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#3
「俊ちゃん」
「なに?」
「手、つなご?」
「え~なになにどしたの~?」
「なんとなく~たまにはいいかなって思って!」
照れた顔を見られたくないから、私はそっぽを向きながら歩いた。
俊ちゃんはくすくす笑いながら、私の手を握ってくれた。
「たまにはいいね、こういうの」
俊ちゃんはいつもとちょっと違う、照れた感じの笑顔でそう言った。
私はそんな俊ちゃんの表情になんだか嬉しくなった。
二人で手をブラブラと振りながら夕焼けの空の下を歩いて家へ向かった。
私たちの前をベタベタとくっつきながら歩く高校生のカップルは、いつの間にかいなくなっていた。
「俊ちゃん」
「なに?」
「愛してるって呼んで?」
「呼ぶの?」
「うん。私の名前は今日から愛してる!」
「なんだそれ~」
「ねえ、お願い。愛してるって呼んで?」
「…愛してる」