表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/62

028.「」


 ギルドの地下に設けられた練兵場。

 そこで繰り広げられていた、アルメリアとジルクリフの一騎打ち。


 もっとも真剣に闘志を燃やしていたのはジルクリフだけで。


(どうにかして抜け出さないと……!)


 できるだけ早く離脱したいと、あまりその気もなかったアルメリアとは大きく温度差もあったが。


 まさかその最中のことだった。

 その対峙を裂くように。


「俺をハブってイチャついてんじゃねぇぞおおおッ!」


 振り乱すような赤髪の男が、何の前触れもなく乱入してきたのは。


「なに!?」

「え、レド……!?」


 二度見するまでもなくレドックスだった。

 それはジルクリフにとって完全に想定外の闖入ちんにゅうであり、アルメリアにとっても衝撃の極み。


(な、なんでここにレドが……!?)




 ――ちなみに、つい今しがたまでアルメリアが頭の中で描いていたこれからの段取りはこうだ。


 とりあえずこの場を離脱して、なんとかレドックスと合流する。

 「どうしようお兄さんにバレちゃった!」と相談しつつ、曲がりなりにも対応策や口裏合わせを考える……みたいな。


(かなりフンワリしてるけど……!)


 ダメだ。

 いまはそれくらいしか浮かばない。


(よし、いったんそれで……!)


 いざ決行に踏み切ろうとした、その矢先の乱入だった。


 なもので、見事に吹き飛ぶ。

 だってこれでは全部パーではないか。


 口裏を合わせるどころではないし、ヘタに呼びかけようものなら、いよいよグル認定されてどんな言い逃れも通用しなくなる。


(ど、どうすればー!!?)


 頭を抱えてアウーとなっているうちにも、レドックスとジルクリフの剣戟けんげきは激化していくばかりだった。


「どういうことだ! レドックス、どうしておまえがここに!? なぜ邪魔をする……!?」


「そりゃあコッチのセリフってもんだろうが、キモグリフ、キショグリフ。キンタマも言ってたはずだぜ、コイツァ俺の獲物だってなぁ。横からしれっと掻っ攫ってんじゃねぇぞォ……!」


「そんなことを言っている場合か!? いまがどんな状況か分かって……それともレドックス、やはりおまえは既に……!」


「あァ? なァにイミシンぶってやがる? ヘンな含み持たせて臭わせてんじゃねぇぞ、オメェ。メンヘラか? 言いてぇことあんならハッキリ言えや」


「ぐッ……!? おまえというやつは……!」


「グズグズすんな。カッコつけんな。タマ付いてんだろうが。シロクロ付けろ。――いい加減、女々しいかよオメェ。スカシ、ホモ、ムッツリ」


「ほっ……むっ!?」


「この、カマ野郎がぁああッ!!?」


 ガキンと、またも乱雑で力任せな薙ぎ払い。

 受けきれず、吹っ飛ばされたジルクリフもろとも壁が大破する。


 もうもうと立ち込める土煙。

 しかし静寂は一瞬だった。


「ォオオオッ!!」


 猛り声とともにジルクリフが煙幕を突き破る。

 烈々たる一撃を振るいながら、再びレドックスとの打ち合いへと舞い戻って。


「わぁ……」


 アルメリアとしては、もはや完全に思考停止だった。

 こんなの兄弟ゲンカなんてレベルではないし、収拾の付けようもない。


「私、帰っていいのかな……? いや、さすがにダメよね、それは……。でも、だからってこんなのどうしたら……?」


 いつぞや自分のポーションが爆発的人気を誇り、冒険者たちが押し寄せたときのように。ただただ呆気に取られ、ポカーンとする。


「もうここで座って見てようかな……」


 いろいろと諦め、しゃがみかけたそのときだ。

 アルメリアは見た。


 荒々しい裂帛れっぱくの気合いとともに激突する二人の間にもう一つ、別の影が飛び込むのを。


 その瞬間、戦闘は強制的に打ち切られる。

 レドックスの剣は剣で受け止められ、ジルクリフの刃は巨大な盾で阻み。


 そこに立っていたのは既に息を切らせながら、あまり顔色もすぐれなそうに見える金髪の男。


「……そこまでだ、2人とも。剣を引け」


 長兄、ライナルト・ガレイアであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