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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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二十八話「距離」

 戦闘を終えた弘太は結婚式が終わるまでずっと警護にあたっていた。


 果たして自分は幸せを守れたのであろうか?……いや、守れた。事実だ。そう信じてる、そしてこれからも守り続けなければならない……これが自分にとっての贖罪だから。


「………」


 さっきから誰かに見られているような……恐らく確実に見られている。それも二人に。


「ちょ、ちょっと押さないで下さいよ! 幸雪先輩!」


「って言っても、ここ狭いよ!」


 建物の間にいるが、見つからないようにしつつ、こちらからもバッチリ見れるようにしようとしたが建物の間がそこまで広いスペースがあるわけでもないので結果的にきつくなってしまったのだ。


「もう、仕方ないですねぇ先輩は~……あれ? 西幸先輩がいない!?」


「何であなたが許す側になってるのよ……って、本当に弘太君どこ行ったの?」


 弘太の居場所を突き止めようと、思い切って二人は飛び出した。


「「あっ……」」


「……何やってるんだ?」


 この二人に見られないように建物の壁に張り付くようにし、二人が自然に出て来るのを待っていた。


「い、いやぁ。 それはですねぇ……」


「ま、まぁ……弘太君が気になってかな?」


「俺か?」


 この返答に少しドキッとしたが、弘太には何故ドキッとしたのかは謎であった。


「うん、いつも任務の事しか考えてないようなのに、最近は少し違うからかな。 それに、弘太君が今やってることは前の件の事でしょ? なら尚更気になっちゃうよ」


「……納得の行く理由ではあるが、それでも黙って行動するのは止めてくれ。 何かあったらこちらの行動が遅れる。 穂乃﨑もだ」


「ご、ごめん……」


「これからは以後気を付けます……」


 二人が反省したところで少し気分を変えていこうと思った。


「……まぁ、別に良い……一緒に居るか?」


「良いんですか?」


「う、うん! 一緒に居る!」


 と、三人は教会の近くでしばらく雑談をしていた。気のせいか、弘太の顔が一瞬、笑ったような気がするが本当に一瞬だったので、零華は弘太に聞いたが本人も気付いていなく、真実は永遠に分からなかった。


(う~ん……ホントに笑った気がするんだけどなぁ)


(絶対笑ったよねあれ?……よし! 笑わせてみよう!)


 だが、そうする前に教会の方で再び歓声が上がった。時間もかなり経ち、そろそろ終わった頃だろう。


 そして、眞太郎がこちらに来た。


「終わったのか?」


「ああ、今終わったところ。 無事終わって良かったよ……少し見てくか? ちょっとぐらいなら別に大丈夫だ、そこの二人も」


「……お言葉に甘えて―――――」


 そこで弘太に連絡が来た。


「……少し失礼」


 白神主任からの通信だった。


「やぁ、西幸君。 元気かね?」


「……不調は今のところ。 用件は?」


 ただ連絡をよこす訳はないので、直球で言った。


「ふむ。 君に新しい装備を渡そうと思ってね。 つい先日ばかりに完成を終えたから君に報告しに来た。 直ぐに受領したまえ」


「……分かりました。 今すぐ向かいます。 では」


 通信を切り、零華達の元へ戻った。


「なんだったの?」


「……急用が出来た。 悪いが行けそうにない」


「……いや良いよ。 なら早く行った方が良いよ」


「すまない……穂乃﨑は?」


「ああ、あの子なら電話中だよ」


 そこで、深玲は戻って来た。


「あ! 先輩、私ちょっとお母さんに買い物頼まれたので今日はこれで失礼します」


「……俺も用事が出来た……また今度」


「ちょっと待ってください!……連絡先交換しませんか? 幸雪先輩や風烈さんとはしたんですが、西幸先輩とはまだしてなかったし……ダメですか?」


「……良いよ。 問題はない」


「よし! では」


 二人は連絡先を交換した。


「では失礼します!」


「気を付けて帰るように」


「はい! 分かってます!」


 深玲が帰った後、弘太も支部へ向かおうとした。


「……幸雪はどうする?」


「い、一緒に行くよ!」


「……じゃあ、今日はこれでお別れか。 また今度、何かしよう」


「ああ……また今度」


「うん、またね」


 眞太郎と別れ、支部へ向かう。零華はなにやらモジモジしていた。


「……どうした?」


「あ、いや、その……」


 ハッキリとした返事が返ってこない。


「……別に恥ずかしがることはない。 言いたい事があるなら言ってくれ。 全て受け止める」


「ホ、ホント……?」


「ああ、本当だ」


 それを聞いた零華は一息つき、自分の気持ちを素直に話した。


「あのね……私たちも連絡先を交換したでしょ?」


「……したな」


「……それでね、弘太君忙しそうだから電話もメールもあまりしてなかったでしょ?」


「……そうだな」


 弘太は高校になるまで市販の携帯電話を持っていなく、スマートフォンなどではなく、所謂ガラパゴスと言うやつである。通話、メールと言った最低限の機能しか彼は使っていない。あくまでこれはプライベート用であり、仕事で使うのは専用の端末が使用されている。


