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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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二十六話「後悔」

「……あなたは誰です?」


 男は弘太に正体を求めた。


「……西幸 弘太です……あなたは?」


「……風烈ふうれつ 眞太郎しんたろうと言う者です」


「……そうですか」


「……何で見てたの?」


「なんとなくだが……」


「……まぁいいけど、ところで何処で会ったか覚えてない?」


「……以前に急スピードで走ってなかったか?」


「……あ! ああ、あの時か! いやぁ、その時は危うくぶつかりそうなった! ごめん!」


 眞太郎は流れるように謝罪してきた。


「……別に良い。 接触は免れたから問題はない」


「……ならよかったぁ。 あの時は本当に急いでて余裕がなくてね……」


「……そこまでの急用だったのか?」


 純粋な疑問を彼に質問してみた。


「ああ……まぁ本当に急な用事が入ってね。 一番優先すべきことだったから急いでたんだ」


 少しはぐらかすような言い方をしたが弘太は気にせず話を続ける。


「……ここで何をしてたんだ?」


「ああ、親戚の結婚式があるんだけど、それの準備というか何というか……」


「……?」


「……まぁとにかく! 忙しかったんだよ!」


「そうか……もう行く」


 立ち去ろうとしたが引き留められた。


「……ちょっと待って!」


「……どうした?」


「……西幸で合ってたよね?」


「ああ、そうだが?」


「……西幸さんは何してたんだ?」


「……散歩だ」


それを聞いた眞太郎は少し心配そうな顔で言ってきた。


「散歩って……あんた今朝のニュース見てないのか?! 昨日の夜、この街で連続殺人事件があったんだぞ!?」


(……ああ、そういう風に処理したのか)


「残忍性と短期間に7人を殺害したことから複数犯らしいし、全員は捕まってないからこんなところで散歩してたら危険だぞ!?」


完全に隠すより別の物に置き換えてある程度公表する事で、マスコミに余計な詮索をさせないつもりらしい。記者たちも我々、ディノープとしての存在を知らないが、上から圧力をかけ、情報を規制する存在としては認知されている。下手に詮索すれば無事じゃ済まないのは解っているだろう。


「……まさかあんたが……」


「……歩いてると思うか?」


「……だよな、ごめん」


「気にしていない……ありがとう」


「え……?」


無意識に言ってしまっていた。何故かは……この話をされた時に、本当に心配で言ってくれた事であろう。以前なら言われても言わなかったであろう。やはり、自分自身が変わってきている。そう感じた。


「……なんでもない」


「そ、そうか……何かさっきから失礼な事しか言ってないな……お詫びに何か奢るよ」


「……良いのか?」


「ああ、気分転換もしたいし」


「……?……分かった」


何かあるのはわかったが自身が入る問題ではないので聞く事もなかった。


「何か食べたい物ある?」


その問いに一瞬悩んだが……。


「……クリームシチュー」


「う~ん……これはまたありそうで近くにない物だなぁ……ハァ、少し遠いけどそこのファミレスで確かあったはずだから行こうか」


「……本当に良いのか?」


「一度言っちゃったしなぁ。 これくらい良いよ。 これも何かの縁だし」


「……ありがとう」


「いーの、いーの、さて、行きますか!」


(……今知り合った人に対してここまでするのは普通なのか……?)


