花天使
■第三十参話:【花天使】
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チェフゴルデ復活祭、当日。
この記述は復活祭のあと、
特等席をいただいて
すでに彼女が”成功”させたあとに書いている。
髪を結い、白いドレスチックな服装。
背中には造羽根、手には白銀に見えるおうぎ。
杖の意思がおうぎにしなさいと
言ったんだそうだ。
チェフゴルデのある広場の拓けている場所、
そこは彼女の踊りのスペースで、
復活祭のうわさに、
別の場所からも人が集まり、
彼女が背負ったものが彼女への重荷に思えた。
広場で挨拶があり、彼女が一礼。
儀式的な感じをもう、かもしだしている。
緊張して転びやしないかと俺が緊張していた。
実にかろやかで、
そしてなめらか、
つややかで、あでやか。
彼女の舞への感想。
そして舞が終わってつけをたたくように
間があって、
なにかのエネルギーが確実に動く気配。
爆発的に咲き乱れたチェフゴルデの満開。
ピンク、紫、黄色の花弁。
歓声が沸き、ひと安心。
散った花弁が飛んできて、手のひらに落ちた。
彼女はチェフゴルデの側、
花を見上げながら回転してはしゃいでいた。
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蜜色の光の中で、
花弁が舞い降りたのを喜んでいる君の様子は、
まるで花天使。
自分の心の時が止まっていることを
確認したら、
また心時計が動き出した。
結局のところ限られた時間を、
彼女とどうやって楽しもうかと思えた俺を、
きっと天国人は
許してくれると気づいたら
泣きそうになった。




