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ブラックメロン〈1〉
【第参話:ブラックメロン】
今まで思ったことを書きつづり続けて、
最近からまとまりだしている。
それが、この記述。
父は「アミノを忘れなさい」
と言ったことを、忘れているらしい。
今日も陽気にブラックメロンにかまっている。
なんだか、果肉の部分まで黒い、スーパーブラックメロンを思いついた、
とか、楽しそうに作業していた。
アミノはメロンが好きだったな。
だから父は
あの事故から、
メロンを作る農家になってくれた。
わだかまりを見せたくなくて、
俺は正直、
勇者らしからぬ遊びをした。
心当たりも『体当たり』もだいぶある。
物書きとしての才能を
見出してもらうまで、
俺は
バカな生き物だった。
・・・自分のバカを、捨てたい。
「そろそろ嫁をもらうのを考えてもいい頃だろう」
と父に言われてあせった。
心当たりも体当たりもあったからだ。
里を旅立つのは、
里の女たちが怖いからだ。
嫁にはしたくない。
だからって、
アミノみたいな美しい生き物が
二度と俺の前に現れることは
ないんじゃないかと
思ってる。