057.「」
それ以来、グランダムはムシウルの言葉に従い、狙いをジルクリフただ一人に絞り込んで行動する。
(一人一殺――ムシウルの言葉どおり、まさしくここから先は総力戦というわけだ。我が求めてやまなかった、仁義なき修羅の戦場よ。滾る……! 我が血潮はいま、魂の奥底より沸き立ち、かつてないほどに煮え滾っておるぞ……!)
セレビネラがやられた。
「グリムガルド、そしてセレビネラよ……。そなたらの無念、この我が必ず晴らす。仇は必ず、この手で討ち果たす。この戦鎚と誇りにかけて……。されば今はただ、安らかに眠れ。汝らが魂に、悠久の安らぎがあらんことを……。さてムシウルよ、これからどうする?」
「流れるように切り替えたな。しかも人頼みかよ。つーかオマエ、やっぱ言いたいだけだろ。そなたとか汝とかブレてるしよ。統一しろ」
「数はすでに3対2……押されている。このままでは、なかなか苦しい盤面ではないか?」
「無視しやがった」
「虫だけにな」
「うるさい! なんだオマエ、実はめちゃくちゃ動揺してるのか!?」
「戯けたことを申すな。戦とあらば仲間の死は常。武士に揺らぎなど一片もありはしない。この心は岩のごとく不動なり。――ところで今の"うるさい"は、やはりアレか? 蝿とかかっていたりするのだろうか?」
「……もういい。これ以上話してるとバカが移りそうだからな。話を進める。たしかにオマエの言う通り、形勢はかなり不利になったが……。幸い、銅剣は標的をあのクソ女にシフトしたみたいだ。それも見た限り、相当手こずってる」
「……ふむ、つまり?」
「あの様子なら、まだしばらくは大丈夫だろう。マンドラゴラが人類側の手に渡る心配はない。ついでに奴ら、まだ僕たちが参戦してることにも気づいてないからな。セレビネラをやってすっかり気を抜いてやがる。やるなら油断してる今が絶好のチャンスだ」
「ついに来たか……待ち侘びたぞ。ではまずは手始めに、この我が出よう。ジルクリフ・ガレイアを討ち取り、反撃の狼煙をあげ」
「いや、銀剣は後だ。なんなら最後でもいい。まずは金剣をやるぞ。2人がかりで確実に仕留める」
「ぬ、2人で……?」
「卑怯だとか、くだらないことを言うなよ。連中が油断してて、あのクソ女が銅剣を食い止めてる今がチャンスなんだ。ゲームオーバーになるまえに動く」
「むぅ、背に腹は代えられんか。しかし具体的にはどうするのだ?」
「そうだな。1つ名案があるんだが」
そうしてムシウルは、ある策をグランダムに言い渡すのだった。
「――グランダム。オマエはしばらく、冒険者のフリでもして街に潜伏してろ」




