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045.「」


 そのまま再び、川へ連れて行かれそうになった。


 でも流石にそれはもういい。

 気持ちは有難いのだけど、それですぐに治るようなものではたぶんないから。


「だったら、どうしろってんだ。どうすりゃあ、オメェは治る。俺と今日、ガチでやり合えるってんだよぉ……!」


 猫のようにツマミあげられ、チューブラリンにされたまま睨み付けられる。


 でもこればっかりは、どうしようもない。


「ごめんなさい……。でもその……今日はきっと、このまま熱も下がらないと思うから」


「また明日にしましょうってか……!? さっきと言ってること変わんねぇぞ」


「それは……そうね。本当にごめんなさい」


 正直、そこは謝る筋合いじゃないと思ったが。

 ここまで付き合わせておいて、期待に応えてあげれなかったのは事実という辺りで差し替えておく。


「それにほら、今日はもう時間も遅いし……。そろそろ帰らなくちゃでしょ?」


「誰のせいだと思ってやがる」


「ええと……はい、私のせいです。その、看病してくれてありがとう」


 あれを看病と言っていいのかは、ちょっと疑問だが。


「あと送ってくれたのも助かりました。……とても」


 無言だったので、それも付け足しつつ、目を泳がせる。

 しばらく睨まれこそしたが。


「2戦だ」


「え?」


「明日、俺と2戦やれ。ソイツで今日のところは手打ちにしてやる」


 そういうことで、何とか納得してもらったのだった。




 そうしてようやく時点は現在に戻ってくるわけだ。

 アルメリアは今しがた、自室で目を覚ましたところになる。


 ムクリと体を起こし、ピピッと体温計を当ててみれば。

 やっぱりまだ平熱にはほど遠かった。


(この分じゃ、明日も……)


 レドックスの希望は叶えてやれないように思う。


(明日になれば必ず治ってるとは限らないとは、一応伝えてはおいたけれど……)


 それで彼がどこまで融通を利かせてくれるかは疑問だ。


 もしかしたら明日の今ごろは、大変なことになっているかもしれない。


 でも、とにかく。


(今は、休もう……)


 アルメリアは体を倒し、再び静かに眠りへと落ちていく。

 昨夜は八方塞がりで、どうすればいいかも分からなかった。


 けれど今は、少しだけ。

 ほんの少しだけ、不思議とそれが軽くなっているような気がした。



 そして――。


 それからもしばらく、アルメリアの体調不良を理由に休戦状態は続くことになる。


 だがやがては行き来することも面倒臭くなったか。


「わざわざ通うのもダリぃし、二度手間だかんな。俺も今日からこっちに棲みつくぜ。いいな? 庭借りんぞ」

「えっ、ちょ……!?」


 レドックスがそう言い出すまでに、さほど時間もかからなかった。

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