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第1話「役立たずの錬金術師」

この作品を読んでいただきありがとうございます。


この物語は

追放された錬金術師が、辺境の村でスローライフを送りながら街を発展させていく物語です。


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価をいただけると嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

「アルク、お前は今日でギルドを辞めてもらう」


王都の錬金術ギルド。

石造りの会議室で、ギルド長は冷たい声でそう言った。


部屋の空気が一瞬で凍りつく。


「……理由を聞いてもいいでしょうか」


俺は静かに尋ねた。


ギルド長は机の上の書類を指で叩く。


「簡単な話だ」


「お前の研究は、金にならない」


会議室にいた他の錬金術師たちは誰も口を開かなかった。

ただ、どこか居心地の悪そうな顔をしている。


俺の名前はアルク・レインフォード。


王都錬金術ギルドに所属する錬金術師……だった。


「ポーション研究をしない」


ギルド長が指を一本立てる。


「魔石加工もしない」


二本目。


「武器強化もやらない」


三本目。


「そのくせ、何を研究している?」


俺は答える。


「生活錬金術です」


数人の錬金術師が苦笑した。


生活錬金術。


つまり――


・水を生み出す装置

・農業用肥料

・長期保存食

・耐久性の高い農具


戦闘とは無関係の技術。


俺にとっては、人を豊かにするための錬金術だった。


だが、この国では違う。


「そんなものは農民の仕事だ」


ギルド長は吐き捨てた。


「錬金術師がやる仕事じゃない」


「ですが」


「魔物との戦争が続いているこの国で、戦闘に役立たない研究に金を出す余裕はない」


反論の余地はなかった。


この国では錬金術は


戦争のための技術


なのだ。


ポーション。

武器強化。

魔石燃料。


それ以外は無価値。


「今日中に王都を出ろ」


ギルド長は言った。


「研究設備は没収する」


俺は少しだけ目を閉じた。


長年使ってきた研究室。


錬金炉。


素材棚。


全部置いていくことになる。


「……わかりました」


抵抗しても無意味だ。


俺は荷物をまとめた。


持っていけるのは


・古い錬金術書

・小さな道具袋

・簡易錬金キット


それだけ。


ギルドの建物を出る。


王都の通りはいつも通り賑わっていた。


商人の呼び声。

馬車の音。

屋台の匂い。


だが俺だけが、この街から弾き出されたような気分だった。


「さて……どうするか」


所持金は少ない。


王都で錬金術師として働く道ももうないだろう。


しばらく考えたあと、俺は地図を開いた。


王国の西部。


山と森に囲まれた小さな村。


人口二百人ほど。


名前は


ミルフィ村。


「……ここなら」


俺は小さく呟いた。


もし俺の研究が本当に役に立たないものなら、

このまま静かに終わるだけだ。


だがもし違うなら。


生活錬金術は

人の生活を変えられる。


それを証明してみたい。


俺は王都を出た。



三日後。


「……ここか」


ミルフィ村に到着した。


小さな村だった。


畑が広がり、木造の家が並んでいる。

だが全体的にどこか荒れている。


井戸の周りには人が並び、

畑の作物は元気がない。


「水不足か……」


俺は畑の土を手に取った。


乾いている。


さらに遠くから怒鳴り声が聞こえた。


「魔物だ!」


村の入口に三匹の狼型モンスターが現れていた。


村人が慌てて逃げる。


そこへ一人の女性が剣を持って走ってきた。


短い赤髪。


鋭い目。


彼女は一人で狼に立ち向かう。


だが三匹は多い。


危ない。


俺は道具袋から小さな瓶を取り出した。


「簡易錬成」


瓶を地面に投げる。


次の瞬間。


白い煙が爆発した。


狼たちが驚いて後退する。


その隙に女性が一匹を斬り倒した。


残りは逃げていく。


静寂が戻った。


女性がこちらを見る。


「……あんた誰?」


「旅人です」


俺は答える。


「錬金術師です」


村人たちがざわめいた。


「錬金術?」


女性は眉をひそめる。


「ポーション作れるの?」


俺は首を振った。


「水を作れます」


数秒の沈黙。


そして。


「……は?」


女性の目が丸くなる。


俺は道具袋から小さな魔石を取り出した。


地面に置く。


錬成式を展開。


魔石が光る。


そして次の瞬間。


透明な水が、泉のように湧き出した。


村人たちが息を呑む。


誰かが呟いた。


「水……?」


女性が驚いた顔で俺を見る。


「……あんた」


「何者?」


俺は少しだけ笑った。


「ただの」


「追放された錬金術師ですよ」


その時、俺はまだ知らなかった。


この小さな村が。


やがて王国最大の街へと成長することを。


そしてその中心に、自分が立つことになることを。

第1話を読んでいただきありがとうございます。


この物語は


・スローライフ

・街づくり

・錬金術チート


をテーマに進んでいきます。


次回は


「井戸を作ろう」


主人公の錬金術で村が少しずつ変わり始めます。


面白いと思っていただけたら、

ブックマークや感想をいただけると嬉しいです。

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