二十一話「協戦」
刀と短刀の斬撃がサドゥシングの脚に直撃する。
「……?!」
隙を突いた攻撃にサドゥシングは怯んでしまった。
全身に鱗のようなもので覆われており、その鱗の間からは茫々と毛が生えた5メートルの蜥蜴であった。
確かに直撃したが鱗が硬いせいか、さほどもダメージを受けている様子はなかった。
弘太と柳は今の状態では効かないと判断し次の一手へ出る。
弘太はハンドガンを取り出し、エネルギーチャージを行う。
柳は閃光弾を出し、サドゥシングへ投げつける。
サドゥシングは後退し、瞼を閉じ、やり過ごす。
隙を作るのにこれで十分だ。
既に弘太が至近距離であり、紺へと段階を上げ、斬りつける。
だがやはり、頑丈な鱗には傷一つつかない。
「!!!」
サドゥシングは牙を露出させ、こちらを喰らおうとする。
弘太は尻尾の方まで跳躍、ジャンプ中に二、三発撃ったが手ごたえはなかった。
サドゥシングは棘の生えた尻尾を縦横無尽に暴れまわす。
その攻撃を刀で一つ一つ丁寧に受け流していく。
その間、柳も近づき、短刀で瞳を狙う。
弘太は一旦距離を取り、態勢を整える。
サドゥシングは目の前にいる相原 柳への迎撃を優先した。
瞳を狙おうとする柳に口から黒い煙を発射する。
「クッ……」
周りは黒の煙一色で周りを把握できない状態であった。
「………」
「………」
二人は警戒する。
煙の中から弘太に向かい、切り離されたされた尻尾が勢いよく飛んでくる。
少し想定外の事象に弘太は咄嗟に防御するが間に合わず吹き飛ばされる。
「ウッ……!」
「……」
柳はさらに警戒を高める。そして。
柳にも同様に尻尾が襲い掛かる、今度は切り離されていないが。
受け身を取ることもなく、跳躍、さらに尻尾を蹴り、顔面まで飛び、顔の近くに一発、弾丸を放つ。
サドゥシングはその弾丸に気を取られ、一瞬の隙ができる。
透かさず青へとエネルギーの段階を上げ、左目へ一撃を与える。
「!?!!!!」
悶え苦しむ、もちろんその隙を突き、右目も攻撃し視界を封じようとし、発射するが。
サドゥシングの肉体に変化が起こる。
「……あれは」
20メートルの巨体になり、頭から尻尾まで鬣が生え、浮遊しているそれはまさしく「龍」であった。
「………」
立ち上がり弘太はその姿に不快な表情を見せる。
「……怪我は?」
「支障を来たすほどではない……あれは?」
「……変異した、あの大きさからするとこのまま戦うのは不味い」
すると龍は口から火炎を放射する。
二人は避け、近くの物陰に隠れる。
「……あいつと戦ってお前は大丈夫か?」
「今は問題ない、それよりこの状況だと一般人にばれる、よって01を使う、準備を」
「……了解」
龍が動き出す前に二人は正面に向かって動き出した。
「……!!!」
龍は再び火炎を放射しようとするが。
「……!」
刀で空を斬り、そこから次々に空が割れていき、やがて弘太と柳、サドゥシングを包み込み、01へと戦場を変えた。
「……!?」
「……!!」
サドゥシングに苦しみを与えるが、それは柳にも来る。
「ハァ……ハァ……」
「……戦えるか?」
「これくらいはいける、問題ない」
「……わかった、行くぞ」
「ああ」
二人はハンドガンをリロードする。
そして、柳は短刀を収め、弘太からハンドガンを受け取り、二丁拳銃で戦うつもりだ。
弘太は渡した後、02からもう一つの刀を取り出し、二刀流となる。
柳は後ろへ回り込み、弘太は正面でサドゥシングを迎え撃つ。
「……!!!」
サドゥシングは尻尾を振りながら、的確に爪でこちらに仕掛けて来る。
何とか躱しつつ、攻撃をするも、中々打撃を与えられない。
「………」
彼の中で再び心が動く、あの龍のタイプに対しての感情、それは忘れようにも忘れられない記憶を呼び覚まし、高鳴りが起き、彼をもっと高みへと向かわせようとする。
弘太に尻尾が振りかかる。
弘太は微動だにしない。
(弘太……!?)
