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廃神様と女神様Lv1  作者: 井口亮
第2部『二つの太陽編』
70/296

一つ屋根の下って胸キュン?違うね、DQN。

 ザビアスタ森林地区の中には幾本もの川が流れている。

 その川に沿って人の集落ができていたりするのだが俺はあえて離れた場所に拠点となる家を造ることにした。


 「ふぅ……ジェバンニが3時間でやってくれました」

 「はやいですねご主人」


 隣でデッテイウが感心したように俺が作った家を見上げる。

 一番小さなタイプの家だが、木材さえ現地調達してしまえば釘やら金具やらはストックしていたから問題は無い。

 塗料が無いから家の外観こそ木目調といえば聞こえはいいがサイディングボードもモルタルも塗っていない質素なものだが、まあ、ゲームの中で生活する分には困らない。


 「……マスターって戦う以外のこともできるんですね……」

 「土建屋のバイトもやってたことあるからな。ぶっちゃけブラックもいいとこだったが、体力作りと金作りにはいい仕事だったよ。やっぱ最後は体力だからなぁ」


 現実の作業と違ってスキルで組み合わせていくだけの単純作業なんだがな。

 伐採スキルで木材を確保して、木工スキルで板を作っていく。

 作った板を同じく木工スキルで壁や柱にしてやって組み合わせて設置していくだけの簡単なお仕事です。


 「コンクリで基礎作ったり、サイディングボードも張ってないプレハブ小屋みたいな建物だけど、ま、ざっとこんなモンだろ」


 本当はスキルレベルがあがればもうちょっとマシな工作ができるのだが、それはおいおいやっていけばいいし、そもそもこんな粗末なあばら屋に長居する気もない。

 チュートリアが感心して家の中を見て回る。

 まだ、照明やら家具やらの設置をしてないから単なる箱状態だが、それでも自分だけの家ができあがったのは嬉しいものだ。

 俺は新しく新調したユニーク装備の片手剣『チェーンソード3号』をインベントリから出すとトリガーを引く。

 ぎゅんぎゅんと小気味良い音を立てて細かい刃がついたソードの刃に当たる部分に設置されたチェーンが回転する。


 「しっかし、こいつが市場に流れてたのは嬉しいな」


 高い出費になったが俺は装備を新調する時に、武器も変えようと思いいささか値段の張るユニーク武器であるチェーンソードを購入した。

 強化素材を使い無印チェーンソードから3号までバージョンアップし、現行では強武器のレベルまで威力を引き上げた。

 そこからキクさんに強化を依頼して消滅可能性が出てくるレベルまで強化し、エンチャントを施しとりあえずの強化までは済ませた。

 ランダムエンチャントで攻撃範囲補正――いわゆる命中補正と言われる――と特定スキルレベルに達している際の攻撃力補正のついたエンチャントでそうそう珍しいものでは無いが、そこそこ強いエンチャントを張ってとりあえずの繋ぎとする。


 「マスターのそのソード――『ブロードオブマイトチェーンソード 』ですか?変わってますね。ユニークですか?」

 「ユニークだよ。どの武器もそうだが、素材を使ってバージョンアップすることで現行のデザインのまま威力だけを高めることができる。気に入った武器のデザインが最後まで使えないっていう要望希望はどのゲームでも昔っからある話なんだが、意外とおざなりにされがちなんだよな」


 ユニークのこの形が気に入ったから使ってるのに新規アップデートで産廃化で泣く泣く手放したということは他のゲームでは少なくは無い。


 「チェーンソードは見てくれの通り、まんまチェーンソーでこのシリーズはチェーンブレードやチェーンアックス、チェーンボンバーと斧系にも類似品があったりする。どれもこれも木材の伐採が可能だってことと、使用してると機械知識があがる便利ユニークさんですよ」

