第4話 塩と鉄と、ちょっとした事件
第4話です。
前回、主人公アルクの錬金術によって
辺境の拠点はついに「飢えない村」になりました。
その噂は少しずつ広まり、
人が集まり始めます。
そして今回――
アルクの錬金術はさらに力を発揮し、
•塩
•鉄
といった、文明に必要な資源まで作り出します。
食料、水、そして資源。
普通の村ではありえない発展速度で、
辺境の小さな拠点は少しずつ変わり始めます。
そしてリナとのちょっとした事件も……?
それでは第4話をお楽しみください。
朝。
辺境の拠点は、昨日とは別の場所のようになっていた。
「……増えたな」
俺――アルクは丘の上から村を見下ろす。
小さな家が並び、煙が上がり、人が動き回っている。
昨日まで十数人だった難民は、もう三十人以上になっていた。
リナが隣に立つ。
「噂が広がってるんだよ」
「噂?」
「“飢えない村がある”って」
なるほど。
食料がある。
水が綺麗。
魔物も近づかない。
そりゃ人は来るか。
「まあ、悪いことじゃない」
俺は笑う。
「人がいないと街にならないしな」
その時だった。
バシャッ!!
「……ん?」
後ろから水音。
振り向く。
そして――
「……」
固まった。
そこには。
川で水浴びしているリナがいた。
しかも。
服が流されていた。
「アルクーーーー!!」
リナが真っ赤になる。
「見るなぁぁぁ!!」
石が飛んできた。
俺は慌てて目を逸らす。
「いや!事故だ事故!」
「絶対見たでしょ!!」
「見てない!」
「今目合った!!」
「それは……」
沈黙。
リナは顔を真っ赤にして川から上がる。
そして俺の前まで来た。
「アルク」
「はい」
「……責任」
「?」
にっこり笑う。
「とってくれるよね?」
笑顔なのに怖い。
「えっと……」
リナは胸ぐらを掴んだ。
「服作って」
「……はい」
甘サドだった。
―――
数分後。
俺は作業台に立っていた。
布。
繊維。
錬金術。
光。
そして完成。
「ほら」
リナに渡す。
ワンピース。
しかも。
かなり可愛いデザイン。
リナが固まる。
「……なにこれ」
「服」
「それは分かる」
「可愛い」
「それも分かる」
リナは服を見て、少し頬を赤くする。
「アルク」
「ん?」
「……ありがと」
小さく言った。
そして着替えて戻ってくる。
「どう?」
「似合ってる」
リナが満面の笑みを見せた。
その時。
村の男が走ってきた。
「アルクさん!」
「どうした?」
「これを見てください!」
袋を差し出す。
中には――
白い結晶。
俺は目を細める。
「……塩か」
男が言う。
「川の上流で見つけたんです!」
なるほど。
塩はこの世界では高級品だ。
保存食。
料理。
医療。
全部に必要。
「精製するか」
俺は作業台に向かう。
塩水。
鉱物。
錬金術。
光。
そして。
真っ白な塩の山ができた。
全員固まる。
「……え」
「こんなに?」
リナが言う。
「これヤバくない?」
「うん」
俺は頷く。
「国家レベルの資源」
男たちがざわめく。
塩があれば。
食料保存ができる。
交易もできる。
村は一気に発展する。
そして俺は続けた。
「ついでに」
鉄鉱石を置く。
錬金術。
光。
インゴット完成。
「鉄も作れる」
全員沈黙。
リナが呟く。
「アルク」
「ん?」
「それ文明じゃない?」
俺は笑う。
「まあ」
その時。
遠くから馬車が来た。
商人だ。
男が村を見て固まる。
「……なんだここ」
井戸。
畑。
家。
人。
そして塩の山。
商人が震える声で言う。
「たった数日で……?」
リナが胸を張る。
「すごいでしょ!」
俺を指さす。
「全部アルク!」
商人は俺を見る。
そして呟いた。
「……この村」
「おかしい」
その噂はすぐに広がる。
辺境に。
不思議な村がある。
食料が無限。
水が綺麗。
塩と鉄がある。
そして。
天才錬金術師がいる。
数年後。
ここは。
王国最大の都市になる。
そして王都では。
ある人物が言った。
「その錬金術師の名前は?」
答えが返る。
「アルク」
その瞬間。
元パーティーの連中が凍りついた。
「……は?」
ざまぁの時間は。
もうすぐ始まる。
第4話を読んでいただきありがとうございます!
今回は
•塩の精製
•鉄の生成
•そして初めての商人登場
と、村が「街」へ向かう重要な回でした。
この世界では塩はかなり貴重で、
地域によっては金と同じくらいの価値があります。
つまりアルクがやっていることは、
村の発展どころか国家レベルの資源生産
だったりします。
そしてここから物語はさらに動きます。
次回は
•人口がさらに増える
•商人が住み始める
•村が本格的に街へ発展していく
といった展開になります。
また、リナとの関係も少しずつ変わっていく予定です。
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それではまた次回。




