41話
ローズside……
私達魔導士は、ずっと虐げられてきました。
皆は私達を怖がって、近づこうともしない。
中には処刑された者もいました。
いくら頑丈だとはいえ、人間。
首をはねられたり、火あぶりにされれば、当然死にます。
仲間内に、そうやって死んでいった者が何人いたことか……。
ただ、少し他と違うだけ。
それだけで、殺された。
でも、今はどうです?
魔導士が優遇されているんですよ。
……いえ、それはいいんです。
私が許せないのは、魔導士が孤立しているということ。
私も伊達に長い時を生きてきた訳ではありませんから、このままだとまた悲劇が繰り返される、そうわかりました。
……実はですね、未熟な魔導士から魔力を全て奪うと、2度と魔法が使えない体になるんです。
私は、できるだけ多くの魔導士を一般人に戻すんです。
でも、あなた方は手遅れでした。
最初、政府の計画を聞いたとき、覚醒した後にすぐ魔力を取ってしまおうと思いましたけど、そうするとあなた方は命を落とす危険があった。
それと、覚醒するとき、頭痛がありましたよね?
使い魔を通して見ていましたよ。
あれはもともとの魔力が高い故に起こる副作用。
他の生徒にはありません。
政府は知らなかったようですが。
……それに、政府の計画を聞いてから内部に仲間を入れるのに苦労しました。
そのせいで、中途半端な時期に覚醒させてしまった。
もともと内部に仲間を入れることは検討してたんですけど、タイミングが掴めなくてね……。
私は計画を変更して、機会を待ってから実行に移した。
……私が悪役になるのが1番都合が良かったのです。
ちょっと手荒になってしまいましたが、あなた方をできるだけ傷つけないようにしたんですよ。
あとはあの学校を壊す、つまり生徒や先生から魔力を全て奪ってしまって、あなた方が仲間になってくれたら計画はかなり進むんです。
……ああ、それと、林っていう先生がいますよね?
林は私の仲間です。
愛さんがいじめられていたときに口出しさせなかったのも、さらわれそうになったときに翔くんを呼び出させたのも、私の指示です。
まあ、本人はかなり良心が痛んでいたみたいですけど。
それに、図書室の大量の資料も、私が林と政府内にいる仲間を使って入れたんですよ。
私達の研究の成果をあなた方に記憶してもらうために。
ちなみにあなた方以外は記憶はできないようになっているんです。
魔法って便利ですよねー。
「な、にが、目的、なの……?」
……私は、魔導士だけが暮らす国を作りたい。
そうですねー、空中都市にでもして、そこで穏やかに暮らしていきたいです。
そしていつか、地上の国からはおとぎ話の世界だと言われるような場所を作りたいのです。
……そのために、犠牲が必要なんです。
言い訳がましいですが……許してください。
……そうして、私が話し終えたとき、翔くんの意識が途切れたのです……。