第9話 王国視察団と文明の差
第9話です。
人口が増え続けるエルドラは、
すでに辺境の村とは思えないほど発展しています。
食料の自給、資源の生産、商人ギルド、温泉。
そして教育まで始まり、街としての形が整い始めました。
そして今回――
ついに王国がこの街の存在に気づきます。
王国から派遣された視察団が
エルドラを訪れることになります。
果たして彼らは、
この街を見て何を思うのか。
それでは第9話をお楽しみください。
エルドラ。
辺境だったこの場所は、今や完全に街になっていた。
人口三百人。
商人。
農民。
職人。
子供たち。
朝から活気がある。
「……本当に街になったな」
俺――アルクは丘の上から見下ろす。
隣でリナが得意げ。
「でしょ!」
「だからお前の功績じゃない」
「精神的支柱!」
まだ言うか。
その時、セリナが来た。
「アルク」
「ん?」
「王国の馬車が来てる」
「……もう?」
街の入口へ向かう。
豪華な馬車が三台。
兵士もいる。
完全に王国の視察団だ。
扉が開く。
出てきたのは――
若い女。
銀髪。
貴族服。
凛とした雰囲気。
「あなたがアルク?」
「そうだけど」
彼女は名乗った。
「王国監察官、エリシア」
つまり。
王国の役人。
エリシアは街を見渡す。
井戸。
畑。
石橋。
ガラス窓。
そして温泉の湯気。
「……辺境?」
「そうだけど」
エリシアは困惑している。
「報告書では“急成長する村”と書いてあった」
「うん」
「都市じゃない」
リナが胸を張る。
「エルドラだよ!」
セリナが笑う。
「最近できた」
エリシアは呟く。
「信じられない」
その時。
子供が走ってきた。
「アルク先生!」
「ん?」
手には本。
エリシアが目を見開く。
「……本?」
この世界では本は高価だ。
貴族しか持たない。
俺は言う。
「学校作った」
沈黙。
エリシアが聞き返す。
「学校?」
「うん」
子供たちが文字を勉強している。
読み書き。
計算。
エリシアは呟いた。
「辺境で教育?」
俺は肩をすくめる。
「必要だから」
その後。
街を案内する。
農地。
工房。
温泉。
商人ギルド。
エリシアの顔はどんどん変わる。
「……ありえない」
「どうしてこんなことが」
俺は答える。
「錬金術」
エリシアが立ち止まる。
「錬金術で都市を作った?」
「うん」
沈黙。
その時。
温泉の近くで。
ツルッ。
エリシアが滑った。
「きゃ!」
俺が反射的に掴む。
抱き止める形。
距離ゼロ。
沈黙。
エリシア真っ赤。
「……離して」
「ごめん」
リナが怒る。
「アルク!」
セリナが笑う。
「モテるな」
エリシアは顔を赤くしながら言う。
「事故よね?」
「事故です」
しばらくして。
エリシアは真剣な顔になる。
「アルク」
「ん?」
「あなた」
街を見る。
「王国を変えるわ」
沈黙。
そして。
王都。
ある冒険者ギルド。
「最近さ」
冒険者が言う。
「エルドラって街やばいらしい」
「錬金術師が作ったらしい」
リーダーが笑う。
「そんなわけ――」
そこで止まる。
「名前は?」
答え。
「アルク」
沈黙。
元パーティーの一人が震える。
「……嘘だろ」
追放した男が。
都市を作った。
その事実が。
少しずつ広がり始めていた。
第9話を読んでいただきありがとうございました!
今回は
•王国視察団の到着
•監察官エリシアの登場
•エルドラの文明レベルに驚く王国側
という回でした。
エルドラではすでに
•食料自給
•資源生産
•商業
•教育
などが動き始めており、
普通の辺境の街とはまったく違う発展をしています。
そして王国側も、
この街がただの開拓地ではないことに気づき始めました。
ここから物語はさらに動き出します。
次回は
•王国がエルドラをどう評価するのか
•街の影響力がさらに広がる
•そしてアルクを追放した元パーティーにも動きが……
といった展開になっていきます。
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それではまた次回。




