十五話「警告」
「……どうかね?」
「悪くないが……これは元々この状態で使う代物とは感じない」
「鋭いねぇ、そうだよ、これは元々このまま装着するものではない、けどこの状態でも使えるから調整して君に渡したんだ」
「元は?」
「悪い、まだ完成できてないから正体についてはその時で良いかな?」
「……ああ」
「あー、あと倉庫から武器持ってても構わない。その代わりレポートを提出してくれ」
「了解」
倉庫から武器を調達、02へ収容し、自宅へ帰った。
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ヴィオは街へ着き、知り合いの研究室へ向かう。
「エラマ! いるか?」
………
返事は来ない。
「……勝手に入るぞ」
出かけてる可能性としてはアイツが出かけるときはそもそも部屋に鍵掛けるし、開いてるときは助手が居るはずだ、という事は……。
奥へと進む、すると。
「……ハァ、起きろ、エラマ」
エラマはヴィオに叩き起こされた。
「!? っと……ヴィオか、そんな急に起こさないでくれよ……」
「調べてほしいものがある」
少しイライラしたような口調でエラマの言葉を無視し話に入るヴィオ、エラマはそんな彼を見て、直ぐに顔色を変え、彼の話を聞く。
「で、調べてほしいものとは?」
「これだ」
ヴィオはカバンから手記を取り出す。
「読ませてもらうね、見たところそこまで古びてはいないが……」
数分の間、手記を読む進めるエラマ、そして。
「う~ん、未発見の創無かぁ、これは解明するのに時間がかかるねぇ」
「構わない、こちらも急いでる訳ではない。」
「何か分かったら報告するよ」
「ああ、頼む」
「……少し飲むかい?」
「酒以外なら今は」
「じゃあコーヒー出すよ」
「それで良い」
二人はコーヒーを飲みながら、ここ最近起こった事を暇潰しに話し始めた。
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自宅へ帰った弘太はさらに02に他の装備も幾つか収容した。
そして制服に着替え、高校へ行く準備をする。
「………」
栄養剤を飲み、カバンへ教科書とノートを入れ準備を終える。
(学校……授業……)
今まで能力者としての仕事をしてきた弘太には学校というのは生まれて初めての事である。
だが、ある程度の教育は施されているのでそれなりの知識は保有している。
感情が少しずつ良い方向とは言えないが彼の中で蘇ってきている。
準備を終えた弘太はそのまま高校へ登校した。
クラスの中は賑わっている。
その中で彼だけ異様な空気を放ちながらもクラスに混じる。
席に着く。
ホームルームが始まるまでまだ時間があった。
窓から景色を見る。
創無がいないか警戒しながら見ていた。
すると。
「弘太君?」
女生徒に名前を呼ばれ振り向く。
「……おはようございます」
「うん、おはよう!」
明るい笑顔で幸雪零華は挨拶を返してきた。
「弘太君 一つ聞いていい?」
「……ああ」
「わかった、聞くよ! 何で昨日ビルの上に居たの?」
「………」
真相を知るために直接女生徒は聞きだした。
「………」
「……教えてくれないの?」
「………」
彼は何も答えない。
その状況を見ている男子生徒がいた。
「………」
(……聞いても無理そうだな)
津田は直ぐに諦め席に着く。
「……ねぇ、何か言ってよ」
少し悲しげな声で言った。
「……言ってその後どうする気だ?」
「……!!」
弘太の放った言動に零華は返答に困った。
「………」
何か返事を返そうと言葉を探す、しかし。
「席に着いて ホームルームを始めます」
担任の「吉木田 葵」が教室に入って来た。
零華は戸惑いながらも席に着き、ホームルームを迎え、その後の授業も受けた。
「………」
授業を受けた感想としては特に何も感じなかった。
ただ一般の高校生が受けている授業を知れただけでも彼にとって幸福であるかもしれない。
