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恋の魔法、学びます。  作者:
過去
17/48

16話

愛side……

全てのペアの実戦が終わり、今日の授業はこれで終了となる。

「授業はこれで終わりだが、皆に決めてほしいことがあるんだ。この学校にはいくつか組織がある。生徒会、図書、文化、保健の4つをそれぞれ誰がやるかを決めてほしい。生徒会は他の組織と兼任が可能だ。……ああ、それと、生徒会には桜原と萩田に入ってもらおうと考えているんだが、どうだ?」

皆が賛成するような声をあげた。

「よし、じゃあ、明日の朝希望を聞く。それまでに決めておけ。それぞれの組織には2人まで入れるからな。じゃ、気をつけて帰れよ」

と、先生が言い終わると、教室がざわつきだす。

見ると萩田先輩が先生のもとに行き、話していたので、なんだろう、とは思いつつも明ちゃんが話しかけてきたので意識を向ける。


「ねえ、愛ちゃん。図書、一緒にやらない?」

「え?でも私、生徒会に入っちゃったし……」

「でも、生徒会って兼任可能だってさっき先生言ってたしさ。ね、一緒にやろうよ?」

「ええと……」

「私1人じゃ嫌だし、どうせなら知ってる人と一緒にやりたいし?」

「……う、うん。わかった……」

「本当ー!?ありがとう!じゃあ明日ね!」

と言うが早いか、明ちゃんはすぐに教室から出ていった。

「桜原」

突然声をかけられ、少しビックリした。

見ると、萩田先輩がいる。

「な、何ですか……?」

「桜原、また安請け合いしただろう?」

「う……」

「……大丈夫なのか?無理はするなよ?」

「は、はいっ!大丈夫です!」

笑顔を作って先輩を見る。

「……桜原の"大丈夫"は信用できないんだけどな……」

「え?」

「いや、なんでもない。……図書室に寄って、帰ろう。本を戻さないと」

「ああ、そうでしたね」

2人で本を運んで図書室へ行き、返却手続きをしてから返却棚に置いておいた。


昨日と同じように魔法車に乗り、帰宅。

「そういえば、さっき先生と何話してたんですか?」

「ん?ああ、寮に入ろうかと思ってな。今の家からここまでは遠いからな。桜原は入らないのか?」

「私は魔法車を使えば早いので、大丈夫です」

「そうか」

それから他愛もない話をしていると、時間は早く過ぎるもので……いつのまにか、家に着いていた。

「……じゃあ、先輩。また明日」

「ああ、またな」

降りたくない気持ちを抑えて車を出た後、魔法車が行ってしまうと、そっとため息をつく。

憂鬱。


ここの家族は、私の本当の家族ではない。

本当の家族は、去年交通事故で死んでしまった。

祖父母も既に他界し、親戚もいないため、この家族に引き取られたのだ。

でも、他人の私を育ててくれているので、とてもありがたいと思ってはいるんだけれど……。

「……ただいま」

「やっと帰ってきたね。早く夕食を作ってよ」

母が言う。

「はい……」

……いつものことで、平日は朝食と夕食、洗濯は私の役目。

休日にはこれに加えて昼食や掃除などもやる。

(育ててもらっているんだから……)

私はお金を家に入れることはできない。

今まで通っていた高校はバイトは一切禁止だった。

だから、家の仕事は私の役目で、私にとってはこれが当たり前なのだ。


……夜遅く、勉強をする。

この時間だけが、私が自由になれるとき。

でも、1人になると辛い記憶ばかり思い出してしまう。

そんな自分が、私は嫌いだ。


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