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051.「」


 いまこの瞬間、ジルクリフ・ガレイアはある確信へと至っていた。


(アルメリア・リーフレット……!)


 やはりこの魔女は看過かんかできない。

 放置しておくにはあまりに危険な存在であると。


 先日のことだ。

 あと一歩のところで追い詰めきれず、アルメリアを再び野放しとするしかなくなってしまったのは。


 ライナルトの解毒と引き換えに、そのときは結局、何も聞き出せず仕舞いだった。


「いや済まんなジル、俺のせいで。だがまぁ、こうしてちゃんと解毒はしてくれたわけだし、やっぱり悪い子じゃなんだろう。レドが気を許してるくらいだしな」


 病室。

 ライナルトは相変わらず呑気のんきで、共犯のレドックスを問い詰めようともしない。


「気を許してるだと……? 籠絡ろうらくされ、まんまと手玉に取られているの間違いではないのか? そうでないと言い切れる保証がどこにある!?」


「たしかに、その可能性もゼロではないが……。しかし、レドだぞ? 警戒心で言えば、俺やお前よりよっぽど強いだろ。野生のカンみたいのだって、昔からよく働くじゃないか。アイツ。しかもこれがよく当たるんだ。どうなってるんだかな」


「ライナルト……おまえ、本気で言っているのか……? あの魔女を信用すると?」


「俺やおまえが動けない間、街を守ってくれたのは彼女だよ。ムシウル本体まで打ち倒してくれたっていうのに、これ以上疑ったら申し訳ないだろ。それに……魔女か。なぁジル、俺は少し思うんだが、あの子は本当に魔女なのか?」


「なに?」


「ルミとも話したんだけどな、なにか違う気がするんだよ。しっくりこない。植物を操る魔法、なんてのも聞いたことがないし。あるいは……」


「…………?」


「あぁいや、すまん。まぁいい、本題はそこじゃないんだ。とにかく、もうしばらくは様子を見てみよう。何となくだが、彼女とは手を結べそうな気がする。疑わしきは罰せずとも言うだろ。な?」


「……理解できん」


「まだ時間はあるんだ。俺はレドの判断を信じるよ」


「それで取り返しの付かないことになったらどうするつもりだ!?」


「そのときは、今度こそ俺が止めるさ。この命に変えてもな。――つってもこんな有様じゃ説得力もないだろうが。まぁいざとなったらルミだって付いてるんだ。なんとかなるだろ。だからな、ジル」


 ――頼む。

 そう静かに、いま暫くの静観を求められる。


「度し難いとはこのことだ……!」


 これ以上は平行線。

 ギリと奥歯を噛み潰し、ジルクリフもきびすを返した。


「おまえがていたらくの間、俺一人でもヤツの見張りは続ける。構わないな」


「……あぁ、そうしてくれると俺も安心だ。助かるよ。もし疑わしいことがあったら、すまんが俺に報告をくれるか」


「保証はできん。疑いの余地がなければ、その場で切り捨てることもあり得る。異論は認めない」


「ジル……」


「それと言っておくが」


「……?」


「疑わしきは討て。それが俺の信条だ」


 ツカツカと病室を後にする。

 それからしばし、ジルクリフはアルメリアの監視を続けていたのだった。

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