 「でも、半裸の変態が持つと狂気じみてますけどね」

 「おう、まずお前のドリルからばらんばらんにしてやるよ」


 俺がさくっとチュートリアの髪の中でチェーンソードのトリガーを引く。


 「痛い痛い痛い!髪の毛からまって……いだぁぁああ!」


 チェーンソーだから鋭利な刃物ってのは間違いでチェーンソーはあくまでノコギリの一種で刃の突端で押したり引いたりした摩擦であくまで『挽く』ものなのです。

 チュートリアの髪の毛を巻き込んだチェーンソードがドリルを少しだけ毟るとチュートリアは涙目になって訴える。


 「ひっどいですっ!私に何か恨みでもあるんですかっ!私に不満があれば言って下さい!すぐにでも改善してみせますから!」

 「人のこと半裸の変態呼ばわりした。あと、貧乳であることが大いに不満」

 「あの……それはちょっと……すぐには……あの……がんばります……」


 俺はさらりと即答してやるとチュートリアが涙目になって黙る。

 改善できるものなら改善してみやがれ。

 俺は夕暮れも近くなったことだし竜車の中からいそいそと家具の類を運び出し、家の中に設置していく。

 マテリアライズされたアイテムを展開していくだけの簡単なお仕事です。

 あっという間にテーブルとベッド、衣類ダンスにシステムキッチンのついた簡素なお部屋ができました。

 とりあえず、足りないモノは後で適当に作っていけばいいとして今日はこのくらいで勘弁してやろうと家の中に入り光環の照明をつける。


 「ランプと違って明るいですね」

 「俺の世界じゃパルックって言うから」


 蛍光灯みたいな純白の光を発するそれは魔力を有した発光性の鉱石らしい。


 「マスター……あの、失礼なことをお聞きしていいでしょうか?」

 「あんだよ」

 「家って、とりあえず、この一軒だけでしょうか?」

 「明日からやることは一杯あるからな。一軒ありゃ十分だろ」

 「あの、もうちょっと広くして部屋を増やすとかは……」

 「面倒だな。それっくらいのことするんだったらどっか適当に家見つけて買った方が安上がりだろ」

 「そ、そうですか……うーん……こまったなぁ……うーん」


 チュートリアがどこかはっきりしない。

 俺はそんなチュートリアの態度を怪訝に思い眉を潜める。

 チュートリアがいそいそとインベントリから余った板をマテリアライズして間仕切りを作ると、俺をじっと睨みつける。


 「……あんだよ?」

 「こっから先は、入っちゃダメですよ?」


 部屋の3分の1くらいを間仕切りで囲って俺にそうのたまいやがった。


 「ンなモンあってもなくても、かわらねえだろ」

 「そういう問題じゃないんですっ!一つ屋根の下に男女が共に居るってことが問題なんですっ!」

 「俺が行きたい時には入っていくんだから意味ねーだろ」

 「それを止めて下さいねって今お願いしたんですっ!」

 「だが断るッ!……つか、キクんところに間借りしてるときだって一つ屋根の下じゃねえか」

 「あそこはきちんと部屋分けされてましたし、鍵もついてましたっ!だけど、ここにはそんなモノないじゃないですかっ!」

 「合い鍵で開けてたし、隠密のスキル上げの為にお前にセクハラ三昧してたじゃねえか。向こうも全然変わってないって」


 こいつは一体、何を気にしてるんだろうか?


 「そうじゃなくてですね!いや、それがダメだっていうのもあるんですけど!ま、間違いがあっちゃ困るからって話で……」


 顔を真っ赤にして怒鳴るチュートリアに俺はピンと来た。

 残念ながら俺は鈍感系ではないのだ。


 「何?誘ってンの?冗談だろ?おっぱいも無いし糞小便垂れ流しまくりのお前を俺が抱く訳ねえだろ。俺の童貞をお前のようなガッカリで捨てると思う?見損なうなよ」

 「なんでそんな上から目線なんですかっ!しかも安心なんてできる要素何一つできないじゃないですかっ!」

 「胸に手を当ててみろ。見ただけでわかる。ほら、どこか安心するだろう?」

 「バカにしてるんですかっ!」


 バカにされる方が悪いと思うんですが。

 つか俺もよくよく考えると、これって美味しいシチュエーションじゃね?って思ってしまう。


 「いやよ?普通よ。こう、曲がりなりにもおにゃのこと一緒に人里離れた山奥で一つ屋根の下ってぶっちゃけアンアンしてても誰にも声が聞こえない訳で、何か間違ったことがあってもいい訳だし――」

