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055.「」


「おっと、そういえばまだ1つ目だったか。まぁいい、兄弟のことは分かった。それでセレビネラ、残りの2つは何だ? 続きを聞かせろ」


「じゃあ2つ目なんだけど、グリムガルドが……」


 早い話が、暴走したらしい。


「暴走?」


 狂哭きょうこくのグリムガルド。

 彼はこの攻防戦において重要な鍵を握っていたキーマンである。


 勝利条件はマンドラゴラを回収することなのだが、グリムガルドはその天敵ともされるワーウルフだ。


 だから彼が派遣された。

 鼻を効かせ、その在処ありかを突き止めるために。


 ところが――。


「前に4人で話してたときも彼、ずっと様子がおかしかったじゃない? 覚えてるでしょ? 自分に金剣をやらせろーってうるさかったの」


「あー言ってたな。キャンキャン、キャンキャンずっと吠えてて鬱陶うっとうしかった。そういえば結局、あれからどうなったんだ?」


 そのやり取りはよくよく、グランダムも記憶している。


 言っては悪いが……。

 グリムガルドは情緒的にかなり不安定なところがあった。


(二足で歩もうとも、所詮しょせんは獣――そう断じてしまえばそれまでのことではあるが……)


「せっかく大好物のマンドラゴラ探しをさせてやるって言ったのに。"俺も戦わせろ"の一点張りだよ、あの犬っころときたら。まったく何を考えてんだか。あれにはウンザリだったね」


「しかしげんに従わぬのであれば、セレビネラよ」


「そう。アタシが操って、ちゃんと言うことを聞かせるはずだったんだけど。そのまえに……」


「まさか……」


 察したムシウルに、セレビネラは気まずそうに目線を伏せる。


「さっき言った、銀剣と銅剣に……」


 勝手に突っ走って、やられたとのこと。


「あのバカ、やりやがったよ。まさにイヌ死にじゃないか。ご苦労なこったな」


「ムシウルよ、同胞の死だ。言葉をつつしめ……と言いたいところではあるが。むぅ、せめて一矢いっしなりとも報いていればな……」


「それが……。まったく報いなかった、ってわけでもないかもなんだけど……」


「まさか! どっちかをやったのか!?」


「銅剣に……」


「……ッ!?」


 一度席を立ち、身を乗り出すまでしたものの。


「ちょっと噛みつくくらいはできたみたい。ガブっと」

「それで!?」

「……それだけ」

「……はっ、そりゃ大戦果だね。よくやったよ。本当にやってくれたさ」


 皮肉げに何かをほっぽり捨てる素ぶり。

 あからさまに興味を失い、また着席するムシウルだった。


「で、3つ目は?」


「これはまだ、いい知らせとも悪い知らせとも取れないんだけどね」


 そしてセレビネラは、最後にその話題を持ち出す。


「なんか、森に魔女が棲みついたみたいなの」

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