061.「」
「さぁ参れッ! 参れ参れ参れ参れ、推して参れえええッ! 我が最大の好敵手、銀剣ジルクリフ・ガレイアよ!!! 貴様の全力とはそんなものかあああッ!!?」
などとジルクリフを圧しながら。
「誰一人として予期しまい! まさかこの"戦鎚のグランダム"が冒険者を装い、密かにガレイアの奥底に忍び入っていたなどとはな!」
グランダムが張り上げたのは、それこそ轟く雷鳴にも引けを取らないほどの大声量だ。
(うっるさぁ……っ!? よくあんな大っきい声が出せるわね……)
「銀剣、ジルクリフ・ガレイアよ! とくと聞け、冥途の土産代わりに明かしておいてやろう!」
ドン引きし、呆れるアルメリアをよそに、その豪快な種明かしは始められていく。
「ムシウルの策には、二つの大いなる目論見があったのだ!!!」
(二つの、大いなる目的……?)
胡散臭さ満点に、とりあえずアルメリアも聞いていたが。
「まず一つは貴様の兄、ライナルト・ガレイアを確実に葬り去ることよ! ムシウルを囮として奴を誘き出し、満を持して正体を明かした我と挟撃してやったのだぁああッ!」
(あー、そういえばそんなことスーランが言ってたな……)
ギルダからレクチャーを受けたことで興味を持ったか。
すっかりスクープ大好きな情報通っぽくなってしまったスーラン・ハルジオン。
『アル、聞いて! ビッグニュース、すっごいビッグニュースだよ! こないだのライナルトさんの件あったでしょ!? 一緒にいたっていう人から聞いたんだけど、あれって味方の中に冒険者のフリをしてる魔王軍の人が隠れてたからなんだって! 名前は忘れちゃったけど、ハンマーみたいな相手の人! 』
『ハンマーってことは……グランダム?』
『そう、それ!! それでライナルトさんは仲間の人を助けようとして』
ムシウルご本人から直接、猛毒をインジェクションされてしまったと。
そのときは「へぇー」って感じだったけど、いまも「へぇー」って感じだった。
「もう知ってるし……」
今さら感があって興味を失う。
「ライナルト・ガレイアは死んだ! 我らの――いや、我が友が遺した策、その結実が齎した勝利よ!!!」
「……生きてるんだけどね」
見たらジルクリフも心なしか反応に困ったような顔をしていた。
すでにすっかり討ち果たした気でいるみたいだが、情報の更新が間に合っていないらしい。場に流れるビミョーな空気に気付かないまま、グランダムの種明かしは続けられる。
「そして、二つ目は――こちらこそが秘された真なる企みよ!」
(なーにが真なる企みよ。どうせ大したことないんでしょーに……)
大言壮語な予感しかしなくて、耳半分に聞いていたら。
「貴様らの命綱たるポーションを粉砕し、その一滴余さずを我が兵糧に……ッ! 力と進化の源泉とするためだったのだああああッ!!!」
「…………はいっ??」
思わず声が出た。




