第5話 温泉と新しい住人
第5話です。
少しずつ人が増え、
辺境の拠点は村らしい姿になってきました。
食料は錬金術で安定供給、
水も浄化井戸のおかげで安心。
そして今回は――
この村にとって大きな発見が起こります。
それはまさかの温泉。
さらに、村に新しい人物もやってきます。
スローライフのはずが、
なぜか少しずつ賑やかになっていくアルクの村。
それでは第5話をお楽しみください。
村の人口は、ついに五十人を超えた。
「……増えたな」
俺――アルクは丘の上から村を見下ろす。
家が増えた。
畑が広がった。
煙突から煙が上がる。
数日前まで何もなかった場所とは思えない。
隣ではリナが胸を張っている。
「でしょ!」
「いやお前は何もしてない」
「精神的支柱!」
「初めて聞いた」
その時、村の男が走ってきた。
「アルクさん!」
「どうした?」
「川の奥で変な場所を見つけました!」
変な場所?
俺とリナは案内される。
森の奥。
岩場の隙間から――
湯気。
「……温泉?」
近づく。
湧き出るお湯。
触る。
「あったかい」
リナの目が輝く。
「お風呂!!」
確かに。
この世界では風呂文化はほとんどない。
水浴びが普通だ。
でも温泉なら。
「村の風呂にできるな」
その瞬間。
リナが叫ぶ。
「一番風呂ーーーー!!」
バシャッ!
服を脱ぎながら温泉へダイブ。
「……」
俺は空を見上げた。
「早くない?」
「アルクも入りなよー!」
湯気の向こうから声。
その時だった。
足元の岩が崩れる。
ガラッ!
「うわっ!」
バシャーーン!!
俺も温泉に落ちた。
そして。
目の前。
リナ。
近い。
めちゃくちゃ近い。
リナが固まる。
俺も固まる。
沈黙。
そして。
「アルクーーーー!!」
温泉が爆発した。
「事故だ!」
「絶対見たでしょ!」
「見てない!」
「距離ゼロだった!」
「それは……」
リナは顔真っ赤。
そして腕を組む。
「……アルク」
「はい」
「責任」
まただ。
にっこり笑う。
「温泉作って」
「……はい」
―――
数時間後。
俺は錬金術を使っていた。
岩盤。
水路。
浄化装置。
魔力。
光。
そして完成。
「おお……!」
村人が歓声を上げる。
立派な露天風呂。
木の囲い。
湯気。
「すげえ!」
「風呂だ!」
「夢みたいだ!」
リナは得意げ。
「アルクすごいでしょ!」
いやお前じゃない。
その時。
馬車が村に入ってきた。
見知らぬ女。
赤い髪。
長身。
旅装の剣士。
彼女は村を見て驚いた。
「……ここ本当に辺境?」
井戸。
畑。
家。
そして温泉。
俺が近づく。
「旅人?」
女は頷く。
「傭兵だ」
名前は。
「セリナ」
リナがムッとする。
「名前似てる」
セリナは温泉を見る。
そして言う。
「……入っていい?」
数分後。
温泉。
セリナは気持ちよさそうに湯に浸かる。
「天国かここ」
その時。
ガタン。
木の柵が外れた。
そして。
男湯と女湯の仕切りが崩れた。
「……」
「……」
沈黙。
セリナと目が合う。
「アルク」
「はい」
「見た?」
「事故です」
「……」
セリナはニヤッと笑う。
「面白い男だな」
リナが怒る。
「アルク見すぎ!!」
「見てない!」
温泉は大騒ぎだった。
その夜。
セリナは言った。
「この村」
「面白い」
俺を見る。
「しばらく雇ってくれ」
「護衛として」
俺は頷いた。
魔物はまだ多い。
戦える人は貴重だ。
こうして。
この村に。
新しい住人が増えた。
そして。
噂はさらに広がる。
辺境に。
不思議な街がある。
水が綺麗。
食料が無限。
塩と鉄がある。
温泉まである。
人はどんどん集まる。
やがて。
王国の役人が言う。
「その村の名前は?」
答え。
「アルクの村」
まだ小さな村。
でも数年後。
ここは。
王国最大の都市になる。
第5話を読んでいただきありがとうございました!
今回は
•温泉発見
•村初の大浴場
•新ヒロイン(セリナ)登場
という回でした。
この世界ではお風呂文化があまり発達していないため、
温泉はかなり珍しい存在です。
つまりこの村は
•食料が豊富
•水が綺麗
•塩と鉄がある
•温泉まである
という、辺境とは思えない場所になってきています。
そしてセリナの登場によって、
アルクの周りも少しずつ賑やかになってきました。
次回は
•人口100人突破
•石鹸やガラスなどの生産
•商人が増え始める
•村が本格的に「街」に近づく
といった展開になっていきます。
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それではまた次回。




