19話
それから数日経ったある日の放課後のこと。
「愛ちゃん、ちょっといいかな?」
優くんが話しかけてきた。
「うん、いいよ」
「じゃあ、ちょっとこっち来て」
優くんは私を廊下の隅に連れていく。
(あ、これはもしかして……)
「愛ちゃん」
「は、はい」
「……俺、愛ちゃんのことが、好きです。……俺と付き合ってください」
優くんは私の目を見て、ハッキリと言った。
(やっぱり、告白だった……)
「……ご、ごめんね。私、恋愛とか、あんまり興味無くて……。でも、どうして私なの?」
「……愛ちゃんには最初の杖を作るときに、助けてもらったんだ。そのときから、ずっと気になってた」
(あ……そういえばあのときたくさんの人を助けたっけ……)
「その後も、愛ちゃんにたくさん助けてもらったし、いろいろ教えてもらった。それに、ケルベロスも倒してて、すごいなって、カッコイイなって、思った」
「……あの、優くん。それって憧れっていう感じじゃないのかな?」
「い、いや、違う!だって愛ちゃんは優しくて、可愛くて……」
どんどん顔が赤くなる優くん。
私もこの空気に耐えきれず……。
「ご、ごめんね、優くん!私、あなたと付き合うことはできないよ……」
(明ちゃんだっているんだよ……)
「そっ……か。そうだね。こっちこそ、ごめん」
「う、ううん。じゃあね!」
私はその場から逃げるように帰る。
ほんの少しの不安を胸に抱えて……。