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センパイは僕の初恋相手  作者: 羽織輝那夜
1/1

1.1 センパイとの出会い

登場人物

・村上蓮 遊ぶの大好きで子供っぽい。

・坂本大翔 お調子者で一見適当な人に見えるが、根の優しい蓮の親友。

・高橋莉子 真面目で周りの目を気にするタイプ。責任感が強く周りに頼ったりすることがない。

・鈴木先生 いつもスーツ姿の真面目な先生。怒ると口が悪くなるが面倒見はいい。剣道部の顧問。

・岡本先生 図書室の本を管理している図書委員会の先生。

 俺は、昔から友達と遊ぶのが好きだったしかし高校にあがると今までノリが良かった友達も彼女を作るのに必死になり始めた。

 俺は正直恋愛に興味がわかなかった。

 なんでわざわざ彼女を作って束縛されに行くのか理解が出来なかった。

 これを言うと周りはいつも口をそろえて言う。

「強がんなって」

 別に強がっているわけではないが周りからは強がっているようにみえているのかもしれない。






「蓮?聞いてっか。お~い」

坂本 大翔(さかもと ひろと)』は、俺の頭を軽く叩いた。

 教室は授業前で騒がしかった。

「聞いてるわ。朝からお前の惚気話聞かされて気持ち悪くなってただけだっての」

 俺は大翔の頭を叩き返す。

 大翔は頭に乗った俺の手を払い、大きなため息をついた。

「いいよな~。お前は彼女がいないから俺の気持ちがわからないんだよ」

 不貞腐れた顔をして人差し指を机に押し付ける。

「いや、そんな気持ちになってまで女子と付き合いたくないな~」

 大翔は顔をあげ、呆れた顔をした。

「お前まだそんなこと言ってんのか?彼女はいた方がいいんだよ。一度できるとわかるって」

 そういうと、あっち行けと手をひらひらさせた。

 ドアの滑車が転がる音がした。

 出入り口には見るからにお固そうなスーツ姿の鈴木先生が入ってきた。

「お前ら席に着けよ~。もう高校生なんだから先生が来てから準備するんじゃないよ」

 鈴木先生が教壇の前に着くと委員長が授業開始の挨拶を始めた。

「それじゃあ、前回の授業で伝えていた通り、今から図書室に行って本を借りてもらいます。本は適当に借りない方がいいぞ。感想文書いてもらうからな」

 鈴木先生は、図書室に行く際に必要なものを板書すると廊下に出た。

「ほかのクラスは普通に授業してるからな。静かに移動するんだぞ」

 俺たちは各々、廊下に出ると図書室へ向かい始めた。

「読書感想文とか普通にだるいな」

 大翔は、両手を頭の後ろに回しながら俺の隣を歩いている。

「それな。ガチでだるい。本とか読まねぇから普通に地獄だわ」

 大翔と一緒に愚痴っていると急に後ろから鈴木の声がした。

「お前ら、雑談するな。それと大きな声でだるいとかいうんじゃない」

「さーせん」

 適当に謝り図書室へ向かった。


 いつも静かな図書室が今日は活気にあふれていた。

 図書の先生はその状況が気に入らないのか、眉間に皺が寄っているように見えた。

「蓮。お前はどの本にするんだよ」

 すぐ隣に立つ大翔と俺は、先生たちの視線に入らないような図書室の陰で静かに会話をしている。

「正直、どの本が読みやすいのかもわからないしなぁ。誰か選んでくれたりしないかな」

 俺は本を探している風を装いながら、本棚に向かって返事をした。

村上蓮(むらかみ れん)。あなたは不真面目すぎると思うのだけれど」

 俺への返事は本棚の向こう側から聞こえてきた。

 槍のように鋭い口調の持ち主は、学級委員長『高橋 莉子(たかはし りこ)』のものだった。

「高橋。正直言って本棚越し返事とかなかなかに気持ち悪くないか?」

 再び本棚の向こうへ声をかけると返事ではなく、本を抱えた莉子がとんできた。

「誰が気持ち悪いですって?」

 莉子は手に掴んでいた辞書のように分厚い本で俺をなぐってくる。

「痛いわ。限度ってもんがあるだろう」

 莉子の渾身の一撃と本の重さが加わった一撃はかなり重かった。

「お前ら本当に仲いいよな。いっそ付き合えば?」

 横で傍観していた大翔が笑いながら、俺たちをからかった。

「誰がお似合いよ」

 莉子はからかった本人。大翔ではなく俺に向かって本を振りかざしてきた。

「なんで俺にくるんだよ。からかったのは大翔だろう」

 しかし、莉子には届いていないようだった。

 重たい本を振り回し続ける。そのせいか、利己の顔は次第にリンゴのようになっていく。

「お前らうるさいぞ。本もまともに選べないのか。」

 莉子の後ろから鈴木先生が現れた。

「違うんです。先生、村上君が真面目にやっていなかったので注意しただけなんです。」

 本をお腹の前に持ちなおし、莉子がなにかいったが、鈴木先生は問答無用と俺たちを叱った。

「お前たちは、罰として今日放課後図書委員と一緒に本の整理をしてもらうからな。」

 鈴木先生は元の場所へ帰って行った。

「あなたたちのせいで悪い印象ついちゃったじゃない」

 莉子も言いたいことだけいうといそいそと俺たちから離れていった。

「お前らの夫婦喧嘩に巻き込まれた俺かわいそう…」

 大翔が俺に体重を預けてくる。

「もとはと言えばお前が変なこと言ったからだろう」

 背中にのしかかってくる大翔を近くの椅子にうつぶせに倒した。

「利己ちゃんって彼氏とかいなそうだよね~。からかうと楽しいよ」

「知るか。そんなことより、お前のせいで帰れなくなったじゃないか」

 寝っ転がっている大翔に思いっきり座った。

「ぐへぇ~。申し訳ないけど放課後パスだわ。彼女との約束が入ってる」

「ふざけんな」

 肘をたて、さらに体重をかける。




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