#6
私は知ってる。私は小林将平の1番じゃない。
確か、26番目。
私は26位の女。
それを知ったのは、けっこう前のことだ。それはまだ冬になる前で、まだ暖かい秋だった。
その日、いつもみたいに車でラブホテルに向かう途中、彼はコンビニに寄ろうと言った。
なんとなくめんどくさかったから、私は車をおりずに中で待っていた。
彼の車の中を、そのとき初めてまじめに見わたした。
彼の車の座席のポケットには、生徒名簿が入っていた。
その名簿に載っているのは全て女の名前。
さらにそれは出席番号順ではなく、彼のお気に入り順で並んでいた。
上から自分の名前を確認する。
私の名前は26番目に記入されていた。
しかもその名簿には順位と名前の他に評価も書いてあって、私の評価は10点満点中の7点だった。
ちなみに1位は宮本麻衣子。評価は10点満点中の10点。
小林将平にとって魔女は最高の魔女なのである。
宮本麻衣子はすごく良い女だ。それはもうものすごく。
魅力と書いてミヤモトマイコと読んでも良いくらいの魅力を彼女は持っている。
小林将平の1番は私じゃなくて宮本麻衣子だ。
私じゃなくて。
私じゃなくて。
私じゃない。