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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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九話 「不穏」

 雪合戦が始まった、エミルが最初に仕掛けた。


「この~!」


 エミルの投げた雪玉が弘太とユーリを襲う!


「ふぅ~」


「お兄ちゃん投げすぎ……」


 弘太は壁で身を守り、ユーリは少し遠くへ逃げていた。


「……今度はこっちの番だ!」


 30個ぐらいを10秒でエミルに投げつけた。


「!? ちょっと待っt___」


 エミルに大量の雪玉が襲い掛かる!


「げほっ! げほっ! 本気出し過ぎだよ! コウタ !僕も負けないからな!」


 エミルがさらに雪玉を投げる。


(……エミルもよく投げるなぁ)


 一回で両腕で4個ぐらい投げてる気がする、そんなに投げても狙いがずれて無駄な気がするんだが……数で攻めるってことか。


(ならこっちも……!)


 弘太はさっき以上に雪玉を投げた、50個の雪玉がエミルに降りかかる。


「ハァ……ハァ……それほどの事で負けないぞ!」


(私は……?)


(……コウタさんの側につこっと!)


 ユーリはエミルに向かって雪玉をこれでもかとぐらい全力で投げた。


「え!? ユーリが何でコウタ側にについてんだ!? ずるいぞ! コウタ!」


「僕に言われても……」


「お兄ちゃん雪玉の数多いからいいでしょ!」


「で、でもさぁ……なら2人まとめて相手にしてやる!」


「……最初から全員ライバルだから当然じゃないのか?」


「うっ……このおおおおお!!!」


 エミルは無差別に雪玉を投げた。

 

「っと____思いっきり当たったな……」


「よし! まず1人、後はユーリだけだ!」


「えい!」


 エミルは雪玉を躱す。


「へへん!そんなんじゃまだ僕n_______」


 額に直撃していた。


「私の勝ち……!」


「……ハァ、負けたよ」


「おめでとう、ユーリ」


「う、うん!」


「にしてもすごく疲れた気がする」


「あんなに動けばそれは疲れるはずだよ」


「ふわぁ~、私も少し疲れて来たかも」


「少し早いけど家に帰るか?」


「うん、コウタさんも是非うちで休んでね」


「わかった……お昼ご飯何か少し楽しみになってきたかな」


「ママが作るものは全部美味しいよ!だから絶対期待しててね!」


「……話も決まったし帰るか!」


 3人はスピット兄妹の家に移動した。






「ただいまー!」


「ただいま~」


「お邪魔します」


「エミル、ユーリとお友達だね~、どうぞ入って、今飲み物出すから」


「コウタだよ! あと一緒に食べることにしたんだ!」


「コウタくんって言うんだね、エミル達をよろしくね。一緒に食べるんだね、わかったわ、1人追加して作っておくわよ」


 そう言い、キッチンへ向かった。


「ささ、入って」


「……では、改めてお邪魔します」


 3人はリビングへと移動した。


「……で、何する?」


「んー、とりあえず温まろう」


「外寒かったし今はそれが良い」


 3人は暖炉の前で温まった。


「……まだ寒い」


 そう言い弘太に身体を寄せた。


「……何で急に?」


「いやぁ、なんていうかその……あまり他の人と接する機会ないし……コウタさん温かいし......」


 また照れた。


(……そこまで友達と一緒に居たかったんだなぁ)


 そう解釈し、明日まで全力で楽しもうと誓った弘太であった。







「もうお昼の時間かぁ、何作ってるんかな~」


「んー、何にしても楽しみだよ」


「♪~♪~」


「ずいぶん機嫌良いね」


「まぁ久しぶりに遊べたしね!」


「……よかったよかった、楽しめて何より」


「できたわよ~」


「わ~い!」


「何作ったの?」


「ポトフを作ったわよ!」


「お母さんホントに色んな料理作るね~」


「まぁほかにやりたい事ないしねぇ」


「……早く食べようよ!」


「はいはい、じゃあみんな座って」


 3人とも席に着き、運ばれてきたポトフを見た。


 ソーセージにじゃがいも、ニンジン、キャベツ、トマトを使ったスープ…ふむ、実に美味しそうな出来栄えであった。


「どんどん食べてねえ~、おかわりもあるし遠慮しなくていいのよ~」


 弘太たちはポトフを口に運んだ。


「うん、美味しい!」


「最高に良いよお母さん!」


「………」


「もしかして美味しくなかった?」


「……いえ、凄く美味しいです」


 二コリと笑いながらそう言った。


「よかった !ささ、遠慮しないでたくさん食べてね」


「……はい!」





 食事を終えた弘太たち3人は夕食の時間が来るまでいっぱい遊んだ。


 大きな雪だるまを作ったり、ボール遊び、鬼ごっこ等たくさんやった。


 そして、時間が来た。


「もう時間か~」


「明日が最後……」


「……今日も楽しかったよ」


「明日も全力で楽しもうぜ!」


「……そうだね、また明日ね!」


「また明日会おうね!」


 そう言い別れようとしたとき。


「……ちょっと待って」


 エミルとユーリは立ち止まった。


「ん? どうしたの?」


「……いや、実は僕、エミルとユーリが初めて仲良くできた相手なんだ……だから、その……友達なのかなって……」


「……僕たちは友達だよ! そんなに心配しなくて大丈夫だよ!」


「……ごめん、ホントに初めてだから勝手に友達になっていいのか少し怖かったんだ」


「……今日いっぱい遊んだしもう立派な友達だよ!」


「……だったら明日、誓いを立てようぜ!」


「誓い?」


「ああ! 俺たちが一生友達って事を特別な場所で誓うんだ!」


「特別な場所で……」


「その方が何かワクワクすると思うんだ、だからその特別な場所を探す!」


「……場所は私が決める!だから待っててね!」


「……うん!色々ありがとう!……こんなに良い友達が出来てホントによかったよ!」


「私もコウタさんと友達でよかった!」


「俺もコウタと友達で嬉しいぜ!」


「……2人ともありがとう、また明日ね!」


 3人はその場で解散し、家へ帰って行った。














 ……その光景を見ていた者がいた。


 その者はその光景を見て、ひっそりと不敵に微笑んだ。


 少し離れた街灯で少し遠くから人が見るには見えにくい場所であった。


 そこには誰もいなかった。


 ……だが、金属の街灯に「人」が映っていた。


 手足が異常に長く長身の黒い「ピエロ」が……。

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