 「間違っちゃダメですっ!間違っちゃダメですからねっ!」

 「――無理矢理レイポしても逃げ場すら無いし、むしろそっちの方が18禁エロゲとしてはゆっるーい日常パートすっ飛ばした抜きゲー特化してるからいいんじゃねって思えるんだ。知ってる?エロゲーってストーリー物より抜きゲー物の方が売れるんだって」

 「うわあ!今思い出したけどマスターってクズだったんだっ!」

 「こう、ズッコンバッコンするのに胸躍るシチュエーションだよなぁ。でも、なんでだろう。お前と一緒だと胸がときめかないんだ。つーかこのゲームのヒロインって誰なの?俺のときめき返してくれよ」

 「拾ってもいないものを返してくれって言われても困りますよっ!」

 「困ってるのはこっちだ。勝手に異世界に召還した挙げ句、ときめき成分一つ寄越さないこのゲームの仕様にがっかりだよ。本当にがっかりだ。おにゃのこが居ない山奥にまでやって来るハメになったんだぞ?お前がもうちょっとしっかりときめき分出せるように頑張れよ」

 「……あの、頑張ったらマスターときめいてくれます?」

 「お前俺がときめくと思ってんの?お前に?寝る前に寝言をほざけるとかどんだけお前レベル高いの?それだけアホの経験値溜められるんだったらまず女子力磨けよ」

 「……で・す・よ・ねぇー……」


 どこか悲しそうにしゅんとするくらいなら最初から振らなければいいものを。

 俺はどかんとベッドを設置するといそいそと布団を被って寝る準備に入る。


「あ、あの……マスター?」

 「あんだようるっせえな。襲わねえから安心して寝ろよ。明日からやること一杯あんだから」

 「いや、そうじゃなくてですね……寝るにも寝床が……」

 「そっちお前のスペースなんだろ?勝手に寝床作って寝ろよ」

 「あの、そのベッド……出して貰っていいですかね?」

 「お前自分のベッド用意してきてねえの!?」


 俺は驚いて飛び上がる。

 どこか申し訳なさそうに俯くチュートリアだがはっきりいって問題外でございますよ。


 「いや、なんでもぱぱーってマスターが作っちゃうから、てっきり用意されてるものだと思って」

 「俺ドラえもんとちゃうねんで!自分のものっくらい自分で用意しとけよっ!準備する時間いくらでもあったろう!っとにもーもーもー!アレか!今時寝床が無いと寝られないゆとりちゃんだったりするのか!」

 「いえ、藁布団でも寝られることには寝られるんですけど、その藁すら確保してないんでどうしようかと……」


 あたふたと弁解するチュートリアに俺はとことん手のかかるバイト先の後輩だとかを思い出し溜飲をなんとか飲み込む。

 そう、俺の居た現実世界には何でも教えてちゃんとか、クレクレ君とか全部準備すべき立場の人間が何もしない上に気を配って準備した人間をなじるとかそういったチュートリアちゃん以上の――


