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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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二十五話「遭遇」

 手続きを終えた零華たちは弘太に先導され、応接室に移動される。


「ほへぇ、凄い時間かかりましたね」


「……そうだな」


 二人はまた話し始める。


「……西幸先輩ってちょっと無口な印象がありましたけど、実際に喋ると案外喋りますね」


「……それぐらいは必要だ」


「まぁ、これぐらいは普通ですよね~。 何かすいません、失礼でしたか?」


「いや、特に問題はない」


「よかった~……西幸先輩って休みの日ってありますか?」


「ない」


「……ははっ、忙しそうですもんね……あの基地での事って」


「……ああ」


 そこで一旦会話は途切れた。


 しばらく静寂が続くが。


「……弘太君」


 弘太の袖を引っ張る。


「何だ?」


「あ、いや。 その……」


 零華は黙り込んだ。


「……言いたい事があれば言ってくれ。 別に何をするわけでもない」


「……私、頑張ってみるよ。 弘太君のサポート!」


「……本当にやるのか?」


 一息つき、自分の気持ちを伝えた。


「私、少しでも手伝いたいんだ。 だってずっと助けられてきたのに何もできなかった。 けど今はできそうだからやるの。 ちょっとでも良いから恩を返したいの!」


「……」


「それにね……素直に言うと、私、あそこで子供が殺された時、怖かったんだ。 弘太君の事もあの時だけ少し怖かった……あの時だけだよ! 今は大丈夫!」


 そのまま気持ちを述べる。


「怖かったけど私が少しでも何か動いていれば一人でも多く助かったかもしれない。 だって死ぬのは誰も見たくないし望んでないし。 だから今度は私が何とかしたいの!……少なくとも誰か助けられるでしょ?」


「……ああ、助けられる」

  

「……そう、だからやるの。 一人でも多く死なずに生きられるように。 自分だけがくよくよするのも止めて前を向いて進もうと思ってるの!」


「……それだけあれば十分だ」


「……ホント?」


 少し不安げに問う。


「ああ、支障なく仕事はできる。 その意気で健闘してくれ」


「……うん!」


 どうやら零華の心を後押しできたようだ。


「……」


 一人黙っていた。


「……どうしました?」


「……凄いです!」


「……へ?」


 予想してなかった言葉に驚いた。


「幸雪先輩がそこまでの決意を持って臨んでいたとは思いませんでした……だから感動したんです!!!」


「……ありがとう」


 素で言ってしまった。けど、伝えたかったのは確かだ。


「いえいえ! 私も見倣って行こうと思います!」


「……!」


 反応は近くだ。自身が直接行った方が早いと判断する。


「……何かあったの?」


「ああ、行って来る。 ここで待っててくれ」


「……うん」


「そんなに緊急事態なんですか?」


「……まぁ、そうだな」


「……なら行ってらっしゃい! ちゃんと待ってます!」


「……」


 弘太はそのまま部屋を退出、支部を出て反応源へ向かう。


 街中で出現してしまっていた。


(……まずは状況把握か)


 近くには……教会が一番目立っているぐらいだった。


 距離が近くなったところできちんと視認できた場所に02で移動を省略し、周りを確認する。


(数は1体……ダバーソンタイプを確認)


 顔は顔と認識できるような形をしておらず、球形であり、模様の様に丸い山がいくつも出ていた。加え、首から四方向に生え、膝元まで伸びている葉みたいなモノ。身体は人と言うより……虫と言った方良いだろうか? 人型であるがそれ以外は人と呼べる特徴はなかった。


「……」


 ナイフとハンドガンを取り出し、機を待つ。


 人が来る気配はない。問題は街中という事でガラスがたくさんあることだ。


 人が暮らしている場所に人は必ずいる。だからこそ、見られないようにしなきゃいけないのだが万が一、見られた場合には記憶を改ざんするのはもちろんだが、できるだけ面倒ごとは避けたい。


 これだけの反射するモノがあると目撃者が増える懸念があるため、場所を移動したいが。


「……!」


 こちらより早く、ダバーソンは行動した。


 素早い動作で一気にこちらへ近寄り、蹴りを出す。


 腕で防ぎ、一旦後ろへと下がる。


 と、同時にハンドガンから二発撃つ。


 これをダバーソンは爪で見事弾き返す。


「……!?」


 ダバーソンへ近づき、ナイフで切り裂こうとしたがその瞬間に両手両足がつるによって拘束されていた。


「……!!」


 そのままへ引きずり込まれる。


「……! キックッ!」


『RELEASE』


 チャージを開始し始めるが、ダバーソンの顔が「開いた」。


「!?」


 包まれていたかのように開いたそれはまるで虫が背中の羽根を広げた状態であった。


 まるで顔自体が何かの虫そのものと言っても過言ではなかった。


 だが中からは虫のような目と口があった。


「……!!!」


 口から泡を吹き出す。攻撃をしようとしていることはすぐわかった。


『CHARGE END』


 ダバーソンの口から得体の知れない体液が放出される。


「フィニッシュ……!」


『FINAL STRIKE』


 距離1メートルの所で発動し、D-00の溜められた青エネルギーは解放され、つるを消滅させ体液は解放されたエネルギーに当てられて消えた。


「ハァ……ッ!」


 ダバーソンの腹部にミドルキックを喰らわせた。


「……!?」


 深手を負ったダバーソンは何もない場所に手をかざす。


 すると、新たな空間が出現する。彼らの世界の出入り口だろう。


「……!」


 阻止しようとしたがそのまま逃げられてしまった。


「……」


 状況を再度確認したが、誰もいなかった。誰かが通りすがった感じもなかった。


「……ハァ」


 支部へ帰ることにした。ダバーソンを追うにもあちらの世界「無懺むざん」に逃げられちゃ追うにも追えなかった。


 帰る時、ふと教会を眺めた。


「……」


 特に何があるわけではないが目に映ったのでしばらく見ていた。


 すると。


「……何か用ですか?」


 弘太と同じぐらいの年齢の男が声を掛けてきた。


「いや……なんでもない」


「……どっかで会わなかったか?」


 と、男は質問してきた。


「……すれ違った事は記憶している」


「ああ……そうだったような気がするな」


 幸雪 零華との出会いによって弘太の運命が少しずつ動き出したのは確かだ。


 だが、この出会いともう一つの出会いによって彼の運命は理不尽に加速し始める。

 









_______________________________________


「何してるの?」


「いや、まぁなんだろう」


「なんだろうって……自分のやってることがわからないの?」


 思わぬ返答にアリーは少し呆れた。


「祖父がやってたんだが細かくはよくわからなかったなぁ」


「ふうん……にしてもでかいわね、これ」


 龍の形をしているが、材質は布で出来ていた。


 それを糸で繋ぎ、空に上げる。


「よく飛ぶわねぇ」


「手抜きして作ってるわけじゃないからな、飛ぶのは当然だ」


「……たまにやってたりしたの?」


「いや、多分今回で二回目だと思うが」


「……それはまた何で突然にやったの?」


 アリーの質問に少し困った顔をしたが、一呼吸をし、答えた。


「う~ん、やっぱり暇だからなのもあるけど、何より祖父がやってたからか特別だからかな? 確か、みんなの幸せを願ってやってた気がするが……それ以上は幼過ぎて記憶にないな」


「へぇ~……私もやっていい?」


「別に良いが……できるのか?」


「だから教えてよね ヴィオ」


「……あー、はいはい、わかりました」


 そこには仲睦まじい夫婦の姿があった。

予定より書く話数が増えて大変だなぁ


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