033.「」
最初はジルクリフだけだったのに、あれよあれよと乱入者が相次ぎ――。
気付けばそこにガレイアの三兄弟が揃い踏みする展開に。
それにしても。
(あれ、なんでバレちゃってるんだろう……?)
アルメリアにはそれが不可解だった。
ジルクリフからこんな奴呼ばわり、指差しまでされたときは。
(はぁ、とうとうこちらに矛先が向いたか……)
ジト目を向けつつ、そうため息も漏らしもしたが。
思いもよらず、それを制したのがライナルト。
述べられた根拠も、確かに真実ではあるものの。
(おかしいな。誰にも見られてなかったはずだけど……?)
思い当たる節はなく、それだけが解せなくて。
さておき。
(これは、どう対応すれば……?)
アルメリアは内心で顔をしかめる。
正直、逃げるだけならどうとでもなるのだ。
でも……。
(レドも来ちゃってるしなぁ……)
そこがネックだった。
ともすれば逃げても、あまり意味はない気がする。
示し合わせたくて、チラとレドックスに視線を送ってみるも。
「なにガンくれてんだ? 真顔でこっち見んな。マグロかよ」
「アイコンタクトを送ったんだけど……」
あえなく撃沈。
元も子もないことになってしまう。
「ねぇ、どうしたらいいの? これ」
「んなモン、俺が知っかよ。オメェのこったろうが。オメェのアタマで考えやがれ」
(あなたのせいで話がややこしくなってるんですけどーっ!?)
もはや処置なしと、天を仰ぎたくなるアルメリアだった。
(いっそのこと、ホントにこのまま逃げちゃおうかな……)
そう思いかけもしたのだが。
このときアルメリアは――というか他2人も合わせて、誰も気づいていない。
「どうか身構えないでくれないか……。こちらは君と話がしたいだけで」
あくまで話し合いを望んで歩み寄るライナルトだが。
(あ、あれ……? どうしたんだ、俺……なんか急に体調が……!?)
その顔色がウップと、みるみる蒼白さを増していることに。
愛剣ルミナリスに意識の深層から呼び覚まされ、無理が祟った。
確かにそれもあるのだろう。
だがそれ以上に。
アルメリアが単純に見落としていたのだ。
ムシウルがライナルトに注ぎ込んだ毒だけは“特別製”で、他の冒険者たちが被ったのとはまったく別格の代物だったと、そのことを。
(どうせみんな一緒でしょ。時間もないし、さっさとやっちゃお〜っと)
昨晩こそ、そう思ってチョイパッパと片付けたが。
(診察したのは最初にみた冒険者一人だけ。)
完全ではなく中途半端に終わってしまった解毒、その反動が今になって。
「君に……危害を加えるつもりは……な……い……」
「……はい、確かにできるようにも見えないですけど。どうかされました? なんだかとても顔色が悪そうですが」
悪気もなく聞き返したが、バタンキュー。
ライナルトがその場にガシャンと崩れ落ちるまで、そう時間もかからなかった。




