表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/63

058.「」


 冒険者をよそおい、街に潜伏する。


 聞かされた当初こそ、荒唐無稽こうとうむけいな策としか思えなかった。

 しかし、今にして振り返れば――。



「流石は"蠱毒こどくのムシウル"……! 今は亡き我が盟友にして、血盟の戦友よッ!!!」



 時間軸は現在。

 琥珀こはくまゆを内から破り、新生を迎えたグランダムが莫大な雄叫びをとどろかせる。


 光を青白く反射する鉱石や結晶が、壁一面をおおう――。

 そんな神秘的な岩窟の奥底にて名敵、銀剣のジルクリフ・ガレイアと相対。大きく振り上げた戦鎚のひとつを、豪壮ごうそうに大地へと撃ち落としながら。



「その計略、実に見事なりッ!!!」



 轟きわたる怒号のような叫びは、すでに世を去りし同胞へとささぐ最上の賛辞さんじにして、もはやむくい得ぬ恩義の証に他ならなかった。


「銀剣、ジルクリフ・ガレイアよ! とくと聞け、冥途めいど土産みやげ代わりに明かしておいてやろう!」


 もはや相手にもならない。

 怒涛どとうの勢いで戦鎚せんついを振り回し、嵐のごとく乱舞らんぶする。そうして徐々に防戦一方へと追い込まれ、険しさの増していくジルクリフの顔付きに。



(愉快、痛快……! よもやあの銀剣、ジルクリフ・ガレイアをこれほど一方的に圧倒できる日が来ようとは……! 力がからだの奥底から沸き立ち、みなぎってくるかのようだ!)



 すでに確信しかない、圧倒的な勝者のえつにも浸りつつ。



「ムシウルの策には、二つの大いなる目論見があったのだ!!!」



 グランダムが響かせたのは、天来てんらいが如き轟声ごうせいだ。



 グランダムを街に冒険者として潜入させた目的。

 まず1つは言わずもがな、金剣のライナルトを確実に葬り去ること。


 ムシウルは言った。



『オマエが街に紛れ込んで暫くしたら、僕が強力な毒蟲を放つ。並の冒険者じゃ到底、太刀打ちできないようなとびっきり大型の奴をな。次男坊だけで処理しきれなくなれば、いずれ長男坊も出てくるだろう。そこを狙う』



 セレビネラの話だと、ライナルトは基本的にあまり一人では行動しないらしい。冒険者たちを集め、連れ立つことが多いそうで。



『オマエもそこに加われ。前後から挟み撃ちにすれば必ず勝てる。奴は仲間を見捨てられないらしいからな』



 そして結果は、まさにその目論見通りとなったのだ。



「貴様の兄、ライナルト・ガレイアは死んだ! 我らの――いや、我が友が遺した策、その結実がもたらした勝利よ!!!」



 振り下ろされた大槌の一撃に、また一際大きく岩窟が揺れる。揺るぎなき戦果、そのすべてを空の友への手向なおけとしたうえで。



「そして、二つ目は――」



 なおも交戦を続けつつ、ニヤリ。

 グランダムは得意げに、秘められたもう一つの目的も明かすのだった。



 そして、その思いもよらない発言に。



(なんかよく分からないけど、二人ともタイマン勝負がしたいみたいだし。もう知ーらない。ほっとこ)



 無関心さから、静観を決め込んでいた一人の少女がピクリと反応を示す。



「……なんですって?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