて脇腹の部分に高速の一撃を放った。


 強くなった分も攻撃は多少は通っていて、痛みを受ける鎧のダバーソン。だが敵がそれだけで苦しみを受けた訳ではない、何故なら……。


「!?!!?」


「ハァ、一度に攻撃を二つ受けた感想はあるかな?」


 ヴィオがレイピアで刺した脇腹の反対の脇腹に後ろから全く同じ傷が付いていた。


 そして、レイピアを引き抜き鎧の胸部を突く。


 完全に貫けなかったがそれでもへこんでおり、あと一撃で何とかなりそうだ。


 突いた鎧の胸部と同じ位置で背中にも同様にへこみが出来ていた。


 相手が硬くて効かないなら単純にそれより強い攻撃を使えば良い、それでも倒せない相手せず一人で無理なら見る事の出来ない「もう一人」ともう言うべき攻撃で倒せばいい。


 状況は一変し、ヴィオの優勢だ。マスケット銃で右足を撃てば反対の左足の後ろ側からも攻撃が襲い掛かり、撃ち抜かれた足では中々動きにくかった。


 レイピアを出し、止めを刺そうとしたが……。


「……!!!」


 全身からエネルギー波を放ちヴィオを後ろへと吹き飛ばす。


「クッ……」


 鎧のダバーソンの横に鏡のように割れた場所から彼らの世界である無懺が見え、鎧のダバーソンはそこへ勢いよく飛び込んだ。逃げられた。


「……まぁ、あれほど強いなら一筋縄じゃ行かないか……」


 ヴィオは立ち上がり、この広間を調べ始めた。奴がここに居た理由を知りたかった。


(ここに長期に渡り居座る理由は何だったんだ……?)


 調べ始めてからしばらくして奇妙な窪みを発見した。


「何だこれは……?」


 触ってみると奥へ押せるようになっていた。何が起こるか分からないが鎧のダバーソンがここに居た意味は分かるかもしれない。


 という事で迷わず押してみた。


 すると、どうだろうか。この広間の中心部の床が崩れ始め、そこから台座が現われた。


「……エラマに調べてもらう必要があるな」


 台座の上には何て言えばいいだろうか……言えばベルトのバックルみたいな物だ。なにやら特殊な装置、拳二つ分の大きさで少し丸まっており石のような見た目をしているがそれにしては感触は妙に金属的だ。そして、それの中心部に少し大きい二つの緑の色をしたクリスタルがまるで目のように埋め込まれていた。


 この時点でかなり怪しいがそれを確定させた要素をヴィオは感じ取った。


(……次元エネルギーと同じエネルギーをこの中から感じる……)


 次元エネルギーが何故能力者でもなくこの中に、しかもありえない量のエネルギーだ……奴がここに居た理由はかなりの確率でこれだろう。何故あそこで止まっていて壊してでも持ち出さなかったのは謎だが。そもそもそういう考えが出来るか自体疑問だが。


 ……このまま置いていくわけにもいかないので一旦持ち帰り、エラマに調べてもらった方が良い。


(だがその前にだ……)


 任務の報告をする前に、遺跡を出て自宅へ向かいアリーの料理を食べようとしたヴィオであった。





_______________________________________


「………」


 複数の触手をナイフで切り裂き、敵の懐へ踏み込めるよう機会を伺う。


 棘がいくつも生えている触手、サイのような脚、鳥のような羽の付いた身体、熊のような顔……実に見た目のバランスが取れていない奴だ。


 クリートはその触手でこちらを攻撃してきながら強靭な脚で一気に接近し大きな口でこちらを飲み込むような勢いで襲い掛かってくる。


 早くタイミングを決めないと、後4箇所の創無と同時に相手が出来なくなってしまう。


 いつもは刀などを使うがこの作戦の特異上、ナイフ二本によるアクションを重視し、能力発現までの時間を少しでも短くしようとした。


 突進してくるクリートを前に跳躍、クリートの身体を踏むように蹴り、背後を取る形で着地。その後、エネルギーを溜めた左足は刃のように回し蹴りを喰らわす。


 直ぐ暴れたので距離を取る。


「………」


「……!!!!!」


 触手を束ねドリルのような形を取り、こちらに再度突進してきた。


 集中する。逆手に持った二つのナイフに紫のエネルギーをチャージした。


 このまま時間が経ってしまえば他の創無が人を襲ってしまう。何より零華に被害が出てしまうかもしれない。それだけは絶対に阻止しなければならない。


(零華……)


 突進してきたドリルの触手にナイフで受け止める。そして、そのまま無理矢理に力を入れ、触手を切る。通常ならその部分だけ切れるだけだが……。


「!?」


 斬った箇所の反対側の同じ位置の触手にも同じくナイフで切られた状態にあり、これでドリルの状態を保てなくなり触手はバラバラになった。


 その隙を突き、顔面にキック、ナイフを叩き込む。


 妙に慣れた感覚だ。まるでこの能力を使うこと自体が初めてじゃないみたいだ。だが、今回はこれ以上の力を手に入れなければならない。


 その力を手に入れるのは簡単だった。何故なら今の彼には零華を守りたいという気持ちでいっぱいだったからだ。


 そして、牙で襲われたので後退、次にナイフがクリートに触れた時、それは起こった。


「「「「!?!?」」」」


 他の4箇所の創無にナイフの斬撃が襲い掛かる。突然の事に対応すら出来ていない。


 細かい動作は偵察機から機械脳に送られてくる映像で判断している。後はアモリで無理矢理、斬撃を創無たちの身体に密接するぐらいまで持っていく。


 4箇所の創無は防御すら出来ず攻撃を受け続け、重傷を負っている。


 後はこの5体を同時に殺すだけだ。


 一旦下がり、近くに木を利用し、クリートへ向け突撃。


 クリートが二つのナイフによって身体をバラバラにされた時、他の創無も同様の状態になっていた。


「ふぅ……終わったぞ」


「……何が起きたかよく分かんない」


 通信を通じて、説明を求めた。


「簡単だ。 空間を繋げてナイフの斬撃と同じ効果を持つ物を次元エネルギーで複製して同時に攻撃しただけだ……いや、分からないか」


「……つまり、これから一人で複数の場所の化物を同時に相手できるの?」


「そうなるな(あいつは協力しないだろうし)」


 賀霧 雅哉とはまだ何かあったわけではないが上手くやって行けるかというと怪しいのが今の現状だ。


「……もう遅い。 お休み……零華」


 あまり名前を呼んでくれない彼に呼んでもらえた彼女は嬉しさのあまりに三時間しか寝れなかったのは彼には内緒の事だ。

多分、次回かその次くらいで某シリーズからの影響を受けまくった趣味の塊が出てくると思います……w

てか今回からその要素が既に出てますね……中世時代だけでなく現代でも似たような事が起きると思います。

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