表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/46

#8


「あーちゃん?」

「…みき?」


家に帰る途中で、大学時代の友達である美紀に逢った。

美紀に会うのは大学卒業以来で、なんだか懐かしい気もしたし、初めて会うみたいな気分にもなった。


「あーちゃん変わらないね!」

「みきはずいぶん変ったね。すっかり社会人じゃない?」

「やだな~みんなそんなもんだよ?」

「私はフリーターだからなぁ…」

「でも恭介くんとまだ付き合ってるんでしょ?」

「うん、そうなんだけど…」

「恭介くんたちのバンド、いま人気あるじゃん!」

「なんか、本当にこんなに有名になるなんて思ってなかったからびっくりだよね」

「でも私すきだよ?恭介くんたちの曲!人気にならない方がおかしいよ!」

「ははっ、恭介に言ったら喜ぶよ」


アマチュアのバンドはみんな同じような道を歩んでいる。

どんなに良い曲を作ったって、認めてもらえなきゃ上には上れない。

メジャーデビューして今じゃ超人気バンドも、インディーズシーンで活躍している有名バンドも、そしてリグレットの恋人だって同じだった。

どんなに友達に「良い曲だね」なんて言われても、それで終わってしまっては上には上れない。

たくさんの人に聴いてもらって、たくさんの人に「良い曲だね」って言われないと上には上れないんだ。


高校生のころ、初めて恭介が作った曲を私は今でも覚えている。

デモテープにもデモCDにもCDショップに売っているCDにも収録されていない、彼が初めて作った曲。


私はたまにその曲を思い出す。メロディも歌詞も恭介の歌声も思い出す。

そのときの風景も思い出す。そしてその頃に戻りたいと思う。

あの頃に戻れたらって思ってしまう。


これって、結構危ないかな?

私は今の恭介の曲をどんな気持ちで聴いていて、今の恭介の姿をどんな気持ちで見ているのだろう。

そして恭介は今、どんな気持ちで曲を書いているのだろう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