#4
「ただいま~」
「お、おかえり…」
いつもと変わらない様子で恭介が帰ってきた。
今日のあの雰囲気は、彼らにとって当たり前の雰囲気なのかな。
私には絶対に耐えられないような空気感だった。
「なしたの?」
「ん?うんんんなんもないよ?」
「そう?なんか変じゃない?」
「変じゃないよ?普通だよ?」
「ふぅん、なら良いけど」
今日の私は極端に変だけど、こうゆう変化に恭介は気付くことができるのに、どうして私は恭介の小さな変化に気づけないんだろう…。
いつものように恭介と向かい合ってご飯を食べる。
昨日作りすぎてしまったシチューを食べる。
食べる。食べる。食べる。食べる…。
何も変わらない日常。
だけど少しだけ違う日常。
少しだけ不安な日常。
少しだけ億劫な日常。
世界中には私よりも大きな不安を抱えている人がいて、世界中には私よりも億劫な日常を過ごしている人がいる。
そう思えば自分の気持ちなんてちっぽけに感じる。
なんてことは思えない。
私はどんなときだって私だし。
世界中の誰かはどんなときだって世界中の誰かでしかない。
私は世界中の誰かに何かをしてあげられないし、代わりにその不安を抱えてあげることもできない。
常に私は私自身の感情を抱えて生きている。
だからそれに大きさも高さも太さも偉さも強さも関係ない。