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#10
「美佳…美佳ぁ…」
小林将平の荒い吐息がわたしの耳にかかる。
わたしは顔をしかめながら、声を殺しながら彼に抱かれる。
聞かせたくも、聞きたくもない自分の声に、小林将平は興奮する。
「美佳…、これからも俺の女でいろな?」
わたしは頷きもせず、ただ茫然と時間が過ぎるのを待った。
恋愛なんてただの暇つぶしだ。
付き合ってきた男は、みんな私との恋愛を暇つぶしに使っていたし、私も彼らとの恋愛を暇つぶしに使ってきた。
結婚もその暇つぶしの延長戦で、飽きない暇つぶし相手を自分のものにするだけの契約に過ぎない。
そしてそれが世界の当たり前なんだ。
そう確信した夜だった。
私は13位の女。
小林将平を満足させるための暇つぶしでしかない。
私は13位の女。
今度は私が魔女になる。