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恋の魔法、学びます。  作者:
事件
22/48

21話

翔side……

ここのところ最近、桜原の様子が変だ。

顔色が悪く、体も少し震えている。

具合が悪いのかと聞いたところ、何でもないと言われたが、何でもないわけはないと思い、注意深く見ることにした。

すると、いくつかのことに気がつく。

1つ目に、友人達から無視されているということ。

2つ目に、魔法学の時間に明らかにわざと攻撃をされているということ。

教師は気づいているのかいないのかわからないが、これは許されることではない。

「桜原」

「は、はい」

「今日の放課後、ちょっと生徒会室に来い」

「?はい」

放課後、生徒会室が空になることを俺は知っていた。


そして放課後……。

「先輩、どうしたんですか?」

「……率直に聞く。桜原、お前いじめられてるだろう」

「え?いや、そんなことは……」

「あるだろう?」

「……」

「……はあ、桜原、迷惑とか考えてないか?もしそうなら、今更だ。俺はお前が心配なんだよ。……俺を頼ってくれよ」

桜原の目が潤み、ポロポロとこぼれだした涙に焦ったが、冷静にそれを拭う。

「……我慢しなくていい」

「うっ……」

両手を顔に当てて声を抑えながら泣く姿がいたたまれなくなった。

「……え?」

俺は桜原の頭を撫でた。

「……大丈夫だ。お前は何も悪くない。俺がお前を支える」

「うっ……うああ……」

桜原は俺に体を預けて、子供のように泣き出す。

そうして落ち着いた頃、俺は気になっていたことを聞いた。

「なあ、どうしてあんなに必要以上に怯えていたんだ?」

「……実は、K高校にいたときいじめられてて……」

桜原は苦しそうに話し始め、それらは今まで知らなかったが、なんとなくわかっていたことでもあった。

「……そうか。辛かったな。もう、大丈夫だからな」

「はい……。ありがとうございます……」

「とりあえず、今日はもう帰ろう。日も暮れてきた」

「……」

「桜原?」

「私……帰りたくない……」

「え?」

「あの家には、帰りたくない……」

「……どういうことだ!?」

桜原は、家庭のことも話してくれた。

「……そうか、じゃあ寮で暮らせばいい」

「でも……!」

「桜原。それは愛されてるんじゃない。いいように使われてるだけだ」

「……」

「明日からでも、寮で暮らそう。幸いにも、部屋は余っているらしいしな。今日は帰って、荷物をまとめて、明日学校に持っておいで。先生に話して、寮で暮らそう」

「はい……」

「よし」


それから、俺は桜原を家まで送り、それから帰寮。

(明日はやることが沢山あるな……。でも、なんだか幸せな気分だ)

そう思いながら、目を閉じた。


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