 「ご迷惑じゃなければ、そっちに一緒させてもらってもいいでしょうか?」

 「物理的に襲いかかるぞテメエ!」


 飲んだ溜飲を吐き出してまいました。


 「い、いえ、ま、ますたーが私に欲情することは無いっておっしゃってるし、その、だ、大丈夫かなーって、かなーって……」

 「間違いあってこんなところで童貞捨てちまったら俺こそ恥ずかしいわ!俺これでもBバージン志願者なんやで?」

 「Bバージン?それ、何かのスキルかクラスの名前でしょうか……」


 こいつは本当にどこかで酷い目にあってきた方がいいのかもしれん。


 「明日から村作りで忙しいんやで……山賊襲って、村を襲わせて、そっからさらに村を襲うんやで……襲うのに体力使う中、お前なんか襲ってる暇ねーよ」

 「なんか今物騒なこと言ってませんでしたっ!?ダ、ダメですからね!この略奪行為なんか働いたら!前科一犯あるんですから今度こそ、死刑ですよ!」

 「前科があるのはお前じゃねえか。俺は無いから大丈夫だよ。つか、今から強姦の前科作ってやろうか?下らないこと言ってねえで寝ろ」


 貞操観念が強いように思えて警戒心ゼロですよ。

 俺は大きく溜息をつくとベッドを降りてのそのそと外へ出る。

 竜車に繋がれたデッテイウが何事かと寝ぼけ眼で俺を見る。


 「……ご主人?」

 「竜車の中で寝させて貰うわ」

 「なんか……色々と気苦労が多いですねご主人も」


 何だかというか、とてつもなく釈然としない感覚がする。

 俺が作った俺の家なのに、役に立たないがっかりチュートリアが寝るのに使って俺が竜車で寝るとかどんだけですか?

 俺は竜車に備え付けのベッドに潜り込むとすぐに眠りに落ちた。


 ◇◆◇◆◇


 朝起きてみると身体が重い。

 昨日は夕方から急いで家の作成を行いちょっと無理目なスタミナ使用をしていたからだろうか疲労状態なのかもしれない。

 俺は鉛のように重い身体を起こそうとして起きられず、もうちょっと寝ていようと寝返りを打とうとした。

 だが、身体を捻ることもかなわず、ほんのりと甘い匂いがしたもんだから俺は怪訝に思う。

 股間がなんか生暖かいからアレっと思って布団をめくってみる。

 ほら?ずっとオナ禁状態だったから、エッチな夢は見てないけどともすれば、ね?


 「すぴー……」


 チュートリアがだらしない寝顔で丸まって寝ており、俺の上でよだれを垂らしていやがりました。


 「何でお前がここで寝てんだよ!」

 「にょわーっ!」


 一体何?何故?ほわい?

 蹴り転がしたチュートリアがもぞもぞと起き上がり、跳ねたドリルをそのままにごしごしと眼を擦る。

 首を傾げたり、パジャマの袖が長すぎるところがちょっと小動物チックで可愛いかなーとか一瞬思ったけど、次の瞬間、とてとてと俺の上に倒れ込むともぞもぞと丸まって眠りやがった。


 「すぴー……」


 こいつ昨日、俺が作った家のベッドで寝てたんじゃねえの?

 竜車の中になんで入り込んで、それで俺のベッドで寝てんの?


 「襲えというんだな?いいだろう、襲ってやろう。襲ってやるとも」


 俺はいそいそとベッドを降りるとチュートリアを放ってそそくさと着替え始める。

 何でかって?もちろん、襲いかかるためさ。

 グリーヴにガントレット、スプリットヘルムにTDNアーマーを手早く装着すると変態スタイルのまま息を荒くしてテンションを整える。


 「コホー……コホー……」


 わきわきと指を動かし俺はクズ野郎の名に恥じない凄惨な行為に及ぶことにした。


 ◇◆◇◆◇◆


 惨憺たるものです。


 「男の寝床に入ると酷い目に遭うということをお母さんに教わらなかったのかね?可哀想に」

 「酷いことしたのマスターですよねぇ!マスターですよねえ!」


 ねばねばの液まみれになったチュートリアが涙を流しながら俺を非難するのだが今回、というかいつも悪いのはチュートリアだ。


 「む、向こうが寒いからこっちに来ただけなのに!だけなのに!」

 「寒くても一人で寝なくちゃだめでしょうに。雪山で暖を取るとかいって裸で抱き合うことがあるらしいけど、その後性的な行為に及んで体力消費したら結局、そこで行き倒れるって知らないのか?」

