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カウボーイハット〈2〉
灰色髪の印象なのか、
優しかった祖母を思い出した。
少し話をすると、行く先が反対方向。
見習いでお届け物の巡回をしているらしい。
無防備と方向音痴の二重苦。
なんだか心配だから、
「道を戻る」と言うしそれまでは一緒でいいかと
自然に思った。
持っていたチョコローズをプレゼントしたら
かなり喜んでくれて、
なんだか奇妙な気分。
街に着くと彼女がすすめた、飲食店に入る。
彼女の名前は、ビセラ・サカユ
俺の尊敬している旅人作家アリアス・サカユの
姪にあたるらしい。
色々と話してみたい。
席について、
ビセラちゃんの悪い虫だったら殺虫剤の刑にあたいするからな、と
スキンヘッドに刺青をしたいかつい男に言われる。
とりあえず、ビセラと話がしたい。