二人はそのファミレスへとゆっくりと向かった……と、その前に。


「……少し待ってくれ」


「どうしたの?」


「……少し連絡入れて来る」


「あー、ごめん。 やっぱ用事あった?」


「……いや、急ぐことじゃない」


と、支部に連絡を入れる。


「はい。 こちら、ディノープ第4支部です。 御用は何でしょうか?」


「ナンバー『Ⅳ(フォー)』だ。 応接室に居る幸雪 零華に代わってくれないか?」


「……分かりました。 少しお待ちを」


しばらくして零華に代わった。


「弘太君! 何かあったの?」


「いや……ああ、まぁ、これからこのまま出かける事になってる」


「……!? どうして急に!?」


「……成り行きだ」


「成り行きって……今どこにいるの?! そっちに行く!!!」


場所を聞かれ、素直に答えた、恐らく10分もすれば姿を現すだろう。


「……連れが来るのか?」


「……ああ、すまない。 恐らく全速力で来ると思うから直ぐに着くはずだ」


「別に問題ない」







「……っと。 急にどうしたんですか?」


「弘太君、このままどっか行っちゃうみたい! だから追いかけるの!」


 と言い、先に飛び出して行ってしまった。


「って……待ってください! 私も行きます!!」


 零華に続き、深玲も飛び出して行った。


 途中、職員に呼び止められたが、連絡が入り、その連絡を聞くとすんなりと出してくれた。


(急がないと……!!!)


 全速力で駆け抜け、僅か5分ぐらいで着いてしまった。


(……早いな)


(……ホントに全速力だな)


「ハァ……ハァ……ごめん、待った?」


「いや……早いと思うが……」


「……もう一人来てるぞ」


「……」


「ちょっと……待って……くださいよぉ」


 少し遅れて穂乃﨑 深玲もこちらへ着いた。かなり疲れている様子ではあるが。


「ホォー……西幸先輩。 何でまた急に出かけることに?」


「……ご馳走してくれるという事からそうした」


「ご馳走、ですか……」


「……やっぱり要らなかった?」


「いや、大丈夫だ」


「そ、そうですよ! 今のは急で驚いただけですから!」


「それなら良かったぁ」


 すると、零華が弘太に向けて質問した。


「……弘太君、さっきの件どうなったの?」


「まだ途中だ」


「……頑張ってね」


 耳元でそう囁かれた。


「………」


 最近、零華に対して何か思うことがある。ただ言葉にしづらかった。


 何でだろうか、霧のかかった状態でどんな感情かわからなかった。


 ただ、嫌な気持ちではなかった。


 そうこうしているうちにファミレスに着いた。4人分のテーブルに着いた。


「ご注文がお決まりになりましたらお声を掛けてください」


「あ、私は普通に自腹で払いますよ」


「私もです」


「ありがとうございます。 助かります」


 各々メニューを見始めた。


「先輩は何を頼むんですか?」


「クリームシチューだ」


「好きなんですか?」


「……嫌いではない」


(クリームシチューか……今度作ってみよう)


「私はドリアで良いかなぁ。 幸雪先輩は?」


「私は……」


 迷っていた。普通にハンバーグを食いたいがみんなの前で大量に食うのは恥ずかしかった。何故かは知らないが昔からとにかくいっぱい食べてしまう。太らないのは物凄く良かったが。


「……シーザーサラダで良いよ」


「分かった」


 店員を呼び、注文を済ませる。


「それにしても人、殆ど居ませんねここ。 やっぱり昨日の事件が原因かな?」


「……あ、ああ、そうかもな」


 やはり何かある。後で調査する必要もあるかもしれない……だがその必要はなくなった。


「……ポケットから何か落ちそうだぞ」


「あ、ホントだありがとう」


 眞太郎は慌てて元に戻そうとしたが手が震えて床へ落としてしまう。


「………」


 弘太に近かったので拾った。写真だった。不意に見てしまった。


「……!?」


 弘太は驚いた。と言うより真っ青な顔色になっていた。


「……どうしたんだ?」


「どうしたんです―――――――……」


「何を見て、……」


 そこに写されていたのは眞太郎と……零華たちを救助した時に化物へと改造される前の少年だった。


「……何を驚いてるのかわからないけどもしかして何か察してたりしてる?」


「「「……」」」


「……まぁ、僕の弟なんだけどね……昨日の事件で死んじゃったんだよ……」

 

 弘太の心に重い何かが圧し掛かる。

次の話で弘太が少し成長すると思います。

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