十四話「怪明」
「……読んでなかったがここまで貴重な物とは……」
小さい頃に読んでいたが、そこまで詳しくは分からなかったのであまり興味を持たなかったが、今改めて読むと何故もっと早く読まなかったと思わざるを得ない内容であった。
(……祖父の代で終わっている)
父の代から書かれていない、彼の記憶では父は少なくとも何かに記録をしていたはずだ。
そう考えつつさらにページをめくる。
……どうやらこの手記は少なくとも500年前から存在しているようだ。
500年経って少ししか古びてないのは一番の疑問だがそれ以前になぜ500年以上もこの手記が続いているのか、そこが問題だ。
一番古い年号では文字が霞んでたり今の時代では使われないような字が使われていて読めなかった。
(……後で知り合いに頼んで解析してもらうか……)
その前にできるだけ自分で解読しようと努力する。
そして全ての世代に共通してある文章が同じ文字で使われていた、それは……。
『世界は全て飲み込まれ消滅する、人を被った怪物によって』
「怪物……」
(……何故500年もの間我が先祖たちは同じことを書き記してるんだ……?)
怪物とは創無で間違いないだろう、人を被ったとは人型であることは予想着くが……世界を全て飲み込んで消滅する?……そんなタイプ今までに出たことは……。
(……ダメだ、埒が明かない……これだけでは情報が足りなさすぎる、早速「エラマ」に頼もう)
ヴィオは手記をカバンに傷付かないよう包装してから入れ、アリーに告げ家を飛び出した。
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(……帰ってたら曲聴いて寝ようかなぁ)
コンビニの帰り道、飴のついでに安かったショートケーキを購入し、帰宅する零華、だが。
(ん?……あれは!?)
夜の街で見つけたものそれは彼女がよく見知った人物であった。
(弘太君!)
弘太のもとへ走った。
だが肝心の弘太はビルの上に居た。
(何であんなところにいるんだろう……)
弘太は周りを見ながら周囲を警戒している。
一瞬、零華の方をチラッと見たと思ったら直ぐ街の空を飛び去って行ってしまった。
(……やっぱり弘太君だよね、あんなところにいて見張りみたいなことをしてるっことは……やっぱり私を2回も助けたのは弘太君で間違いない!)
だが弘太は夜の街の空へ消えた、追うにしても追いつかないし場所も見当もつかない。
(……明日学校で弘太君に聞いてみよう……あ、ショートケーキ少し崩れてる……走りすぎちゃったな……)
少し残念そうに帰って行った。
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「………」
適当に麺類の食品を買いゆっくりを足を進める。
(……どうにも何か最近変な事しか起きないな……)
そう考えながら歩いていると。
(……あれは……)
ビルの上から立ち去る人影、それを見つめる女性。
(……どっちもうちのクラスだよなぁ……)
そう思い、近付く。
だが、女性の方も去ってしまい、行方が分からなくなった。
(……後で聞くか)
津田命も家へ帰宅した。
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「……」
空間をあの後一度使用してみたが……どうやら空間は2つ生成できるらしい。
分かることはエネルギーを大きく消費したあの空間と比較的エネルギーを消費しないまだそれほど使ってないいない空間であった。
この2つをどう使うかは研究班に任せるとして、問題はこの空間生成を安定して使えるかどうかだ。
先ほど使ったがいつでも使える保証はない、ついさっき手に入れた力なら尚更だ。
弘太は少し見回りを早めに終え、組織の支部へ向かった。
「……ご苦労だった、後は変わる」
「……ああ」
「報告にあった能力は身体に影響あるのか?」
「……消費量が多量以外はない」
「今から支部へ行くのか?」
「ああ」
「……まぁ、じっくりと解析してもらえ」
「ああ」
「………」
「………」
「……通信切るぞ」
「了解」
通信を終え、しばらくして弘太はディノープ支部へ到着した。
「やぁ、入ってきたまえ」
「……失礼する」
「さて、早速報告にあった能力についてもっと詳しく教えてもらえるかな?」
「……了解した。「白神」主任」
この主任と呼ばれた者、「白神 典幸」はこの支部の研究者であり、同時に支部の所長の役職に就いている男である……研究がメインであるため主任で呼ぶことが定着している。
「……ふむ、二つの空間を生成する、か……」
そう呟きながら端末から資料を探す。
「……あまり見られないが空間を生成する例は幾つかあるが二つか……実験室に入ってほしい」
「了解」
次元エネルギーに少しでも耐えるために作られた特殊な金属「ヘルブメタル」で構成されたこの部屋でなら弘太がある程度派手にエネルギーを放出しても外へ漏れる心配はない。
特殊な観測装置を弘太は身に着け、実験室へ入る。
「あーとりあえず名称を決める。君に負担のかかる方を01、もう一つを02と仮であるが呼称する、02から生成してほしい」
「………」
弘太はそのまま02を生成した。
そして白神主任の指示の下、様々な検証を行った。
「……ふむ、そこまで特異な現象は見られないが空間は安定している。では次は01を出してくれ」
続いて弘太は01を生成する。
「……中々にエネルギーが溜まっている空間だな……身体の調子はどうだ?」
「楽だ。使用後は消費が激しくてしばらく使えない」
「ふむ……1分間01内で自由に動いてくれ」
「……了解」
弘太自身、空間内でどれだけ身体を動かせて負担のかからない攻撃する為にを知る必要があった。
刀を抜き、空を斬る、次に足技を幾つかやったところで時間が経った。
「……記録は取れた。実験を終了する。」
「了解」
空間を解除し、実験室を出て主任の元へ戻る。
「……完璧と言うわけではないがある程度のデータは取れた。01に関しては君のエネルギー保有量からして使用できる時間は5分、使用不能時間は約5時間程度だ」
(……最後の手段か)
「そして02は01と比べ安定性があり、次元エネルギー消費も少ない、だが02で戦う事は無意味に近いだろう、01のような凶悪な空間ではないからな」
「使い道としては移動に使うか、武器の収容というところか」
「……把握した」
「これは君の戦闘でも大いに役立つ筈だ。何より02により移動距離の省略、いくつもの武器がどこでも使えることは創無を殲滅することに大きく貢献するはずだ、これからも任務を頑張ってくれ」
「……分かりました、失礼します」
「少し待ってくれ、渡したいものがあるんだ、来てくれ」
弘太は白神主任についていき、開発フロアに到着し、靴のようなものが見えた、だが靴にしては金属でできていて、右靴には何かの装置が付けられていた。
「これが君に渡したいものだ」
「……白神主任、これは一体何ですか?」
「君の戦闘は武器だけでの戦闘だけではなく腕や足を使って戦闘することが多く見受けられる。だから過去の戦闘データを基に開発した装備だ」
「君は足技を多用しているが足に対して特殊な装備を何一つつけてないだろう?創無相手に流石に危険と判断し開発を行った。なるべく邪魔にならないように研究を続けた結果、シンプルに余計な装備を作るより普段身に着けるものを兵器化した方が君にとって有利になると結論が出て、その中からシューズ型の兵器となった。」
「……助かる」
「試しに実験室で試すか?」
「ああ」
「名はD-00だ。これからも新たにデータが入り次第、新装備を作ろうと思っている。有効活用したまえ」
「……善処する」
その後実験室でD-00による試験が行われた。




