3.特殊能力…?
近子…不明
安子…過去
美子…未来
爺さん…止める(今)
「3人に共通してる能力については、このメモの通りよ。全て時間に関わる事だけ。【過去】か【未来】か【今】」
「なんで、私のお母さんだけ【不明】なの?」
叔母さんは頭を振った。
「あんたのお母さんは周りに話さなかったからよ。なんの能力があるか、を」
「姉妹なのに?」
「…姉妹だからこそ、かもね。最終的に姉さんは自分の死に直面した時に、未来を見たのか、過去を見たのか、時間を止めたのか、そもそも能力を放棄したのか、それさえも分からない」
「日葵のお母さんが亡くなった原因は何?」
ミチの問いかけに応える。
「病気だった。小学校に入ったばっかりの秋頃に」
「安子叔母さんやお爺ちゃんの能力については、みんなで話はしたの?」
「いえ、話してない。でもお互いの能力は分かる。爺さんはピザ屋の件でもあるように特に分かりやすいし、安子姉さんは行動を見てれば、察する。おそらく近子姉さんの病気に気付いた時点で、私がしたように何度も病院へ行くように話をしたはず」
「何でみんなで話さないの?お互いに情報を共通すれば、色々助け合えるじゃない」
ミチの疑問には同感だ。
「もし、私が未来を見て安子姉さんに助言をしたとしても、運命には抗えない理由があるからよ。だからお互いに頼まれた時以外では極力能力の話はしない。お互い、特別な時しか相手に話さない。お互い自分の事は見る事が出来ない」
ミチと日葵は顔を見合せた。
話が奥深過ぎて、実際の立場にならないと本当の所は理解出来そうにない。
「美子叔母さんはどうやって未来を見るの?」
「占い師の時はその人の顔を頭に思い浮かべて念じる。他には夢に出てくる場合もある。おそらく過去が見える安子も一緒の方法だと思う」
「で、その特殊能力?なんでその話を私に?知ってると思うけど、私には何の取り柄もないよ」
「私達がその能力を手に入れたのは、17歳になった瞬間よ」
「えっ、今日は9/29日だから、明日…?」
「そう、明日9/30にあんたはメリットしかない、選ばれし女性に生まれ変わる」
日葵は手を叩いて笑った。
「ミチ聞いたぁ〜?私、生まれ変わるみたいよ」
「で、日葵はどんな能力を持つ訳?」
ミチもがぜん興味が沸いたのか身を乗り出す。
「私が念じた時には…」
「時には…?」
「やたらと“タイミングが良かったぁ”って言ってたわ」
「タイミングが良かったぁ…ってどういうコト?」
ミチと再び顔を見合わせて、首をひねった。
「恐らくだけど、私たち3人とは全く違う能力の様な気がするわ。なぜか、歯車が合いだして動き出した時計が頭に浮かんだの」
「ふぅん」
イメージがぼんやりで、曖昧な返事になる。
「まぁいいじゃない、日が変われば分かるんでしょ。日葵の特殊能力!」
ミチはソファーから立ち上がった。
「ねぇねぇ今日は夜ふかししてさ、その時を待ってみよ、日葵」
「そうだね。早く帰ってその時間を迎えてみよっか。でも今の時点では、まぁっったく信じてないけどね」
叔母さんは、まだ最後に引き止める。
「日葵…これだけは言っておくわ」
叔母さんは、日葵をジッと見た。
「急に授かる能力に、戸惑うこともあるわ。もし自分には必要のない能力だと決めた時には強く念じなさい。そうすれば、その能力は消滅するから。ミチ、分かってると思うけどこの事は他言無用だからね」
「分かってるわよ…」
ミチは渋々頷いた。
18歳→17歳へ修正しました