深爪
私は目に見えない鎖に繋がれた
学校のペットです。
オモチャかもしれません。
コロコロ転がされて
血を流しているのです。
アスファルトに擦られた皮膚は
小さい悲鳴を上げて、
少しずつ血を吐いて、
それを地面は吸い取るのです。
まるで私の意識をも
吸い尽くしてしまうような勢いです。
太陽はジリジリ焦げ、
私の肌を焼き続けます。
ベランダの手すりは、
私をここに縛り付ける牢です。
握るとジュッと皮膚が焦げます。
そこから見える校庭は、
砂漠のように広がっていて、
まるで世界は限定されているかのように
両手を開いて私の目をふさぎ、
脱出する思考を鈍らせます。
日陰の教室にはたくさんの視線があり、
異質なものを見るように私を観察しています。
気まぐれにいなくなる鞄、
身体の内側に蓄積されていく
呪文のような辭、冷笑。
世界は、私がいないことを望んでいるのかもしれません。
擦られた皮膚のヒリヒリした感覚だけが、私の生きていることを教えてくれるのです。
チャイムが鳴って、
また今日が始まりました。