第6話 石鹸とガラスと、ちょっとした嫉妬
第6話です。
人が集まり始めたアルクの村は、
ついに人口100人を超えました。
食料問題はすでに解決し、
水も浄化井戸のおかげで安全。
さらに塩や鉄の生産まで始まり、
辺境とは思えない発展速度を見せています。
そして今回、アルクの錬金術によって
村の生活はさらに便利になります。
登場するのは
石鹸とガラス。
現代では当たり前のものですが、
この世界ではとても貴重なものです。
そして商人たちもこの村に目をつけ始めます。
それでは第6話をお楽しみください。
村の人口は――
ついに百人を超えた。
「……増えすぎじゃない?」
俺――アルクは丘の上から村を見下ろす。
家。
畑。
煙。
人。
もう「村」というより、小さな街だ。
隣ではリナが胸を張っている。
「すごいでしょ!」
「だからお前の功績じゃない」
「精神的支柱!」
まだ言うか。
その時、セリナが後ろから声をかける。
「アルク」
振り向く。
赤髪の女剣士。
湯上がりで髪が少し濡れている。
「魔物の数が減ってきた」
「いいことじゃない?」
「違う」
セリナは腕を組む。
「人が増えたから魔物が寄り付かないだけだ」
なるほど。
つまり。
「街になり始めてるってことか」
その時。
村人が走ってきた。
「アルクさん!」
「どうした?」
「油が取れました!」
袋を見せる。
植物油。
俺は頷く。
「いいね」
「何に使うんです?」
「石鹸」
村人が首を傾げる。
「石鹸?」
この世界では、ほとんど存在しない。
基本は水洗いだ。
俺は作業台に向かう。
油。
塩。
灰。
錬金術。
光。
そして。
白い塊ができた。
「これが石鹸」
リナが触る。
「なにこれ?」
「泡立つ」
水をかける。
泡。
リナが驚く。
「うわ!」
「これで体洗うと綺麗になる」
セリナが言う。
「貸せ」
泡立てる。
腕を洗う。
そして目を見開いた。
「……すごい」
「だろ」
村人も試す。
「すげえ!」
「汚れ落ちる!」
「気持ちいい!」
この瞬間。
村の衛生レベルは一気に上がった。
つまり。
病気が減る。
文明の一歩だ。
その時。
リナが俺の袖を引く。
「アルク」
「ん?」
「お風呂」
「うん」
「背中洗う?」
「……」
セリナがニヤッとする。
「お、そういう関係か?」
リナ真っ赤。
「違う!」
「いやでもアルクは見てるし」
「見てない!」
「温泉で?」
「事故!」
セリナは笑う。
「面白いなこの村」
―――
その夜。
俺は新しい設備を作っていた。
砂。
石灰。
魔力。
錬金術。
そして。
透明な板。
リナが目を丸くする。
「これ何?」
「ガラス」
「……窓?」
「そう」
家に取り付ける。
光が入る。
でも風は入らない。
村人が驚く。
「すごい……」
「暖かい!」
「雨も入らない!」
この世界では。
ガラスは超高級品。
でも俺なら作れる。
つまり。
家のレベルが一気に上がる。
その時。
馬車の音がした。
商人だ。
三台。
男が降りてくる。
そして村を見て固まった。
「……なんだここ」
井戸。
畑。
家。
温泉。
ガラス窓。
そして。
活気。
男が震える声で言う。
「本当に辺境か?」
俺は肩をすくめる。
「まあ」
男は深く頭を下げた。
「お願いがあります」
「?」
「この街と取引させてください」
後ろの商人たちも頷く。
塩。
鉄。
石鹸。
全部売れる。
俺は少し考える。
そして言う。
「いいよ」
リナが小声で言う。
「アルク」
「ん?」
「これ」
「うん」
「街になるね」
俺は村を見る。
人。
光。
煙。
もう止まらない。
この場所は。
確実に大きくなる。
そして。
王都では。
役人が報告書を読んでいた。
「辺境に新しい街?」
部下が言う。
「異常な速度で発展しています」
「……錬金術師?」
役人は呟く。
「名前は?」
答え。
「アルク」
その瞬間。
あるパーティーが凍りついた。
「……は?」
元仲間。
彼らはまだ知らない。
自分たちが追放した男が。
国を動かす存在になることを。
第6話を読んでいただきありがとうございました!
今回は
•石鹸の生産
•ガラス窓の導入
•商人との取引の始まり
という、街の発展にとってかなり重要な回でした。
石鹸は実はとても重要で、
•衛生状態が良くなる
•病気が減る
•人口が増えやすくなる
という効果があります。
つまりアルクがやっていることは、
単なる街づくりではなく
文明レベルの発展
だったりします。
そしてついに商人たちもこの場所に目をつけました。
ここから
•商業
•交易
•経済
が動き始めます。
次回は
•商人ギルドの設立
•村の経済が動き始める
•王国の役人がこの街に興味を持つ
といった展開になっていきます。
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それではまた次回。




