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053.「」


「……っ、これは驚きましたね。なぜあなたがここに?」


「聞いているのはこちらだ」


「まさか後を付けて……」


「聞いているのはこちらだと言っている! 質問に答えろ!」


 ジルクリフの鋭い一喝が、地下空間に反響する。


「ここで何をしていた? おまえの後ろにある、それは何だ?」


「何か誤解されているようですが……。私もいま、丁度これを見つけたところです。何かは私も分かりません。これから確かめようと思っていました。ついでにレド……ックス。あなたの弟さんにも伝えたほうがいいと思って、いったん引き返そうとしていたところですよ」


「いま見つけただと? 下手な嘘はやめろ。俺は見ていたぞ。貴様はここまで迷わずに来た。最初からこの場所を知っていたんだ」


「違います。私はその……タレコミがあって此処に辿り着けたんです」


「タレコミ……?」


「……言ってもムダな予感しかしないですが。私の魔法は知っているでしょう? 植物を操れます。私もあなたのことはとくに信用してないので、詳細は伏せますが。少しくらいならお話だってできるんですよ、彼らと」


「彼ら? まさか森の木々がこの場所を教えてくれた、とでも言う気か?」


「そうです」


戯言ざれごとを……! 信じられるか、そんなこと! 付くならもう少しマシな嘘をつけッ!!!」


「はぁ、予感的中ですね。本当に……何でよりによってあなたなんですか? しかもこんなタイミングで。最悪です、ほんとに」


「……まだシラを切るつもりか」


「切ってません。本当に私も、何も分からないんですよ。とりあえずそこ、通してもらっていいですか? パッと見ですがこのまゆのようなもの、あまり良いものではないようです。早く何とかしたいので」


「白々しい……!」


「レドより話が進まなーい」


 沈黙。


「……もういい。ここで貴様もろとも、その繭も破壊する。完膚なきまでにな。それでおしまいだ」


「ちょっと待って……! 何かも分からないのに、そんな不用意な! ちゃんと調べてからじゃないと」


「やれ、アルシャジオッ!!!」


 構えた銀剣にジルクリフが魔力を込めるとともに、バチバチとその刀身が青白く帯電を始める。


 稲光を宿してひらめき、周囲の空気を震わせながら甲高い雷鳴をもはらんで。


 一触即発の緊張が張り詰めた、その瞬間だった。



「――ときは来たれり」



 おごそかな声。

 同時にピシリと背後のまゆに亀裂が入る。

 あるいはそのように見えていた琥珀こはく色の結晶が内側から打ち砕かれ、瞬く間に崩壊したのは。



「この魔力……! ほとばしる雷鳴がごとき、力の奔流ほんりゅう! 我が名敵、ジルクリフ・ガレイアに相違あるまい!」



 復活せし魔神が如く、巨躯きょくを揺らし。

 物々しい様相で繭からかえったのは六つ腕の巨人だ。



「我こそは戦鎚せんついのグランダムッ! 預けし勝負、いまこのときにて受けて立とうッ!!!」

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