十二話「好戦」
「………」
「どうしたの?」
「いや、何もやることないとなぁ」
「なら自分の部屋の掃除でもしたら?」
「う~ん、後でやるよ」
「そんな事言ってないでさっさとやってきなさいよ……!」
そう言われ自室へ閉じ込められたヴィオ。
「……ハァ、やるかな」
ヴィオは自室の掃除をし始めた。
(う~ん、確かに少し埃だらけだなぁ……定期的に掃除しようか)
そう考えながら掃除しているうちにとあるものが出てきた。
(これは……)
古びた手記のようなものが出てきたのだ。
(懐かしいなぁ、いつの世代から書いてるんだっけ……)
疑問を晴らすため手記のページを開く。
「これは……」
そこには少なくとも20代も前からの記録が確認できた。
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刀による斬撃と道化師による人形たちの舞が廃坑の目の前で繰り広げられていた。
少年の放つ斬撃は衝撃を放ちながら確実に人形を一体ずつ破壊していく。
対する道化師は余裕を思わせる行動を取りながら己への攻撃を回避する。
少年は刀を地面に刺し、それで軸にし身体を空中にさらしながら回転、横からの蹴りを入れる。
道化師はそれを躱す、そしてナイフみたいなものをこちらに突き出してきた。
少年の腕に掠り傷が付いた。
少年は悲鳴を上げることなく次の行動に出た。
ナイフを二本取り出し、両方とも逆手で構えそのまま正面へ仕掛ける。
道化師は上方へ跳躍、そのまま落下し人形たちと一緒にナイフを少年へ突き刺す。
少年はギリギリ躱しきれず右腕に多量の出血が起きる。
道化師は強かった。少年も能力者ではそれなりに強いがそれでも奴には敵わない。
少年は一旦距離を置き態勢を整えた。
「………」
「………」
少年は左手のナイフをしまい、代わりにハンドガンを取り出した。
右手のナイフも逆手から持ち替えた。
ハンドガンの銃口から弾丸が射出された。
道化師は避ける必要もなくそのまま当たる。
傷はない、前よりも進化し並の能力じゃ無理だということが少年は理解した。
だが進化するのはこちらも同じ、創無と能力者は生きる次元はもはや同じ存在、能力者は元が人間でないこと以外はあまり変わらない…強さはあちらが上だが。
「………」
少年はエネルギーを濃く溜め再度銃弾を放出した。
それと同時にナイフで空中を引き裂く。
引き裂かれた空中の後にはナイフで切り付けられできた斬撃が消えることなくその状態で維持されていた。
少年はその斬撃を右足で蹴り、まるで武器のように扱う。
弾丸に続き斬撃は道化師の方へ飛んでいく。
道化師は人形を盾にし避けようとする、しかし。
それより先に少年は地面に刺した刀を左手で抜き、弾丸と斬撃は1体の人形に当たり、2体目を刀で一瞬にして両腕両足を切断し行動不能にして、右手で持ったナイフを道化師に投げた。
「……!」
道化師の右腹部に命中、浅い傷が付けることに成功した。
道化師は後退し、人形たちを前に出した。
「………」
少年は刀とナイフを収め、右手で拳を作り前へ出し左手は平手を作りファイティングポーズを取った。
「……ハァ」
少年はこの任務中唯一発した言葉を最後に人形たちへ飛び込んだ。
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「………」
(やることないなぁ)
そう思いながらスマートフォンを弄る津田。
最近、この街だけじゃなく全世界で奇妙な話がある。
鏡や水などの映るもののみに写る怪物の存在。
その全てが現実に現れることなく目撃されているらしい。
そいつらは人間を食らって、謎の儀式をしているらしい。
写真を撮ろうにもなぜかあらゆる機器で映らない、カメラや携帯は範囲外ということだろうか。
そのせいか話だけの存在となり、それがさらにネットの一部の界隈の人たちを騒がせた。
噂だけの存在のせいか世間に晒されることなくネットだけの架空の存在となってしまっている。
ネットでは鏡の世界が存在してるとか、侵略準備を進めてる宇宙人とか、きっと異世界の存在で人類の常識ではありえない力を持ってるとか、本物の妖怪、幽霊など色んな説が飛び交っている。個人的にどれでもない気がするが。
俺はこういうオカルト系にはそこまで興味はないがそれと似たような存在と見かけてしまっては流石にその存在について知ろうとしてしまう。
だが、これ以上の情報はガセネタと思われるものが多く、信用に値する情報は見つからなかった。
(あれホントになんだったんだろうなぁ)
(……夜飯買いに行こっと)
自宅から外出した津田はそのままコンビニへ向かった。
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「はぁ~、勉強終わった~!」
そう言い椅子にもたれかかりながらキャンディを口に運ぶ。
(にしても……弘太君今何やってるんだろう……やっぱり変な化物をやっつけてるのかな)
零華は以前創無に襲われ殺されかけたことがある、だが、幸いにも街中での出来事だったのでその前に弘太によって救われた、零華本人はその時の弘太の顔をはっきりとは見えていなかったがそれでも何となくだが弘太だとわかったらしい。
……いや、一つだけわかるものがある、それは目つきだ、救われた時の弘太の目つきは一般人では出せないものであった、だからこそ弘太だと確信したのだろう。零華本人は気づいていないが。
(あの鏡の化物……やっぱり夢とかじゃないよね、近くにあったものも壊されてたし……何より弘太君頻繁に人が寄らない怪しい場所に行ってるし……)
(……あ、キャンディ切れた……まだそこまで暗くないしコンビニ行こうかな)
軽く身支度を整えた後、零華もコンビニへ向かった。




