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36話
「愛ちゃん、翔くん、大丈夫だった?」
「怪我とかしてないかい?」
たくさんの人が口々に言う。
「……大丈夫だ。今は2人にしてくれるか?」
翔さんはそう言い、私を連れてフロアを出て庭園の隅に行った。
「……ドラゴンの上で言われたことは、他の人は聞いていないみたいですね」
「ああ。……大丈夫か?」
「……たぶん、大丈夫です。でも……」
「でも?」
「明ちゃんと、詩先輩がなんだかかわいそうで……」
「……愛はたまには自分のことを心配してくれよ」
「……?」
翔さんは、はぁ、とため息でもつきそうな顔をした。
「ローズは"強硬手段"と言っていた。それを警戒しよう」
「あ、そうですね」
その後、ダンスパーティは中止になるかと思われたが、多くの生徒の要望により、まさかの続行に決定。
「続行するとは思いませんでしたね……」
「ああ、俺も驚いてるよ。まあ、何はともあれ、楽しんだもん勝ちだし、踊るか?」
「それもそうですね!」
……その後はそれまでの騒ぎが嘘のように、楽しい時間だった。
私と翔さんがベストペアに選ばれたことは、また別の話……。