 「マスターはアレですよね?私を縛り上げた挙げ句どろどろにしてひたすら……」

 「何を恥ずかしがってるのかねチュートリアちゃん。さぁ、その先を言ってごらん?マスターの電気按摩を喰らって最後はどこか色っぽい声を上げてドン引きされて、荒い息でどこか物欲しげに俺を見上げてたチュートリアちゃん、さぁ、その先を言ってごらん?」

 「ど、ド変態ぃぃぃ!」


 変態バケツマスクのバイザーを上げ、俺はにやにやと嫌らしい笑みを浮かべる。


 「よかったなぁ処女膜健在で。俺が変態紳士じゃなかったら今頃傷物にされていたのですよ?」

 「今でも十分傷物じゃないですかっ!このどろっどろ一体、何ですかっ!何ですかっ!なんか、すっごい生臭いです!ひょっとしてその、あの……その……」

 「あースッキリした!凄くスッキリした、溜めてた物吐き出して超スッキリ!」


 溜まってたのはストレスだがな?


 「あ……う……あ……」


 俺は爽やかに告げてチュートリアが顔面蒼白にする様を楽しむ。

 何のことは無い。生卵の白身である。

 マヨネーズ用に用意していた白身を攪拌して泡立たせたものだが、性的な知識が無いチュートリアのエロい想像力をかき立てるには十分だ。

 つか、6リットルくらいの白身をぶっかけたわけだが、俺自身、6リットルも出してしまったら最後には血しか出なくなって死んでしまうのんですよ?


 「そ、そのズ、ズボンが濡れているのってひょっとして……」

 「お前が濡らしたんやで?人の寝ている間に物欲しそうにヨダレまで垂らして……ご主人様の許可が出るまで待てなかったのかね?だから俺も溜まっていたものを吐き出す為に……お前を利用させて貰ったまでですよ」


 俺は嘘はついていない。

 チュートリアのヨダレが湿らせたズボンの股間部分が濡れているのは正しく真実だ。

 あとは俺が思っていることを言っただけなんで、俺は何一つ嘘をついていない。


 「あ……あう……ああぁ………うぁああ……」


 狼狽して、ほろほろと泣き出すチュートリア。

 死体撃ちチャーンス。


 「だが、気分としては爽快な朝だ。とても、そう、とてもスッキリしたよ。ありがとう、チュートリアちゃん」

 「ひぐ……うぁああああんあああんああぁぁっ!」


 泣き出したチュートリアをどこか優しい目で見つめ、笑いを堪える。

 繰り返すが俺は何一つ嘘を言っていない。

 仕返しにしては十分すぎる仕返しをし、スッキリしてるのには間違い無いのだから。


 「マスターに汚された!汚されたぁ!お嫁に行けない!あぁん!おかぁさぁん!おかぁあさぁん!私……汚されちゃったよぉぉぉ!」


 ロープに縛られながらわんわんと絶叫する


 「ま、確かに汚ぇわな。もはお前キャラとしてはヨゴレだし……そこきちんと掃除しとけよ?俺、いっつも掃除してるけど何でお前のマスターである俺が掃除せなあかんねん。もそっとマスターに仕えるとかそういう立場なら掃除くらいきちんと自分でやれよな」


