26/48
25話
愛side……
あれから数週間が過ぎて8月に入り、毎日暑い日が続く。
もうそろそろ、教室に戻れるかもしれない。
体中にあった痣や傷も、繰り返しかけた上級ヒールのおかげでかなり良くなり、それに加えて本にあった薬を作って使ってみたりした。
ここのところ平和な日々を送れていて、そんなときにABにメールが届いた。
「相談したいことがあります。今日の放課後、校門の外で待ってます」
差出人は知っている人なので、特に警戒もしなかった。
最近はずっと一緒に寮に帰っている萩田先輩にはすぐに戻ると伝えて校門の方へ行く。
誰かと一緒にいるより、1対1で話したほうが、相手も話しやすいだろうと思ったから。
着いて見てみると、人影はない。
(まだ来てないのかな……?)
校門の外、と書いてあったのを思い出して、外に出る。
見慣れない車があったけれど、車があること自体はおかしくもないので、気にもとめなかった。
それが致命的だったのかもしれない。
私は、車から出てくる男達に反応できなかった。




