13話
そして3時間目……
「さて、この時間ではさっき教えたことの実習をしてもらう。バディ同士でさっき教えたことを実際にやってみてくれ」
すると教室中で呪文を唱える声がたくさん聞こえてきたが中には失敗して、魔法が軽く爆発する音も混ざっていた。
桜原と俺は、落ち着きながら慎重にやっていたので全てうまくできている。
その様子を先生は見ていたようで……。
「いや、すごいの一言に尽きるな。……そうだ、図書室には魔法の本がたくさんあるんだ。見て借りてきたらいい。教科書にもある程度は載っているが、2人には多くのことを学んでほしい。分からないことがあったら遠慮なく聞きに来い。反対に、周りに分からなくて困っている奴がいたら、教えてやってくれな」
かなり先生に信頼されたようだ。
「……愛ちゃーん、助けてー……」
藤井明から声がかかった。
「んー?どうしたの?」
桜原は藤井の方に歩いていく。
「……翔くーん、教えて?」
今度は清水詩だ。
「……何だ」
俺は内心少し面倒だなと思いつつ清水の方に行き、そんな感じでこの時間は他人に魔法を教えることになってしまった。
4時間目も実習の続きだ。
「桜原と萩田は、図書室で他の魔法の本を借りてきたらどうだ?カウンターに読み取り機があるから、ABと本を当てて。そしたら、貸出手続き完了だ」
「わかりました」
「じゃあ、明ちゃん、また後でね」
教室を出て、校内図を出してみるとここから図書室まではそう遠くもない。
図書室に入ると、壁が本でできているような錯覚をしそうになった。
「うわあ……」
桜原は目を輝かせている。
俺もここまで巨大な図書室は見たことがない。
見たところ洋風のイメージ。
窓には色とりどりのステンドグラスがはめられ、そこを陽の光が通り床に色を落としている。
図書室なのに二階建てになるほどの蔵書数。
そこには階段がかかっていて、好きに昇り降りできそうだ。
きちんと柵もついていて、安全性はある。
ところどころには本を読むための机と椅子、たまにソファが置かれていて、休憩も可能らしい。
それぞれの机にはひとつひとつ手元を照らす明かりが浮かんでいる。
天井からはアンティーク調の照明の淡い光が落ちていた。
棚の上には青色の光の文字で分類が書いてある。
カウンターはとてもシンプルで、ただ人が座るだけとなっており、余計なものはない。
あるものといえば、手元の明かりのみ。
一言で言うと、幻想的。
……そして、魔法の分類の場所に行く。
大量の本が保管されていて、天井にまで届きそうなくらいの高さ。
そこから何冊か本を出して内容をABに写すが、ABを当てると本の内容がコピーされる仕組みのようだ。
数冊、内容がよく分からないものもあったので、それは借りて教室に持っていくことにした。
手で持つのは厳しいほど重い本もあったが、それは空属性の魔法で浮かばせて、教室まで持っていく。
手が届かないほど高い場所にある本も、魔法で取り出したりしながら、大量の知識を詰め込み、教室へと戻った。
2人ですぐに先生に分からないことを聞き、教えてもらったりして、その後はずっと魔法を練習して過ごした。
敵に見立てた人形を作り、それ相手に練習したり。
ときどきこちらを見てくる視線がうっとおしかったが。
たまに来るクラスメイトからの質問に対応しつつ、時間を過ごした。