 俺は泣きわめくチュートリアをその場に残すとスッキリした笑顔で竜車を後にする。

 つか、家建てなくても竜車使えばよかったんじゃね?と今更ながらに気がつく。


 「あの!マスター!解いて!せめて解いて……あ、食い込む……痛っ!痛……ああ!マスター……マスターぁぁぁああ!」


 ◇◆◇◆◇


 朝の一風呂を浴びて、爽やかな朝食タイム。

 だが、チュートリアは未だにふて腐れたままである。


 「ご主人?ボクが言うのも筋違いじゃないかと思うんですがこのままは少しマズいような気がしますよぅ?」


 食卓の横に身を屈めるデッテイウがどこか呆れたような溜息をつく。

 今日は天気がいいから屋外にテーブルを持ってきてうららかな日差しの中、小鳥のさえずりとチュートリアの啜り泣きを聞きながらのモーニングです。

 んー、メシウマ。


 「俺が何か悪い事したかね?」

 「ご主人の寝てるところにチュートリア様が入ってきたのはそれはチュートリア様が悪いでしょうけど、その後にやり過ぎてしまえば一緒でしょうに」

 「なら、おあいこですよねー。俺、悪くないから謝る必要は無い、OK?」

 「わかりますけどフォローって必要なんじゃないかとボクは思うわけで……」


 ごにょごにょと尻すぼみになっていくデッテイウの言葉の裏に、もうこのご主人何言っても言うこと聞いてくれない的なあきらめのニュアンスが感じ取れる。

 まさに、その通り。

 柔らかいパンにベーコンエッグを載せて、その間にマヨネーズを挟んだいわゆる 『ラピュタのアレ』を頬張りながら、チュートリアの手つかずの皿をちらりと一瞥する。

 パンとミルクと、嫌がらせのようにフランクフルト。


 「うぅ……うぅ……」

 「おや朝ご飯は要らないのかね?せっかく家を建て、ベッドを譲り、その温情を無視して人の寝所に入り込んだ挙げ句、人の股間に言葉で言えないようなことをして、緊縛されてどろどろになっちゃったチュートリアちゃん」

 「っ!っ!……わ、私がわるうございましたっ!」


 お?こいつ誘い撃ちに載ってこなくなったな。


 「悪いとわかってるなら、ご飯、食べようか?どや?でかいやろー?」

 「きょ、今日は気分が優れないのでご遠慮させていただきますっ!」


 涙目ながらに訴えるがぐぎゅるるると盛大に腹の音が鳴り響き、チュートリアは赤面する。

 はい、チャーンス。


 「育ち盛りはご飯を抜くと美容によくない。全く無いときめき成分とおっぱいがさらになくなってしまう。胸が抉れてしまえばそれはそれは可哀想なことになってしまう。ほら、丹精込めて焼き上げて、熱く滾った真っ赤なソーセージを食べるといい。ほら、はちきれんばかりに溢れているだろう?零れた汁をすくい上げるように、舌先で丁寧に舐め取っていくんだ」


 誘い撃ちに乗らないなら、こちらから叩いていくまでだ。


 「へ、変態っ!」

 「なーデッテイウ?俺変態?俺は美味しくソーセージを食べる食べ方を教えているだけであって、そこにやらしい気持ちは何一つ無い。何がどう変態なんだろう?ねえチュートリアちゃん、教えてー?この世界じゃ美味しくソーセージ食べると変態なのー?ねぇねぇチュートリアちゃーんw」

 「すびばせんでしだっ!わ、わだしがまずだーの寝床に勝手に入ってえっちだったのがいげながったんでず!だからもういじめないでっ!お願いだからいじめないでください!うわぁぁん!」


 顔を真っ赤にして堪えて涙を溜めるチュートリアをさんざっぱら叩くだけ叩く。

 俺も満足がいったので優雅に食後のコーヒーを飲むと小さく息を吐いた。


 ――山の中の気温は冷えるし、まあ、確かに防寒対策取ってないあばら屋だから寒いっちゃ寒いかもしれんわな。


 俺はひとまず、家の改築について考えながらも今日やるべきことを組み立てていた。


 「ま、バカは置いておいてだ。んー……どっから作っていくかなぁ……」


 テーブルの上に広げた地図に点在している村を書き込んでゆき、その中間点に△を書き込んでゆく。

 その△から円を描いて、薄く色を載せてやるとどうすれば一筆書きで得ていけるものか考える。

 だが、ここまでやって『予定は未定で決定ではない』『綿密な計画ほど、頓挫する』という格言を思い出し、行動に移していくことにした。


 「さて、そろそろ動くとしますかね……」

 「わ、私が変態だったの?わ、私、自分が思ってる以上にえっちだったのかな?だったのかな?おかぁさん……もう、おうちに帰りたい……ぎゃん!」


 なんか色々と豆腐メンタルがもう崩れかけてるチュートリアの尻を蹴飛ばし俺は支度を調える。


 「いつまでグダグダやってんだ。釣りに出かけるぞ釣りに」


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