彼に直撃しようとした瞬間、彼はそこから「消えた」。
「……?!!!?!」
サドゥシングは当然の出来事に驚き、弘太がどこに行ったか探すが一向に見つからない。
すると。
「!?!?!」
サドゥシングの両目に深々と二刀の刀が突き刺されている。その刀を持っているのはもちろん弘太だ。
すると弘太はまたそこから消え、柳の目の前に現れる。
「………」
「……あれは?」
「……透明化だ」
「……透明化と02を使ったのか?」
「……ああ」
透明化し、02でその場から消え、敵の目の前で出現し攻撃したというわけだ。
「まだ確実に使える保証はないが今は問題ない」
「……了解、終わらせるぞ」
「……了解」
透明化し02で前足まで到達、鱗の間を茶エネルギーまで上げた二刀で両断する。
「……?!??!!」
視覚を奪われたサドゥシングには何が起こったかわからずただただ無差別に暴れるばかり。
二丁のハンドガンを使い、青エネルギーまで上げた弾丸を前足の切断面に向け、トリガーを引く。
サドゥシングは苦しむ、弾丸は身体を貫通する。そして増えた切り口にも攻撃し、確実に傷を負わせ、中を露出させる。
生きようと宙を飛び回り、火炎を放射してくる。
「キック」
『RELEASE』
D-00は青いラインを発光し、エネルギーを溜め、濃縮されていく。
火炎を二刀で切り裂き、足場を蹴ってサドゥシングの顔元まで行き、牙を切断する。
「……ふぅ」
二丁のエネルギーを灰まで上げ、ギリギリまで待つ。
左足で勢いよく顔を蹴り、サドゥシングを柳へ吹っ飛ばす。
「……!!!」
だが最後の力を振り絞り、柳に特大の火球を放とうとする。
『CHARGE END』
「フィニッシュ」
『FINAL STRIKE』
その音声と同時に弘太はサドゥシングへ向けて右足を出し、キックする。
「……フッ!」
両方のハンドガンから同時に射撃、弾は顔から、足は尻尾から貫き、入れ違うようにして一つの大穴を開ける。サドゥシングを完全に殺した、任務終了だ。
「………」
弘太の意思により01は自然に粒子となり消えるようにその場は通常の空間へと戻っていった。
片方の刀をしまい、自身のハンドガンを柳から受け取り、ホルスターに収める。
「……どうやらほか二箇所も終わったようだ」
「そうか……主な被害はなし、発電所も無事を確認、報告する」
「ああ、任せた」
通信を入れ、支部の白神に繋げる。
「任務を終え……どうしました?」
「……」
任務終了を報告しても深刻そうな顔は変わらない。
「……西幸 弘太、さらに任務を与える」
「……内容は?」
「敵対組織の殲滅、及び民間人の救出だ」
「……了解しました、詳細を」
「ああ、そちらにデータを送る」
送信されたデータを読んでいく。
「……この任務の最中に誘拐されたってことですか…」
「ああ……どうやらこちらの事をある程度把握したうえで計画されたものだ」
「通常ならこの事態になる前に監視員が決着を付ける……一回支部全体を掃除する必要があるようだ……」
救出対象者の中に見覚えのある名前が載っていた。
(幸雪 零華……)
「……任務内容については大丈夫か?」
「把握しました、現地の機動部隊20名との連携救出任務を実行します」
弘太はすぐさま去る。
「……相原は引き続き巡回を、この晩は君一人に任せることになる、すまない」
「大丈夫だ典幸。しばらく普通の状態に戻るだけだ」
「……そうだったな」
通信を切り、相原はこの場を立ち去った。
序盤にしては主人公の能力、強すぎる気がするけど予定通りです。