学校も終わり、帰宅しようとする、だが。
「弘太君......」
女生徒が再び接触してきた。
「………」
弘太は女生徒にまた連れられ、人気のない場所へ移動させられた。
「………」
「………」
音のない時間が続く、が 零華がその沈黙を破る。
「弘太君……さっきの事以外で聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「……手短に」
「弘太君は化物と戦ってるの?」
「……戦ってない」
弘太はそう答える。
「……じゃあ他の質問、弘太君は…今までどこに住んでたの?」
女生徒は過去に2回助け出された人物を弘太か尋ねたかったが先ほどの会話で少し臆病に一歩下がる思いで言い出せなかった、何より会話している時の彼からの威圧感が凄かった。
「……覚えていない」
「そう……今時間とかって空いてる?」
「……2時間は空いている」
さほど重要な情報と判断しなかったのか正直に話した。
「……ねぇ、どこかの店で何か食べようよ!」
「………」
また沈黙が訪れる、が
「……構わない」
「……良いって事?」
「ああ」
意外な一言に零華は驚いた。
「!!……早速行きましょう!」
弘太の手を引き連れ、学校を出る。
来たのは近くのカフェ、洒落た店で女性客も多く賑わいがあるこういう店の方が話しやすいと零華は判断した。
(ここなら多少のことは賑やかだし周りを気にせず話せるかな……? ……よし!)
「弘太君、お昼まだだよね? 何か食べようよ!」
「……食事は必要ない」
「じゃあせめて飲み物でも飲もうよ」
「……コーヒーで良い」
「わかった! すいませーん! コーヒー一つとアップルティー一つ、後チーズケーキ二つお願いします」
「………」
しれっと弘太の分も零華は注文していた。
「私のお奢りだから気にしないで!」
「……自分の分は払う」
「そ、そう……」
「……? 弘太君のシューズ、少し変わってるね」
「……貰いものだ」
「へぇ~……弘太君って好きなものってある?」
「好きなもの?」
「うん、何でも良いよ、何かないの?」
「……ない」
「……弘太君普段何してるの?」
「睡眠……後は道具の手入れぐらいだ」
「手入れ?」
「……バイトで使ってるものだ」
「そうなの……って弘太君バイトしてるの?」
「ああ」
「どんなバイト!?」
「……人を助ける」
「へぇ~」
(バイトで人を助ける仕事ってあったっけ?……あ! そうか! 化物と戦ってる事を言ってるのか!ってことは道具って……化物斬った時の刀とかかな?……危険だなぁ)
(……それにしても目撃されてる私に何でわかるような事言ったんだろう)
(………)
そもそもこんな話誰に言っても信用されない、ましては情報の元が高校生なら尚更だ。
それに漏らそうとした時点でこちらが記憶操作を行うので問題ない、万が一漏らしたら知っているもの全員記憶操作すればいいだけの話だからである。
注文したものが来た。
弘太はコーヒーを飲み、零華はチーズケーキから食べ始める。
……周りからは少しカップルに見えなくもない、実際周りの客からはカップルに見えている。
周りから見えている光景が事実であったならどんなに楽だったろうか、実際は女生徒の行動によって記憶処理されるかされないかの状況であった。
(食べられなくもないが……胃が機械化された状態で食すのは久しぶりだな)
だが。
(……近いな)
創無が現れた。そう
(反応が二つか……)
チーズケーキを一口食べ、立ち上がる。
「用が出来た」
「え!? ちょっ、ちょっと!」
「金は置いておく」
1万円札を置き、カフェを出る。
「弘太、聞こえてるか」
「ああ、今近いから向かっている」
「タイプはおそらくディースト、どっちも二体ずつだと思われる」
「了解」
通話を終え直ぐ向かう。
02からナイフを取り出す。
柳は短刀とハンドガンを持つ。
お互いに少し不利だがやる以外に道はなかった。
(……任務を遂行する)