「でね、これからはもっと連絡して良いかな~と……ダメ?」


「……ダメじゃない。 任務中じゃなければ大丈夫だ」


「……ありがとう! 弘太君も何かあったら私の方にどんどん連絡して良いよ!」


「分かった」


「ふふっ、じゃあ行こ!」


 零華に手を握られながら向かう。


「………」


 二人とも照れながら歩いていた。


(ま、まぁ弘太君は、こういう経験ないし、別にバレてないよね……私もないけど)


(……ただのスキンシップ、じゃないなこれは……)


 ふとお互い目が合ってしまった。


「は、早く行こう!」


「う、うん……」


 二人は急いで向かい、支部へ何とか着いた。


「着いたね……」


「ああ……応接室で待っててくれ」


「うん、待ってるね……弘太」


 弘太はそのまま支部長室へ入ろうとしたが、扉に書き置きが貼られていた。


『実験室に来るように  白神』


「………」


 通信時に伝えてくれれば良いものを……と考えつつ、実験室へ向かった。


「おお~、来たか」


「失礼します。 西幸 弘太、只今到着しました」


「では、直ぐに本題に入ろう。 これを受け取ってくれ」


 白神主任から手渡しでケースを渡された。


「これが……ですか?」


「そうなるね。 開けて見てくれ」


「分かりました」


 早速ケースの施錠を外し、中を確認してみる。


「これは……」


 そこにあったのは「銃」であった。だがこれは……白神主任が作っただけあり、既存のどのモデルとも当て嵌まらないデザイン、そして、人が持つには少しデカすぎる。全体が銀でありながら所々赤のラインが通り、銃口も通常と比べ広くなっており、何より調べてみるとなにやら、変形できそうな構造であり、幾つかの箇所に恐らく何かのユニットと接続する部分を発見した。


 ……普通の武器とは思えなかった。確かに主任が作った物だから通常の兵器にはならないであろうが……子供向けヒーロー番組か何かで出て来そうなデザイン、そう表現するしかなかった。


「どうかね?」


「……随分と特異なフォルムと構造ですねこれは……」


「ふむ。 この「D-02」、まぁ君の為に作ってるはいえ私も人間だからねぇ、どこかで私の趣味が無意識に入っちゃうのは仕方ことだ」


「仕方ない……ですか」


「安心したまえ、性能に関しては申し分ない。 一定のエネルギーを溜めて放出すれば創無を必ずと言えるほど殺せるはずだ」


「……それなら問題はないのですが」


「……ふむ。 デザインについてはある程度考慮しているつもりだ。 さてと、実は君に言わなければならないことがある」


「……と言うと?」


「ふむ。 実はあと少しでこの区域に別の区域から能力者が新しく配属されることになった」


「……そこまでここは危険になっているのですか?」


「まぁそれもあるのだが、最近組織内で色々あってねぇ……その関係で柳にはしばらく各支部を転々としてもらう事になった」


「……しばらくはその能力者と?」


「ああ、柳は確かな信頼と能力を持っている。 それを信用して、彼には組織内を掃除してもらう。 そして、ある程度体制が整えば、ここに戻り、君たち三人でのチームとなる」


「チーム……」


「ま、色々あると思うが頑張ってくれたまえ。 その分、我々も研究を進める。 さてと、実験を開始するか。 あと、空間生成の01と02だが、今は仮名だが後で名称を変えるよ」


「……分かりました。 とりあえず今は実験に集中します」


「ふむ。 その意気だ」


 色々と考える時間が必要だが、今はD-02の試験に集中することにした。










「……ふぅ、ここか」


 弘太と同い年である少年はこの街に着いた。そう、弘太と柳がいる街に。


(支部はこっちか……さて、ここの能力者はどんな奴か……)


 首に巻かれ、赤く風にたなびくマフラーが印象的だ。左腕に前腕と同じサイズの盾があり、先に銃口が備えられていた。そして右手には槍。それも穂先が二つあり、その間はなにやら刃の下半分が黒い金属で覆われており、そこに銃口があった。


(……創無の反応。 場所はあのビルの屋上か)


 と、少年は颯爽とこの場から去って行った。

補足

この世界において教会は現在は宗教とは完全に切り離されており、教会は今や結婚式などの一部のスタイルとして知られており、教会が恐らく宗教に関わった中で一番認知度が高いまま残された物であろう。あとはイベント等で度々使われる。普段は地元の劇団などが使用している。



恐らく他にも小説作品書くだろうけど、その全てをこれ含めてジャンル違うのに全部同じ世界観でやろうという無謀を考えてる今日この頃。

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