5話
……数分の後……
入学式はとても簡単なものですぐに終わり、初等部から順に移動する。
高等部は後のほうなので、周りの生徒と少し話をした。
「はじめまして!」
1人の女子生徒が話しかけてきた。
「はじめまして」
「私は藤井明っていうの!よろしく!ちなみに2年生だよ」
「私は桜原愛。私も2年生だよ。よろしくね」
「俺は萩田翔だ。3年生だが、よろしくな」
すると、林先生から声がかかった。
「高等部!移動するぞー」
林先生について校舎の中を進み、数分後、林先生が止まった。
「さて、ここが高等部の普通科目の教室だ。ちなみに隣が魔法学の教室な。たくさん説明することと、やることがあるから、さっさと入れー」
中は、講堂のようになっていた。
学年ごと、出席番号順に分かれ、着席。
人数を数えると、高等部の人数は30人らしい。
「よし、とりあえずは普通科目のうち、国語、数学、英語のテストを行う。そのあと、魔法のテストも行う」
途端に教室の空気が沈む。
「その前に、2つ配るものがある」
そう言って、林先生が指を鳴らすと、生徒の前にペンが現れた。
芯にあたる部分が水晶で出来ており、インクは入っていない。
これでどうやって書くのだろうと思っていると、それを見透かしたかのように、
「これは持ち主の魔力を水晶を通して写すペンだ。名称はクリスタルペン。略してCPだ」
林先生がもう一度指を鳴らすと、今度は腕輪が現れた。
「これは万能だぞー?生徒手帳の代わりでもあるし、教科書、ノートもこれ1つで全部まかなえる。校内の地図もある。当分はこれを使って過ごしてくれ。ちなみに、さっき配ったCPもその中にしまえる。名称はオールマイティブレスレット。略してABだ」
私は恐る恐る腕輪、もといABを手に取り、左の手首にはめるとカチッと音がして、手首にピッタリの長さになった。
それにCPをあてると、吸い込まれるようにして消えた。
ABにも水晶がついており、それに手を触れてみると、様々なメニューが空中に現れた。
少しいじれば、使い方はすぐ覚えそうだ。
「そしてもう1つ、皆に用意してほしいものがある。ABに転送するから、魔法で揃えるなりしてくれ」
ポン、と教室中で音がする。
ABを開くと、
「新着メールが1件あります」
と表示。
それにタップするように触れると、画面が展開され、箇条書きで文章が出てきた。
「では、テストを始めるから、ABを閉じて、CPを出してくれ」
ABに手をあて、CPを思い浮かべると、それが出てくる仕組みらしい。
「これから普通科目テストを始める。時間は1教科につき50分。3教科とも一緒に配るから、自分で時間を見ながらやってくれ。では、始め!」
そう言うと、空中に150分0秒の表示が出て、動き出すと同時に、手元に問題画面が現れた。
画面は3つ。
それぞれの教科が表示されており、私は国語から取りかかった……。