第三話 「ちょっと整理させてください」
「ちょ……ちょっと待って! サクラちゃん」
「何?」
「少し……ちょっと整理させてもらっていいかな?」
「うん、いいよ」
「まず……僕は『サクラちゃんと出会わないまま』だったら、『高校卒業』を最後に『死ぬ運命』にあったんだよね?」
「うん」
「でも、どうして? どうして僕は以前のルートでは『高校卒業』を最後に死んでしまう運命だったの?」
「ボクも詳しくは知らない。わかっていることは、君が『高校卒業』を最後に『死ぬ運命にある』ということだけなんだ」
「それは僕の『守護霊』……『ガイドさん』が言っていたんだっけ?」
「そうだよ」
「じゃあさ、どうしてその『ガイドさん』は直接、僕にそれを言わないの?」
「なんかね~……それは『できない』んだって」
「できない?」
「うん、『できない』って言われた。理由はあると思うけど、それはボクにとっても『知ってはいけないこと』なんだって」
「な……なんで?」
「知らない。ただ、言っていたのは…………『ボクと君に関係することだから』なんだって」
「ぼ……僕とサクラちゃんに関係すること?」
「うん。それだけしか教えてくれなかったんだ」
わからない。
なぜだ? なぜ、僕とサクラちゃんに『関係』することになるんだ?
ますます、わけがわからなくなる。
「そ……そう言えばさー、どうして、そもそも、この『役目』をサクラちゃんは『引き受ける』ことになったの?」
「あーそれはね……ボクが死んだことに関係があるんだ」
「えっ?……どういう…………」
「ボクはね……どうやら『自殺』して死んだらしいんだ」
「じ……自殺?!」
「うん、自殺」
サクラちゃんは、あっけらかんとそう答えた。
「でも……ボクはそのことを何も覚えていない」
「えっ?」
「何ていうか、んー、気づいたら『幽霊』になっていたって感じ?」
「はっ?」
「自分が『幽霊』だったことを知ったのは実は『最近』なんだよね」
「そ……そうなの?」
「うん、そうなの。でね……そんな時に声が聞こえたの」
「声?」
「うん……て言っても、人間がしゃべる『声』ではなくて、直接、『心に届く声』……テレパシーとは違うけど、それに近い感じ?」
「テレパシー……に近い感じ?」
「うん。直接、心に語りかけてくる感じかな。まあ、本当はもう『実体のない幽霊』だから、そういうもんっていうか……んで、そんなときに君の守護霊……『ガイドさん』から『コンタクト』があって、それで『ボクがなぜ幽霊になってまだこの世を彷徨っているのか、理由を知りたいか?』って聞かれたの」
「ボクの『ガイドさん』が?」
「うん。それで、ボクは『うん』と答えた。そうしたら『では、ワタシの頼みを聞いて欲しい』って言われたの。それが、さっき話した『君を守ること』『君を過酷な人生のルートから回避させること』だったの。それが依頼内容」
「で……でも……そんな僕の『ガイド』っていう……はっきりとしない『依頼人』の頼み事を、どうして、すぐに引き受けたりすることができたの?」
「どうしてって……それは、このまま『幽霊』のままでずっと過ごしていくのは『違うかな』と思ったからだよ」
「あ……ああ、そうか、そうだよ……ね」
そういうもんなのか? と一瞬思ったが、でも、そんな状況が何日も続いたらそんなものかもしれないな、と僕は思った。
しかし、でも、本当は、そんな「単純な話」では無かったのだけれど、この時の僕には、その程度の理解しかできていなかったんだ。
「まーそういったわけで、ボクはその『ガイドさん』の依頼を引き受けたのさ。だからボクは今……ここにいる」
「そう……なんだ」
はっきり言って、ここまでサクラちゃんの話を聞いても、全然、ピンッと来なかった。でも、サクラちゃんが『ウソ』をついているようにもまた思えなかったし、そもそも、僕に『ウソ』をついたとしても、そんなの『何の得』にもならない。
僕はいろいろとまだ混乱していたが、まず今、はっきりしていることは「サクラちゃんが特にウソをつくこと、ウソをつく理由がない」ということだ。
僕は、とりあえずそれで「納得」し、少なくとも「サクラちゃん」は僕を助けるために来た「味方」であるということだけは確実そうだと、自分の中で整理をした。
「じゃ……じゃあさ、もう一つ聞きたいことがあるんだけど……このさっきから出ている言葉の『ルート』って何なの?」
「うん。『ルート』っていうのはね、それは……君が、まさに今、歩んでいるこの人生の……『今生の世界線』のことを言ってるんだ」
「こ……『今生の世界線』?」
ご拝読ありがとうございました。
更新は不定期ではありますが、一ヶ月に2~3回投稿できればと思ってます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
m(__)m




