6話
……150分後……
「終了!名前の欄にABを当てて。……当てたな?では回収する」
(思いのほか難しかった……)
空白がいくつかできてしまい、不安が残る。
「疲れただろうから、20分ほど自由時間にする。好きに過ごしな。あ、この時間でやって欲しいことがある。ABに転送するから、やっておいてくれ」
ポン、と音がしたので開くと、「魔法について-製作」と題がついていた。
内容はこうだ。
……魔法には種類があり、そのうちの1つが製作である。
製作では、薬や武器など様々なものが作れる。
注意点として、製作魔法の使用中は他の魔法の併用が不可能なため、無防備な状態になるということ。
つまりは、安全な場所で使用しろ、ということだ。
始めに、全ての魔法を使う上での補助となる、杖を作ること……
これが先生がやっておいてほしいと言っていたことだろう。
私は作り方を見るが、とは言っても呪文を唱えるだけで、そこまで難しくもなさそうだ。
「クリエイト」
最初はぎこちなかったものの、上手く作れた。
約30cmほどの、真っ直ぐな杖ができたので周りを見ると、ほとんどの人が苦戦しながらやっている。
どうやら、術者の魔法の扱い方で差が出るようで、私は手先は器用なほうだから、上手くできたらしい。
「ああ、もう!どうしてできないの!」
とりわけ苦戦しているのは、明ちゃんのようだ。
「明ちゃん、大丈夫そう?」
「あー、愛ちゃん。助けてー……」
聞くと、作っている途中で魔法が消えてしまうらしいので、少し手伝うことに。
「「クリエイト」」
2人で呪文を唱える。
「……で、できたー」
明ちゃんの杖は、私のとは少し違い、わずかに曲がってはいるが、立派な杖だ。
「ありがと、愛ちゃん!」
「ううん、私はお手伝いしかしてないよ」
私は人に好印象を持ってもらえる笑顔を作って、明ちゃんを見た後、萩田先輩のほうを見ると、先輩も既に完成させているようだった。
私はその後も、困っている人の手伝いをする。
自分の居場所を作ろうと、人から必要とされようと、躍起になって……。